将来的に司法書士は仕事がなくなる?仕事に困らない司法書士として働くためのポイントについて解説

将来的に司法書士は仕事がなくなる?仕事に困らない司法書士として働くためのポイントについて解説

司法書士として働くためには、難関な試験に合格しなければならず、多大な労力と時間が必要となります。しかし、最近では「司法書士は仕事が無い」などと言われていることがあります。今後、司法書士を目指す方にとっては気になる点ではありますが、果たして実態はどうなのでしょうか。

本記事では、司法書士としての将来性や今後も仕事を安定して確保していくためのポイントをご紹介します。

司法書士の現状

司法書士は試験に合格することで、毎年有資格者が増加していきます。また、司法書士には定年がないことから司法書士の人数は減少しにくいと考えることができます。こうした中で、後述する様々な理由も加わり、司法書士としての仕事がなくなるのではないのか、と考えてしまうかもしれません。

しかし、実態は司法書士の需要は十分にあります。もちろん、十分な対策も取らず司法書士として独立した場合は、廃業となってしまうケースもありますが、司法書士が必要とされる職場は多く存在し、また仕事の内容も多岐にわたります。

司法書士の仕事がなくならない具体的な理由は後ほど解説しますので、まずは司法書士の仕事がなくなる可能性は低いということを認識しましょう。

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また、起業したばかりの人にとっては事業の立ち上げと同時に様々な手続きを進めなくてはならず大変な思いをしている方も多いことでしょう。

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「司法書士の仕事がない」と言われている理由

なぜ「司法書士の仕事がない」と言われているのでしょうか。それぞれ理由をご紹介しますので、ひとつひとつ確認していきましょう。
・人口減少による登記手続きの減少
・AIの高度化と司法分野への普及
・司法書士に頼らない登記手続きの増加
・収入が低い独立した司法書士

人口減少による登記手続きの減少

2025年問題などで言われている通り、日本では急激な人口減少が問題となっています。結果的に司法書士としての仕事である登記手続きが減少傾向にあるため、司法書士の仕事がなくなるのではないかという懸念が持たれています

事実、2009年から2021年における不動産登記及び商業登記の件数をそれぞれ3年単位で見ていくと、下記の通り全体として減少している様子が分かります。

不動産登記件数(土地・建物)商業登記件数(会社)
2021年10,740,827件1,295,084件
2018年12,584,518件1,243,780件
2015年11,744,602件1,241,610件
2012年12,886,040件1,168,260件
2009年12,805,110件1,310,297件
参考:法務省【登記統計 統計表】2021年年報 第1表 登記事件の件数及び個数

このデータをみると、司法書士の仕事が将来的になくなってしまうのではないかという危機感を感じる方もいるかと思いますが、司法書士の仕事は登記手続きだけではありません。

後ほど解説していきますが、時代や環境の変化に応じて、司法書士の仕事も多様化しています。具体的には、民事信託や財産管理など司法書士の新たな業務に対する需要の拡大もあります。

AIの高度化と司法分野への普及

近年、AIは急速に進化し、高度化していることから、司法書士が行う仕事をAIが代わりに自動で進めていくことができるのではないか、と言われています。具体的には、登記に関する書類作成や定型的な手続きといった仕事は、AIによって自動で進められることも考えられるでしょう。

しかし、司法書士の仕事全てがこうした定型的な単純作業となる仕事ではありません。時にはクライアントと密にコミュニケーションをとり、難解な法律を解釈することで、顧客の依頼や悩みに応えていくことが多々あります。こうした点からも、全てがAIによって代替できる仕事ではないことは明らかでしょう。

司法書士に頼らない登記手続きの増加

登記手続きについては、定められた表記方法や手順を踏めば、誰でも申請することが可能です。そのため、複雑である登記手続きに関しても、自分で手続きの仕方を調べることで、司法書士に頼ることなく手続きを進めるケースも増えてきています。

主な要因としては、インターネットの普及が挙げられます。インターネットで必要となる様々な情報を簡単に個人が調べることができるようになったことから、登記手続きを自身で進めるケースが増えてきていると言えます。

また、必要な経費を抑えることができることも1つの理由となります。司法書士に依頼すると、登記手続きの手数料が必要となってくるため、自身で登記手続きを行い、経費の削減を進めるケースも増えています。

しかし、既に述べた通り、司法書士の仕事は登記手続きを行うだけでなく多岐に渡るため、こうした要因で司法書士の仕事が排除されることはありません

収入が低い独立した司法書士

司法書士として独立して仕事をしている人の中にも、収入が低い司法書士もいます。これは独立して事務所を構えたエリアの状況や本人のスキルなど、様々な要因が考えられます。難解な試験にを合格した司法書士であっても、独立後の事業計画や相応のスキルを身に着けてない場合は、もちろん失敗する場合もあります。

しかし、こうした場合がすべてではなく、実態としては司法書士のニーズは高く、高い収入を得ている司法書士もいます。

司法書士は仕事がない?

