外国人技能実習制度について
給与台帳と賃金台帳の違いは?
会社の労務管理をするうえで「給与台帳」と「賃金台帳」という、とても良く似た2種類の帳簿があります。
では、給与台帳と賃金台帳のふたつには、どのような違いがあるのでしょうか。
この記事では、給与台帳と賃金台帳にはそれぞれどんな役目があるのか、給与台帳と賃金台帳の違い、そして賃金台帳について詳しくご説明していきます。
目次
給与台帳とは?
給与台帳とは、給与計算に関する情報のみを記載した帳簿のことです。
給与台帳には、労働者別に8つの項目を記載されます。
項目は以下のとおりです。
・氏名
・性別
・賃金(賞与や諸手当)の計算期間
・労働日数
・労働時間数
・時間外労働
・賃金の種類(基本給や諸手当)の金額
・控除などを記載する欄
給与台帳には上記の8つの項目をもれなく記載することが求められますが、用紙や書式に関しては規定がありません。
規定がないのでご自身で作成しても良いのですが、A4横長でExcel形式のテンプレートがインターネット上で配布されており、給与や控除を入力すると自動計算してくれて便利なため、現在、多くの人に利用されています。
賃金台帳とは?
賃金台帳とは、従業員の賃金計算の基礎と、賃金の額を記載した帳簿のことです。
賃金台帳は労働基準法第108条によって作成を定められており、同じ会社でも部門や事業内容が異なる場合には、事業ごとに賃金台帳を作成・保管する必要があります。
労働基準法で設置を義務付けられている帳簿は、賃金台帳のほかに、労働基準法第107条で定められた労働者名簿、労働基準法第108条で定められた出勤簿があります。
事業所に設置する義務がある賃金帳簿、労働者名簿、出勤簿の3点をまとめて、法定三帳簿と呼ばれます。
給与台帳と賃金台帳の違い
給与台帳と賃金台帳は、記載されている内容に重複するものが多いため、同じものと捉えられているケースもあるようです。
しかし実際には、賃金台帳のほうが記載するべき内容が多く、同一のものではありません。
また、賃金台帳は労働基準法によって作成・保管が義務付けられており、作成・保管を怠れば罰則の規定もあります。
給与台帳と賃金台帳をそれぞれ作成するのが好ましいですが、賃金台帳は給与台帳の項目をカバーしており、また給与台帳は労働基準法で賃金台帳ほど重視されていないために、賃金台帳のみを作成している事業所も少なくないようです。
賃金台帳の記載項目と書式
賃金台帳に記載する項目や書式について、見ていきましょう。
項目
賃金台帳には、給与台帳より多い10の項目を記載する必要があります。
給与台帳に記載する10の項目と注意点に関して、以下にご紹介します。
①労働者氏名
②性別
③賃金計算期間(賃金の計算対象となる期間)
※月末締めなら11月1日~11月30日、10日締めなら11月11日~12月10日というように記載します。
④労働日数(賃金計算期間内の労働日数の合計を記載)
※従業員が適正な労働をしているか判断するために重要で、労働基準監督署も重点を置く項目です。
⑤労働時間数(賃金計算期間内の労働時間数の合計を記載)
⑥時間外労働時間数(労働時間数のうち、時間外労働のあった時間数)
※労働基準法では、従業員に時間外または休日労働をさせる場合には36協定を締結する必要があり、割増賃金を支払わなければならないと定められています。
※また、賃金台帳の時間外・深夜・休日労働時間数の項目は、適切な労務管理が行われているかの判断材料となるため、労働基準監督署がとくに重視する項目です。
⑦深夜労働時間数
⑧休日労働時間数
⑨基本給や手当などの種類と額
⑩控除の項目と額(健康保険料や厚生年金保険料、雇用保険料など)
※控除項目ごとにそれぞれ記載する必要があります。
賃金台帳は、給与支給額の総額ではなく、基本給と各手当を分けて記載するルールとなっています。
労働基準法では、基本給と各手当の合計を給与と規定しています。
各手当のうち、通勤手当、家族手当、住宅手当、子女教育手当などに関しては、時間外賃金の割増の対象にはなりません。
また、労働基準監督署の調査の際には、給与が最低賃金を下回っていないかなどが確認の対象になります。
最低賃金に関しても考慮して給与を設定する必要があります。
書式
賃金台帳は、書式はとくに定められていません。
賃金台帳の10の記載項目を確認することができれば、正式な賃金台帳として認められます。
厚生労働所が基本となるテンプレート、様式第20号(常時使用労働者用)と様式第21号(日雇い労働者用)を配布しており、そのまま使用することもできますし、参考にして使いやすいように自作することもできます。
各様式は、厚生労働省の主要様式ダウンロードコーナーよりダウンロードすることができます。
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賃金台帳の保存期間
労働基準法の第108条では賃金台帳の作成が定められていますが、第109条では賃金台帳の保管が定められており、賃金台帳の作成・保管ともに事業主の義務とされています。
保管期間は法律で規定されており、作成・保管を怠った場合には罰則もあります。
賃金台帳の保管期間
賃金台帳の保管期間は、従業員の賃金について最後に記載した日から起算して3年と定められています。
法定三帳簿の賃金台帳・労働者名簿・出勤簿は、保管期間の起算日は、それぞれ異なります。
保存期間を間違えてしまわないためにも、賃金台帳を更新した日付を記載しておくといいでしょう。
賃金台帳の作成・保管を怠った場合の罰則
賃金台帳の作成・保管は、労働基準法で定められた事業主の義務です。
賃金台帳に不備がある、そもそも賃金台帳を作成していないという場合には、罰則の対象になります。
罰則は労働基準法第120条に定められており、場合によっては30万円以下の罰金が課されます。
しかし、賃金台帳の不備など基準に満たなかったとしても、よほど悪質でない限りは、すぐに罰則を適用されることは少ないでしょう。
不備が見つかった場合、一般的には、労働基準監督署から是正勧告を受け取ることになります。
是正勧告に従わなかった場合には、罰則が適用されます。
期日までに是正し、是正報告書を労働監督署へ提出しましょう。
まとめ
給与台帳と賃金台帳についてとその違い、賃金台帳に記載する項目や保管期間についてご説明しました。
賃金台帳は労働基準法で作成・保管を義務付けられた大切な帳簿です。
不備のないように、正確に記載し運用しましょう。
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