法人登記|必要となるケース・事前に行うこと・登記の流れと申請方法について解説
法人化(法人成り)の適切なタイミングはいつ?2つの判断基準を解説
個人事業主で法人化を検討している方は、いつ法人化すべきなのかを悩んでいる方も多いかと思います。
今回はご自身の事業がどのような状態になった時に法人にするべきか、法人化するタイミングは何月がよいかなどを解説していきます。
特にこれから会社設立を考えている方にとっては必ず押さえておきたいポイントですので、しっかりポイントを押さえてご自身のビジネスプランの参考にしてみてください!
目次
◆法人化するタイミングと要素
個人事業主の方は法人化するタイミングはいつがいいか、悩みどころですよね。
法人化するタイミングの判断基準は2つあります。それは「利益額」と「売上高」です。
それぞれについてどのように考えるべきか、詳しく見ていきましょう。
- 利益額について
個人事業主に課せられる税は「所得税」です。
この税率は利益額によって5%~45%の設定となっています。
利益が上がるほど税率も上がるため、納税額も大きくなってしまいます。
その一方で法人化(普通法人)した場合の税率は、利益800万円までは15%、それ以上が23.2%という設定です。法人税以外に、住民税や事業税も必要になるため、その点を加味すると、800万円以上の利益を出した際の税率は36%程度(※)になります。
※各市町村で住民税が異なるため、お住まいの地域により税率は変わるので、あくまでも参考の税率となります。
このことから、一定の利益額を超えたタイミングで法人化をすることで、支払う税金を抑えられるということが分かりますね。
具体的には、所得税の税率が33%となるのは、利益額が900万円を超えた時です。
現状個人事業主であっても利益額が800万円~900万円になったら、法人化を考えるベストなタイミングとなります。
- 売上高について
売上高が1,000万円を超えた場合、その2年後から消費税課税事業者となります。つまり「消費税を納めなければならないようになる」ということです。この点は、個人事業主でも法人でも変わりません。しかし、タイミング良く法人化することで、納税のタイミングを先延ばしすることできます。
通常、個人事業主としての事業で年間1,000万円の売上を出した場合、2年後から消費税納税の義務が発生します。ところが1,000万円を超えた翌年に法人化することで、さらに最低2年は消費税の納税が免除されるのです。
消費税の免除だけを目的に法人化する必要はありませんが、法人化のタイミングの指標として頭に入れておいていただくことをおすすめします。消費税の免除については、次項「法人化するなら何月が良い?」でさらに詳しく解説していきますので、ぜひそちらも参考にしてみてください。
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◆法人化するなら何月が良い?
個人事業主は12月が1年の締め月です。1月から12月までの利益額をベースに、その年の納税額が決定します。しかし法人の場合は締め月を必ずしも12月にする必要はありません。自由に1年の締め月を設定することができます。
何月に法人化するべきかは、次の3点から総合的に検討していきます。
①消費税の免税期間
一定の条件を満たせば、法人設立後は2期分の消費税が免税となります。ここでのポイントは2年間ではなく「2期分」という点です。
例)
11月設立、12月決算 → 1期目(1か月)+2期目(12か月)=13か月免税
11月設立、10月決算 → 1期目(12か月)+2期目(12か月)=24か月免税
上記のように設立する前月を決算期にすると、消費税の免税期間をフルで活用できます。
そのため、決算月=設立した前月とするのが良いでしょう。
②決算対策
決算対策で、なるべく納税額を減らしたい方もいらっしゃると思います。
税理士と決算対策を行うとき、繁忙期=決算期としてしまうと利益が大幅にずれて、場合によっては赤字決算になる可能性もあるため、注意が必要です。そのため、決算月=閑散期とするのが良いでしょう。
③納税時期を確認する
法人は決算の2カ月以内に税金を納めなくてはなりません。納税は原則現金で行いますので、『現金を持っている時期=決算月+2カ月』とするのが良いです。
◆法人化した場合のメリット・デメリット
法人化することで、どのようなメリット・デメリットがあるのかを見ていきましょう。
- 法人化することのメリット
〇信用度が上がり、融資を受けやすくなる
一般的に法人格を有していた方が、個人事業主よりも信用度の格付けが上とされているため、金融機関からの融資を受けやすくなります。結果的に事業を運用する資金を調達しやすいため、事業を推し進める上でメリットが大きいと言えます。
〇取引先からの信用度が上がり、大きな仕事の受注のチャンスなどが得られやすくなる
法人格を有することで、個人には任せられないような、責任度や金額の大きいお仕事も依頼されやすくなります。
〇求人を出した場合、人材の採用がしやすくなる
従業員と雇用契約を結ぶことができるので、採用される側も安心して求人に応募することができます。
〇個人で事業を行うよりも節税になる
前項で解説してきた消費税の仕組みなどを活用することで、節税につながります。
また、個人事業主が経費として扱えない項目も経費として売り上げから差し引くことができるので、結果的に事業所得を抑え、税負担が軽減されます。
法人ならではの代表的な例として、家賃と出張手当があります。自宅を法人名義で借りることによって、家賃のうち一定割合が居住用であっても経費として計上することができます。また、交通費や宿泊費は個人事業主や法人にかかわらず経費計上できますが、法人の場合は加えて出張手当を経費として支給することができます。法人ならではの節税対策と言えるでしょう。
- 法人化することのデメリット
一方で、デメリットについても頭に入れておく必要があります。
〇社会保険の負担が会社と従業員にかかる
よく言われるのが、社会保険への加入により保険料を半分会社が負担しなくてはならない、ということです。こちらについては、次項「法人化すると変わる経費」でも詳しく見ていきましょう。
〇会計処理が複雑になる (原則、税理士顧問が必要)
年に1回は会計士による監査が必要になるなど、会計処理が複雑になります。法人税申告書などの作成を税理士に依頼するコストもかかるでしょう。法人による不正会計は社会へのインパクトも大きく、違反は未然に防がなくてはならないので気を付けたいポイントですね。
個人事業主が法人化するメリットとデメリットについて、もっと詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
→ 個人事業主が法人化するメリットとデメリット|法人化するタイミングや注意点も解説
◆法人化すると変わる経費
前項でも少し触れましたが、法人化すると社会保険にまつわる経費が大きく変わります。
個人事業主の場合は企業に属さないため、企業単位での社会保険には入らず、自治体の健康保険や各種年金制度に個人で加入しています。
しかし、法人になると、社会保険に必ず入らなくてはなりません。
加入後の費用負担が気になるところですが、保険料負担は一体どのくらいになるのでしょうか。
ざっくりとしていますが、【保険料額=給与×30%】で計算されます。
ただし、保険料は会社と従業員で折半するので、【会社負担額=給与×15%】となります。
例えば、年収300万の従業員に対して会社が負担するべき社会保険料は、
300万円×15%=45万円(年額) です。
さらに、設立者自身も加入しなくてはならないので、自身の保険料支払い+従業員の保険料支払いの分、負担が増えることになります。仕組み上従業員が増えれば増えるほど負担も増えますので、法人化をためらっているケースでは、社会保険がネックになっていることが多いです。
◆まとめ
今回は、法人化するタイミングを検討する上での考え方や軸を解説しましたが、法人化を進めるにあたって、税金、社会保険など、コストとメリットを比較しなくてはならない項目は多岐にわたります。
「いつ法人化したらよいか、自分の判断に自信がない」「具体的にコストを比較し検討したい」などの疑問をお持ちでしたら、ぜひお気軽にお問合せください!
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