fbpx

COLUMN

コラム

【上場企業】ストックオプションの発行で株価は下落する⁉︎SOの株価への影響を徹底解説!

執筆者:土岐彩花(Ayaka Doki)

『資本政策の手引き』

企業価値を高めるための戦略について
徹底解説します!

今すぐ無料ダウンロード

こんにちは、SOICO株式会社の土岐です!

ストックオプション制度を導入する上場企業が増えていますが、「ストックオプションが発行されると株価はどうなるのか?」と気になる方もいらっしゃるかもしれません。

そんな方のために、この記事では「ストックオプションと株価の変動」について詳しく解説していきたいと思います!

※本記事内容は、上場企業のストックオプションに関する内容です。未上場企業の場合、ストックオプション発行と株価は連動しないので、今回の記事では割愛します。

※先にストックオプションの仕組みについて解説しているので、「ストックオプション発行が株価に与える影響」のみ知りたい方は このリンクをクリックしてください(該当箇所までスクロールします)

ストックオプションとは?

「そもそもストックオプションって何?」という方も中にはいると思いますので、まずはその仕組みについて、簡単に説明します。

ストックオプションとは、「あらかじめ決められた株価(=行使価格)で、株式を取得できる権利」のことです。

ストック=「株」、オプション=「権利」なので、「本来よりも自社の株を安く買ってよい権利」と理解すれば概ね大丈夫です。

ストックオプションの行使価格より株価が上回った時に売却することで、その差額が利益(キャピタルゲイン)となります。やや複雑なので、以下図をご覧いただくことで、流れが理解できると思います。

ストックオプションとキャピタルゲインの関係ストックオプション付与から株式売却までの推移

【上図の説明】
①1株100円で株を買える権利を得る(この100円が「行使価格」)。
②企業の業績が上がり、株価が700円になったタイミングで権利を行使
③さらに株価が上昇し、1,000円になった時に株式を売却
④1,000円ー100円=900円を利益(キャピタルゲイン)として得る

つまり、業績が向上して株価が上がれば上がるほど、ストックオプションの報酬額(キャピタルゲイン)は大きくなります。

そのため、ストックオプションは従業員の方や役員の方にとって、業績向上のための「インセンティブ」になるのです。

より詳細にストックオプションについて知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
【経営者必読】ストックオプション制度を徹底解説!仕組み・種類・メリット/デメリットを完全体系化!

新株予約権とは?

ここまで説明してきた「ストックオプション」は新株予約権の一種となります。新株予約権とは、企業が発行する株式をあらかじめ決められた価格で取得できる権利のことをいいます。ストックオプション以外に、
社外向け発行
無償割当
有利発行
の三種類の新株予約権があります。

社外向け発行

資金調達を目的に社外の投資家に向けて発行される新株予約権を社外向け発行といいます。

新株予約権を社外に向けて発行することで、オプション料を得ることができるので速やかに資金調達を行うことが可能です。この資金調達は、返済義務がないので、負債として扱われません。注意が必要な点として、新株予約権を大量に発行してしまうと、株価が大きく下落する可能性を孕んでいます。

また、社外向け発行は敵対買収に備える意味合いで行われる場合もあります。半分以上の株式を特定の敵対する企業が所有してしまうことで、企業買収が成立してしまいます。敵対企業と関係のない友好関係にある企業に向けて新株予約権を発行することで、買収を阻止することができ、この買収防衛策をポイズンピルといいます。株主に悪影響を与える可能性も大きいので導入の際は十分に注意しましょう。

無償割当

既存の株主に無料で配られる新株予約権を無償割当といいます。無償割当は、大規模な増資を実施する際に用いられることが多いです。新株を大量に発行するということは、株価が希薄化してしまいその価値が大幅に下落してしまう恐れがあります。そうなると、既存の株主の利益が損なわれてしまうので、反発を招いてしまうことも考えられます。そこで、新株予約権を無料で既存の株主に配布することで、株主の利益を保護する無償割当が有効になってきます。

有利発行

株主以外の第三者に対して、株価を有利な価格に設定する新株予約権を有利発行といいます。有利発行は、新規の株主を増やすことを目的に実施されます。既存ではない第三者である新規の株主に対して、無償もしくは有利な金額で新株を発行することで今までよりも安い価格で株式を提供することになります。

有利発行にて新株予約権を発行することで、既存の株主の所有する株式の価値が希薄化してしまうので、大きな損失を与えてしまうことになります。したがって、既存の株主に対して事前に株主総会にて新株予約権の有利発行の必要性を説明し、特別決議を得ることが重要になってきます。

ストックオプション発行による株価への影響は?

