法人化(法人成り)の適切なタイミングはいつ?2つの判断基準を解説
開業医になるために必要なこと|開業前に準備すべきこと・メリット・デメリットについて解説
経験豊富な勤務医として長年にわたり実績を積み重ねた場合、次のキャリアステップとして開業医となることも選択肢に入るでしょう。
その中でも、開業医を検討する際に、何を具体的に行えば良いかや、いつ開業すべきかといった不安や悩みを抱える方は少なくありません。
この記事では、開業医になるために必要なことや準備すべきこと、メリット・デメリットなどを中心に解説します。
目次
開業医になるために必要なこと
開業医になるために必要なことについて説明します。
・臨床現場での経験や専門医としての技術
・経営者としての知見
・持っていると役立つ資格
臨床現場での経験や専門医としての技術
開業医の場合、クリニック内では院長が1人で診療を行うことが一般的です。
勤務医とは異なる診療体制が求められ、患者に対する責任も大きくなります。
患者と信頼関係を築き、クリニックの収益性や満足度を向上させるためには、高品質な医療サービスの提供が不可欠です。
開業医として成功するには、高度な臨床経験を積み重ねるだけでなく、地域に密着したサービスを提供するなど、他のクリニックとの差別化が必要です。
経営者としての知見
開業医は勤務医と異なり、個人事業主となり、クリニック経営に関する広範な業務を担当します。
業務の中には、経営戦略の策定やマーケティング・集患の立案、スタッフの管理、行政手続きなどが含まれます。
これらの業務を円滑に遂行するためには、経営者としての自覚を持ち、経営に関する知識と実務力を習得することが不可欠です。
持っていると役立つ資格
クリニックを開業するには医師免許が必要ですが、その他に特別な資格は必要ありません。
医師免許さえあれば、年齢や経験に関係なく開業医として活動できます。
成功を目指すなら、医療経営士、医業経営コンサルタント、病院経営管理士などの資格が役立ちます。
専門医の資格を持つことは、クリニックの専門性を広くPRする手段となり、患者の集患効果にもつながる可能性が高まります。
これから起業する人にとって会社設立は分からないことが多いのではないでしょうか。
また、起業したばかりの人にとっては事業の立ち上げと同時に様々な手続きを進めなくてはならず大変な思いをしている方も多いことでしょう。
そこで、ミチシルベでは
・「会社設立について相談したい・・・」
・「会社設立の手続きどうしたらいいかよくわからない・・・」
・「税理士や司法書士を紹介してほしい・・・」
といった起業したばかりもしくはこれから起業する方々のお悩みにお応えするべく、会社設立についての無料相談を実施しています。
下記バナーから無料相談をお申し込みできますので、ご自身の会社設立に関するお悩み解消にご活用ください。
開業医になるベストなタイミング
医師がクリニックを開業するタイミングとして一般的には平均年齢が40歳前後とされますが、最近では医療業界の情勢や個々の医師の考え方の変化により、開業医の年齢層が多様化しています。
そのため、30代前後で開業を決断する方もいれば、60歳前後になってから開業する場合もあります。
したがって、開業のタイミングには早すぎる・遅すぎるという明確な基準はありません。
しかし、医師としての豊富な臨床経験、自己資金の準備期間、融資審査の通過や返済計画など、経験と資金のバランスを考慮すると、開業の適切な時期は40歳頃と言えます。
自分が開業する最適なタイミングを見極めるには、医師としてのキャリアプランだけでなく、結婚や子供の教育、両親の介護など、個人のライフプランも視野に入れ、開業を考えることが重要です。
開業前に準備すべきこと
開業前に準備すべきことについて説明します。
・コンセプトの決定
・開業形態選定
・開業エリアを検討
・開業資金の準備
・不動産および物件の確保
・医療機器と事務用品の用意
・事務員や看護師などの人材
・加入する医師会の検討
コンセプトの決定
クリニックを開業する際には、どのようなクリニックにしたいかというコンセプトを明確にすることが極めて重要です。
理想的な診療方法や働き方、患者との接し方を明確にすることで、開業を進める上でのさまざまな判断がしやすくなります。