司法書士の仕事がないと言われる理由をご紹介しましたが、実態として仕事がなくなるリスクは低いと言えるでしょう。その理由はいくつかありますが、主に4つの理由を解説していきます。
・国家資格としての希少性の高さ
・日本の平均よりも高い年収
・社会構造の変化に伴う多様な業務
・リスクが低い

国家資格としての希少性の高さ

司法書士として働く人の数は、その他の士業と比べて低少なく、2023年4月時点においては全国で約2万3千人程しかいません。その他の士業では、税理士が約7万9千人、弁護士は約4万2千人と、司法書士が特に低い割合であることが分かります。

こうしたデータからも、司法書士として仕事ができる人が少ないことが分かります。そのため。競合となる他の司法書士が少ないことから、仕事の取り合いとなるケースは少なく、一定の仕事を維持することが多いと言えます。

日本の平均よりも高い年収

「職業情報提供サイト(日本版O-NET)の司法書士」を見ると司法書士として働いた場合の平均年収は約970万円程度であり、年収1千万円を超える司法書士も存在します。日本の平均年収が440万円程度である事を考えると、司法書士の年収はかなり高い部類に入ることが分かります。

また、前述した通り、司法書士として働くことができる人が少ないため、働き口が見つからないという事も少なく、一定の収入を得ることができると考えられます。

参考:職業情報提供サイト(日本版O-NET)司法書士

社会構造の変化に伴う多様な業務

これまでも述べてきた通り、司法書士としての仕事は登記手続きを行うことだけではありません。これまでの仕事としては、登記手続きが主な仕事として考えられてきましたが、今は裁判関係や相続関係、高齢化に関する仕事が増えており、司法書士の仕事が多様化しています

こうしたことを考えると、今後も環境にあわせて仕事が変化し、司法書士のニーズが高まっていくと予想されます。

リスクが低い

司法書士として独立するにあたって、開業資金がそれほどかからないことや、希少性が高い司法書士では一定の仕事を得ることができるとされる点から、他の士業と比べて廃業するリスクが低いと考えられます。

司法書士は自宅で開業することもできて、開業資金が100万円程度であっても十分に開業することが可能です。

独立後に仕事が無い司法書士

司法書士として独立しても廃業するリスクは低いとご紹介しましたが、必ず成功するというわけではありません。成功するためのポイントを押さえずに独立してしまうと、廃業に陥ってしまうケースもあります。そのため、司法書士として独立したとしても廃業してしまうケースの特徴を解説していきますので、必ず事前に確認するようにしましょう。
・人脈がない
・見通しがない中での独立
・実務スキルの不足
・営業スキルの不足
・ブランディング不足

人脈がない

どのような事業を開業するにしても必ず必要とされるものは人脈です。人脈と言っても色々ありますが、同業者の人脈はもちろんのこと、顧客の人脈を確保しておくことが最も重要となります。

同業者の人脈を確保しておくことで、業界の動きやトレンド、利益確保のためにどうすべきかなどの相談が可能となります。また、顧客の人脈を持っておくことで、独立後の売上に直結します。

こうした人脈を持たないまま独立してしまうと、廃業のリスクが高まってしまいます。

見通しがない中での独立

司法書士として独立するには、毎月の収支を予測しておく必要があります。実際の収益を見込まないまま土地や物件を選んでしまうと、毎月固定で支払う金額が実際の収益を上回ってしまう可能性もあります。

また、人口が少なくあまり開発が進展していないエリアで開業した場合、抵当権や貸借権の登記に関する手続きなどの仕事が入ってこないなど、予想外の収益源を失ってしまうというケースもありますので注意が必要です。

実務スキルの不足

司法書士として独立して仕事をするうえで、実務に関するスキルが十分であることは必要不可欠です。もし、依頼された仕事においてミスが生じた場合、もう二度と仕事を依頼してもらえないどころか、損害賠償を請求される危険性もあります。

そのため、司法書士の試験に合格するだけではなく、研修や十分な実績を積んだうえで独立を検討することが必須となります。

営業スキルの不足

独立開業した場合、司法書士としての知識やスキルが高いだけでは不十分です。自身で顧客を獲得していく営業スキルも身につけておかなければ、独立後に安定した収益を維持することは難しいでしょう。

