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税効果会計の目的とは?会計の知識を深めよう
会社経営の中で「会計」は、社内外でさまざまな役割を果たす重要なものです。
しかし、会計は複雑で、専門的な知識がなければ分かりにくいことが多いのも現実です。
この記事では、「税効果会計」について具体的な意味やその目的などについて解説していきます。
目次
税効果会計とは何か
税効果会計は、減税の手法に関係なく、自社の利害関係者に適切な情報を提供するためのもの。
上場企業や非上場企業の一部には、税効果会計が義務付けられています。
税効果会計の意味
企業会計で算出される利益と、税額計算するための税務会計で算出される利益は、必ずしも一致しません。
「税効果会計」とは、この二つのズレを調整し、税金費用を適切に期間配分する手続きのことです。
税効果会計の対象となる税金
税効果会計の対象となるのは、利益に対して課される税金です。
例えば、法人税、均等割額を除く住民税、事業税(所得割)などが該当します。
したがって、収入金額その他利益以外を課税標準とする事業税(外形標準課税)等は対象ではありません。
税効果会計と実効税率
税効果会計の税率は、法人の実質的な所得税負担率である「実効税率」と呼ばれる税率を使用します。
各企業に適用される税効果会計の対象となる税金の税率を基に計算した総合的な税率のことを「法定実効税率」といいます。
法人税・法人住民税・事業税のうち所得割部分、地方法人特別税が対象となる税金の各々の税率を用いて算定されます。
適用税率は『個別財務書評における税効果に関する実務指針』において、実務上の簡便性などを考慮して基本的な法定の税率を利用することになっています。
なお、法定実効税率の計算式は以下のようになります。
法定実効税率=【法人税率×(1+住民税率)+事業税率+地方法人特別税率】÷【1+事業税率+地方法人特別税率】
法定実効税率は、次に述べる税効果会計の手順の中で、繰延税金資産及び繰延税金負債の算出に必要となります。
税効果会計の手順
税効果会計は、四半期または年度などの決算毎におこないます。
正しい手順をおさえておきましょう
まず、企業会計上の「収益」「費用」となるものと税務会計上の「益金」「損金」となるものとの差異を把握します。
この差異のうち、将来的に差異が解消されるものを「一時差異」といいます。
そして、一時差異に前述した法定実効税率を乗じて「繰延税金資産」及び「繰延税金負債」を算出します。
繰延税金資産=将来減算一時差異(差異解消時に課税所得が減るもの)×法定実効税率
繰延税金負債=将来加算一時差異(差異解消時に課税所得が増えるもの)×法定実効税率
という計算式でそれぞれ求められます。
なお、「一時差異」はいずれ訂正されるものですが、そうでないものを「永久差異」といいます。
永久差異は税務会計として計上できません。
また、繰延税金資産は回収できる見込みがあれば税金分から減額できます。
税効果会計の必要性
税効果会計は、企業会計と税務会計の間で生じるズレを調整し、企業とその利害関係者を結びつけるなど重要な役割を果たしています。
企業会計と税務会計のズレの正体
会計では、費用は早めに計上されることが多いのが一般的です。
しかし、税務会計は費用を早く計上してしまうと利益が減るため、法人税等の額も減ることとなります。
税務署はできるだけ早く税金を徴収したいので、確定的なことがなければ費用計上できないなどといった決まりごとが多くなっています。
企業会計と税務会計ではその目的が異なるので、そういった決まりごとの中でズレが生じてしまうのです。
早く費用計上させたい会計と、遅く費用計上させたい税務の食い違いを埋めるためできたのが「税効果会計」なのです。
税効果会計を適用する理由
企業会計の目的の一つは、投資家などの利害関係者に財務諸表に基づいて財務状況や経営成績を提供することです。
財務諸表とあわせて税務申告書を見れば、企業会計と税務会計のズレの認識が可能ですが、取引銀行などを除くほとんどの利害関係者は、税務申告書を見る機会はありません。
「税効果会計」でそれらのズレが開示することは、利害関係者にとって有益なこととなるのです。
税効果会計の目的
税効果会計の手続きの目的には、大きく分けて二つあります。
まず、企業の経営指標を改善して情報の正確性を向上させることです。
税効果会計をおこなうと、繰延税金資産を貸借対照表に計上することが可能になります。
これには会社の自己資本比率が改善されるという効果があるのです。
自己資本比率はその企業における財務の健全性の指標の一つで、「自己資本比率の値が良ければ、銀行などの金融機関からの融資を受けやすくなる」といったメリットがあります。
もう一つが、投資家へ提供する情報の正確性を確保することです。
上場企業のような規模が大きな企業ほど、企業会計と税務会計のズレも大きくなることがあります。
このズレを税効果会計で調整しないでいると、会社の業績とは関係なく損益計算書上の当期純利益が乱高下することがあるのです。
そうなると、利害関係者は企業の正確な財務状況が把握できなくなってしまいます。
税効果会計でズレをきちんと調整しておけば、余計な混乱が起こることも防ぐことができるのです。
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