ここからが今回の本題になります。

「ストックオプションが発行されると、株価はどうなるの?」と不安な方もいらっしゃると思います。

しかし結論から言うと、ストックオプションによって「①株価にはそれほど影響しない」または「②むしろ株価を上げることもある」と言われています。

その理由を以下詳しく説明していきます。

①株価にはそれほど影響しないことが多い

ストックオプションが発行されると、理論上だと以下の事象が起きると言われています。

①従業員がストックオプションを行使して新株が発行されると、発行済株式総数が増加する

②株式数が増加するとEPS(一株あたりの純利益)が減り「株式の希薄化」を招く

③株式の希薄化が起きると、株価が下がる

ストックオプション発行による株価への影響 EPSの説明ストックオプション発行と株価への影響

しかし繰り返しですが、上記はあくまで「理論」の話です。

実際は、発行済株式総数に対して、ストックオプションで発行される株式数はわずかなので株価にはそれほど影響しないケースが多いです。

②株価が上昇することもある

ストックオプションが発行されると、むしろ企業の株価が上がることもあると言われています。

前述の通り、ストックオプションを付与された従業員は、将来の時価総額が上がるほどキャピタルゲイン(利益)を得やすくなるので、「会社の価値をあげる」ためのモチベーションが上がります。

従業員の努力によって業績が向上し、その結果企業の株価が上がることもあると思われます。

また、成長のために適切なインセンティブ制度だと投資家に理解してもらえれば、将来性を見込まれて株価が上昇することもあるでしょう。

まとめ

今回の記事では「ストックオプションが発行されると株価はどうなるのか?」について、ご紹介しました。

再度内容をまとめましたので、ご覧ください。

・ストックオプションの発行は株価にそれほど影響しないことが多い
・付与された従業員の業績向上へのモチベーションアップとなり、株価が上昇することもある

この記事を読んでストックオプションに興味を持った方は、詳細に研究・検討する上で、税務・法務・会計上もう一歩踏み込んだ疑問点や、活用方法、事例に関する質問も出てくることと思います。

ご不明点や質問、こういった内容をまとめてほしいなどのご要望がありましたら、以下からお気軽にお問い合わせください!

問い合わせボタン

最後までお読みいただきありがとうございます!

また今回の記事では、ストックオプションの株価への影響について中心に解説しましたので、ストックオプションや株式報酬制度について理解を深めたい方は下記の記事をご参照ください。

<ストックオプション関連記事>
ストックオプション制度を徹底解説!仕組み・種類・メリット/デメリットを完全体系化!
【有償ストックオプションとは?】メリット・デメリットや発行価額と行使価額の違いを簡単に解説!
【無償ストックオプションとは?】税制適格の要件やデメリットを解説!
【経営者向け】話題の「信託型ストックオプション」を徹底解説

<株式報酬制度関連記事>
譲渡制限付株式とは!?株式報酬制度の仕組み・メリットを総まとめ!
【経営者必読】株式交付信託(株式報酬信託、株式給付信託)とは何か?複雑な仕組みやメリット・デメリットをご紹介!
【経営者必読】パフォーマンスシェア(業績連動型株式報酬制度)とは一体?仕組みやメリット・デメリットを徹底解説!
【経営者必読】ファントムストック(ファントムオプション)とは?仕組み・メリット/デメリット・注意点を解説!
【経営者必読】株式報酬型ストックオプション(1円ストックオプション )とは?仕組みやメリットを徹底解説!

また、ストックオプションのご導入を検討をするには、プロの専門家に聞くのが一番です。

そこでSOICOでは、ストックオプション個別の無料相談会を実施しております。

・他社はどのぐらいSOを付与している?
・実際にどうやって導入を進めたらいいの?

そんなお悩みを抱える経営者の方に、要望をしっかりヒアリングさせていただき、
適切な情報をお伝えさせていただきます。

ぜひ下のカレンダーから相談会の予約をしてみてくださいね!

この記事を書いた人

慶應義塾大学在学中に19歳で起業し、2社のベンチャー創業を経験。大学在学中に米国UCバークレー校(Haas School of Business, University of California, Berkeley)に留学し、経営学、マーケティング、会計、コンピュータ・サイエンスを履修。新卒でゴールドマン・サックス証券の投資銀行本部に就職し、IPO含む事業会社の資金調達アドバイザリー業務・引受業務に従事。2018年よりSOICO株式会社の取締役COOに就任。