事務所に所属して、司法書士として勤務していた時とは大きく変わり、自分で事務所を売り込んでいくことやSNSの利活用などを進めていかなければなりません。

ブランディング不足

自身が開業した事務所の強みを打ち出していかなければ、他の事業所に顧客がとられて行ってしまいます。全体的にまんべんなくこなすことができる場合、成功までの道のりは険しいものとなるでしょう。

専門性や自分の強みを持ち、顧客の印象に残るようなサービスの提供をしていかなければなりません。

司法書士として仕事を続けていくためには

今後も司法書士の需要は増えていくと考えられますが、長く司法書士として働き続けるためには、自身の様々なスキル向上、強みや特徴の確立など様々なポイントがあります。その中でも特に重要である5つのポイントをそれぞれ解説していきます。
・スキルアップとクライアントのサポート
・営業スキルの向上
・司法書士との相乗効果のある資格を取得することによる差別化
・司法書士業務の1つの仕事に特化した専門性の向上
・誠実な対応

スキルアップとクライアントのサポート

司法書士の仕事は商業登記にとどまらず、相続関連の業務や簡易裁判所の訴訟代理など多岐に渡ります。こうした時代や環境の変化に合わせて、必要とされるスキルを向上させていかなければなりません。そのためにも、様々なクライアントの悩みや依頼を受けていくことで、柔軟な対応力と知識を増やしていくようにしましょう。

また、仕事を継続して獲得していくためには、クライアントに寄り添ったサポートを続けていく必要があります。丁寧にヒアリングし、真摯に回答していくことで、一回の依頼で終わるのではなく、リピーターとして確保し続けることができます。また、クライアントが別のクライアントを紹介してくれる事もありますので、丁寧なサポートをしっかりと継続するようにしましょう。

営業スキルの向上

司法書士として長く働き続けるためには、実務能力だけでなく営業スキルも向上させていかなければなりません。安定的に仕事を確保していくためにも、営業スキルを磨いていくようにしましょう。

営業スキルとあわせてマーケティングのスキルも身に着けると集客により効果的です。なお、現状では新規顧客の獲得のために、インターネットを利用して集客を進めていくと良いでしょう。

司法書士との相乗効果のある資格を取得することによる差別化

司法書士の資格だけでなく、他の士業の資格を取得することで、自身の仕事の幅を広げていくことができます。具体的には、司法書士だけでなく行政書士の資格も取得していることで、起業を目指しているクライアントに対して、全て自分1人で対応することが可能となります

また、司法書士としてではなく、行政書士としての仕事も依頼されるようになるため、より安定して仕事を確保することができます。

このように、仕事の幅を広げていくことで様々なメリットがあることから、司法書士に加え別の資格を取得することも検討してみると良いでしょう。

司法書士業務の1つの仕事に特化した専門性の向上

司法書士の仕事は、環境の変化に伴って多様化しておりますが、あえて1つの仕事に特化して専門性を高めるということで、他の司法書士と差別化をはかることができます。

専門性を高めるにしても、まずは仕事を多くこなしていくことが必要不可欠です。自分の専門分野を見つけていくためにも、まずは様々な仕事をこなしていき、ゆっくりと自分が専門とする分野を決めていくようにしましょう。

誠実な対応

最後は、どの仕事にも共通して言えることではありますが、どのような仕事であっても、自分の幅を広げていくためにクライアントの依頼を引き受け、誠実に対応していくことが重要です。

また、司法書士の中では、同業者同士で仕事を振り合うこともあります。そのためには、業界内でも信頼される必要があります。クライアントの噂や口コミで、どのような仕事をしているのか評判が広がっていくことからも、必ず誠実に仕事をするようにしましょう。

まとめ

本記事では、司法書士が仕事が無くなると思われている理由や、実態として無くなる可能性は低いという根拠などについて解説してきました。

司法書士の仕事は今後も需要があると考えられますが、資格さえ取得できれば良いということではありません。今回ご紹介したポイントをおさえて仕事を進めていくことができれば、将来的に仕事が増え、高い水準の収入も維持することができるでしょう。

本記事が、司法書士を目指す方や今後独立を考えている方の参考になれば幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

著 者

SOICO株式会社
共同創業者&代表取締役CEO
茅原 淳一 (かやはら じゅんいち)

慶應義塾大学卒業後、新日本有限責任監査法人にて監査業務に従事。 その後クレディスイス証券株式会社を経て2012年KLab株式会社入社。 KLabでは海外子会社の取締役等を歴任。2016年上場会社として初の信託を活用したストックオプションプランを実施。 2015年医療系ベンチャーの取締役財務責任者に就任。 2018年よりSOICO株式会社の代表取締役CEOに就任。公認会計士。

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