コンセプトが確定したら、それを具現化するためのビジネスプランの策定をすることも重要です。
具体的な取り組みとして、医療機器の選定、スタッフの採用と教育、ホームページの作成などをリストアップし、明確にしておくことで、開業準備を順調に進めることができます。
開業形態選定
クリニックの開業には、多様な形態がありますが、大きく分類すると「新規開業」と「承継開業」の2つの形態があります。
新規開業は、まっさらな状態からクリニックを設立する方法であり、一方、承継開業は、親戚や知人などから元々存在するクリニックを引き継ぐ方法です。
それぞれの物件タイプには異なるメリットやデメリットがありますので、その物件の立地や特性がクリニックのコンセプトに合うかどうかを吟味しながら、最適な選択を行うことが重要です。
開業エリアを検討
クリニックの開業エリアの選定は、クリニック経営の成功において極めて重要です。
たとえ申し分ない臨床経験や高度な医療技術があっても、開業地が適切でなければ集患につながらず、経営が成り立たないことがあります。
開業エリアを検討する際には、クリニックのコンセプトや提供する診療科目に基づき、開業エリアを選定する際には、ターゲットとなる周辺エリアの患者の層や競合クリニックの存在有無も考慮する必要があります。
適切な物件を見つけるのは難しいため、開業コンサルタントのアドバイスを受けることも重要です。
開業資金の準備
クリニックの開業には、物件取得費や内装工事費、医療機器購入費、スタッフの採用費用、広告宣伝費用など、多岐にわたる費用がかかります。
診療科目や開業エリアによっても費用は変動しますが、一般的には平均して1億円以上の資金が必要とされることがあります。
そのため、多くの場合、金融機関からの融資を活用するケースが主流となっています。
融資審査の通過率や開業後の運転資金などを考慮すると、ある程度の自己資本を事前に準備しておくことが重要です。
特に、高齢とされる年齢でクリニックを開業をする場合は、平均よりも多めの自己資金を用意しておくことが望ましいと言えます。
開業資金について、もっと詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
→ 開業資金はいくら必要?4つの資金調達方法を解説
不動産および物件の確保
クリニックを開業する物件を探す場合には、コンセプトやマーケティングを考慮することも非常に重要です。
過疎化が進む町や交通の便が悪い場所では、集患が困難になる可能性が高く、結果として開業後に経営が困難になることがあります。
物件を選んで開業し、集患がうまくいかず移転することになると、大きな費用がかかります。
開業医に適したエリアを把握していたり、適した土地を所有している不動産会社も存在します。
物件の選定や確保については、不動産会社に相談し協力を仰ぐことも重要です。
医療機器と事務用品の用意
開業する際には、医療機器の設置だけでなく、クリニック運営に必要なさまざまな設備の準備も必要です。
医療機器、医療用具、診療室、待合室、受付カウンター、電話、パソコン、診療用書類や文房具、清潔なベッドや椅子などクリニックを運営する上で不可欠なものをリストアップし、抜け漏れがないようにしておきましょう。
医療機器を購入する以外にも、リースという選択肢があります。医療機器のリースを選ぶことで、初期費用を節約し、資金を効率的に運用することが可能です。
事務員や看護師などの人材
クリニックを開業する際には、医師だけでなく看護師や事務スタッフなど、クリニックの運営に必要なさまざまな人材を確保することが必要です。
福利厚生や雇用条件、給与などを決定し、求人を出すためには、一般的にはハローワークや求人広告を利用します。
求人広告には費用がかかり、また、面接や選考にも時間や労力を要しますが、クリニックの円滑な運営や成長にとって、適切な人材を確保することは非常に重要です。
加入する医師会の検討
日本医師会への加入は必須ではなく任意ですが、加入することで医師同士の交流や情報共有が可能となり、また医療機関との連携強化にも役立ちます。
日本医師会、都道府県医師会、地区医師会の3つにはセットで加入する必要があり、加入する際にはそれぞれの会費が発生します。さらに、加入する際には年会費の準備が必要です。
また、加入することで自治体の助成事業の委託などの機会も得られる可能性などメリットがあります。
