現物出資とは何?メリットやデメリットを解説

現物出資とは何?メリットやデメリットを解説

会社設立する際には、通常の現金による出資のほかにも「現物出資」という出資方法があります。
では、「現物出資」とは具体的にはどのような方法なのでしょうか。
この記事では「現物出資」についてと、そのメリット・デメリットを解説していきます。

現物出資とは?

会社の設立時には出資を行うことが必要で、通常、発起人が資金を準備して出資することになります。
出資には「現金」のかわりに「物」で出資することが認められており、「物」による出資のことを現物出資といいます。
会社の設立自体は資本金1円でも可能ですが、運営資金や会社の社会的信用などを考えれば、ある程度の資本金があったほうが良いでしょう。
たとえば資本金を100万円にしたいけれど資金が50万円しかない場合、時価で50万円の価値があるものを現物出資することで、資本金を100万円にすることができます。
このように現物出資をうまく活用すれば、手持ちの資金だけの場合よりも有利に会社設立ができるようになります。

【H3】現物支給ができる人は?

会社設立の際に現物出資ができるのは、発起人だけです。
発起人とは会社設立を行う代表者のことです。

【H3】現物出資と認められる現物は?

現物出資と認められる「現物」の範囲は幅広く、さまざまな物での現物出資ができます。
また、現物として会社へ出資した物は、所有権が発起人(出資者)本人から会社へ移ります。
その際には移転登記手続きなどが必要になりますので、価値が低いものをたくさん現物出資すると、手続きに大幅な手間がかかり、コストもかかってしまいます。
現物出資と認められる現物は、具体的には以下のようなものがあります。

◆現物出資の対象
・不動産
土地、建物など
・動産
自動車、パソコン、OA機器、資産価値のある商品など
・有価証券
国債、社債、上場株式など
・知的財産権など無形固定現物
特許権、意匠権、商標権など
・その他
ゴルフ会員権、リゾート会員権など

◆現物出資の対象にならない
・ローン支払い中・未完済の資産
・名義を書き換えることができないもの
預金、保険証券など
・無形のもの
労働、ノウハウなど

これから起業する人にとって会社設立は分からないことが多いのではないでしょうか。

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現物出資のメリット

現物出資をうまく活用することで、さまざまなメリットが見込めます。
具体的には以下のようなメリットがあります。

◆資本金が増やせる
資本金額が多いほど、社会的信用が得やすくなります。
金融機関から融資を受ける際にも、資本金は重要な評価基準となります。
用意できる資金では物足りないと感じる場合にも、現物出資によって資本金総額を増額することができます。

◆資金ゼロでも発起人になれる
資金がゼロでも現物出資によって発起人になることができます。
また、たとえば複数人で会社を設立する場合、他の発起人と同程度の資金を出資することができなくても、現物を使って同程度の金額を出資することが可能です。

◆減価償却で節税効果が見込める
現物出資したものは、会社の資産、会社の備品になります。
備品であれば、その分の経費が削減できます。
また、固定資産として計上できる現物の場合には、会計上の処理として減価償却が可能で、法人税の節税につながります。

◆増資にも利用できる
現物出資は会社設立時だけでなく、会社設立後に経営を続けていくなかでの増資の手段としても利用することができます。
増資の際にも同じように「現物出資のメリット」が受けられます。

◆備品調達コストが抑えられる
自動車やパソコン、OA機器など、事業に必要になる物を現物出資すれば、それらを購入するためのコストを抑えることができ、会社設立時にかかるコスト削減につながります。
現物出資のデメリット

現物出資をうまく活用できればたくさんのメリットがありますが、デメリットも存在します。
現物出資のデメリットを、具体的に紹介しましょう。

◆資本金額と現金にギャップができる
現物出資した物を売却して換金することもできますが、時価価格どおりに換金することは困難でしょう。
つまり、現物出資した物は、基本的には換金せずに物のまま運用していくことになります。
もし、資本金における現物出資の金額が占める割合が大きければ「資本金は大きいのに実際には会社にほとんど現金がない」というギャップができてしまいます。
会社運営には運営資金や設備資金といった、現金での資金が必要になってきます。
資本金額と現金のギャップがあることを考慮したうえで、綿密な資金繰り計画を立てておくことが大切です。

◆所有権移転の手続きが必要
個人的な所有物を会社へ現物出資するためには、所有権移転の手続きが必要です。
たとえば自動車の名義変更や、不動産の所有権移転登記などが必要になります。

◆譲渡する際に課税される
現物出資の際に、会社へ譲渡する現物によっては、下記税金の課税対象となる場合があります。
・所得税
・不動産取得税
・登録免許税
・固定資産税
・自動車税
・自動車取得税
・所得税
・贈与税
・消費税

◆手間のかかる手続き
現物出資をする場合には、前述の所有者移転の手続き以外にも、通常の現金出資では必要のない、さまざまな書類の作成や手続きをする必要が出てきます。

現物出資に必要な手続き

デメリットとしても挙げましたが、現物出資では現金出資には必要ない手続きが必要です。
その手続きの方法をご紹介します。

① 時価の調査
まず出資しようとする現物の時価を調査する必要があります。
定款に記載する価額は、基本的には発起人の自己申告です。
しかし後日の調査で実際の時価と差額があった場合には大きな問題になります。
現物の正確な時価を調査しましょう。

② 定款への記載
現物出資した内容の詳細を定款に記載します。
記載する必要がある項目は以下の通りです。
・現物出資する発起人の氏名と住所
・現物出資する財産の詳細と価額
・出資者に対して割り与える設立時発行株式の数

③ 調査報告書作成
出資された現物財産の価額が適正か、財産の引継ぎが終了しているか等を、取締役が調査。その後調査報告書を作成します。
この調査報告書は、設立登記申請書に添付します。

④ 財産引継書作成
現物が引き渡される際には、財産引継書の作成が必要です。
財産引継書は調査報告書とともに、設立登記申請書に添付して法務局に提出します。

まとめ

現物出資とはどんなことなのか、そのメリットとデメリットをご紹介しました。
メリット・デメリットを理解したうえで現物出資をうまく活用すれば、手持ちの資金よりも大きな資本金額で会社を設立することができます。

著 者

SOICO株式会社
共同創業者&代表取締役CEO
茅原 淳一 (かやはら じゅんいち)

慶應義塾大学卒業後、新日本有限責任監査法人にて監査業務に従事。 その後クレディスイス証券株式会社を経て2012年KLab株式会社入社。 KLabでは海外子会社の取締役等を歴任。2016年上場会社として初の信託を活用したストックオプションプランを実施。 2015年医療系ベンチャーの取締役財務責任者に就任。 2018年よりSOICO株式会社の代表取締役CEOに就任。公認会計士。

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