開業するメリット
医師が開業するメリットについて説明します。
・現在よりも高い収入となる可能性
・理想の医療方針の実現
・柔軟な働き方
・社会問題にもなっている地域医療への貢献
現在よりも高い収入となる可能性
個人のクリニック開業後に経営が安定すれば、勤務医よりも高い収入を得ることができる可能性が広がります。
ただし、運営費や経費もかかるため、病院やクリニックの売上が自身の収入に直結するわけではありません。
経営に必要な資金やスタッフの人件費などが発生するため、必要経費を考慮して収入を見積もる必要があります。
理想の医療方針の実現
大規模な総合病院では、医療方針が経営陣によって決定されることが一般的です。
そのため、自分の理想とする医療方針を実現することが難しい場合もあります。自分のビジョンを上司や経営者に伝えても理解されないこともあります。
しかし、開業することでこのような悩みを解消し、自分の医療観や診療方針を自由に実現しやすい環境を作ることができます。
柔軟な働き方
開業すると、クリニックの責任者として診療時間や休診日などを自由に調整できる権限を持てます。
診療内容によって異なりますが、診療室やベッドを設置していない無床のクリニックの場合、労働時間外や休日に、緊急の医療ケースや問題に対応するための待機やオンコール対応を行う必要がない場合もあります。
これにより、プライベートの時間を確保しやすくなり、スケジュールを柔軟に調整することができます。
社会問題にもなっている地域医療への貢献
過疎地や地方でクリニックを開業する際には、地域住民の健康ニーズに対応する地域密着型の医療提供が非常に重要です。
特に医師不足が深刻化している地域では、かかりつけの医療機関や医師の需要が高まっています。
地域住民との円滑なコミュニケーションを図り、信頼関係を築きながら医療を提供することで、地域の健康増進に大きく貢献できます。
開業するデメリット
医師が開業するデメリットについて説明します。
・開業までに多岐に渡る手続きが必要
・診療以外の業務が増え負担が増加する可能性
・自分以外の医者が不在
開業までに多岐に渡る手続きが必要
開業医として本格的に活動するためには、多岐に渡る手続きが必要です。
医療法第8条に基づいて、開業日から10日以内に「診療所開設届」を所管の保健所に提出することが義務付けられています。
患者が健康保険を利用するためには、「保険医療機関指定申請書」を開業地の厚生局に提出しなければなりません。
また、開業に関連するその他の手続き書類も多数存在します。これらの書類の処理をするだけでも、手間と時間がかかります。
診療以外の業務が増え負担が増加する可能性
開業医は、診療以外にもクリニックを運営する上で多くの業務があり、従業員の採用は業務の効率化にとって重要な要素です。
面接や勤怠管理、給料支払い、従業員のケアなどの業務も必要不可欠です。
個人事業主として開業する場合は、毎年確定申告を行う義務があります。
開業直後は集患活動も自ら行わなければなりません。これらの仕事は勤務医時代には別の部署が担当していたものであり、開業医は自ら企画し行動することが求められます。
自分以外の医者が不在
開業医は、自分の代わりとなる他の医師がいないため、万が一、けがや病気で診療所を休まなければいけない事情が起きた場合、その日の売り上げが自身のクリニックにとっての損失となります。
そのため、自身の代わりとなる医師がいない開業医は、計画的な休暇や長期休暇の取得が難しいと言えます。
開業医は自らの責任で患者の診療に当たるため、自身の健康管理や詳細な業務の計画立てが重要です。
まとめ
ここまで、開業医になるために必要なことや準備すべきこと、メリット・デメリットなどを中心に解説してきました。
本記事が、これからクリニックの開業を検討している医師の方々にとってご参考になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
この記事のキーワード
キーワードがありません。
この記事を見た方はこんな記事も見ています
この記事と同じキーワードの記事
まだ記事がありません。
キーワードから探す
カンタン1分登録で、気になる資料を無料でお取り寄せ
そんなお悩みをお持ちの方は、まずはお問い合わせください!