株式会社と合同会社の違いは?メリット・デメリットと自分に合った会社形態を選ぶポイントを解説
資本金を1,000万円以下にするメリットと1,000万円超えた場合のデメリット
会社を設立する際に、株主または社員から出資された金額を資本金といいますが、資本金の大小によって様々な影響があります。
資本金の額によって、金融機関からの資金調達における審査や取引先との新しい取引における与信調査だけでなく、法人として納税する税金面でも影響が出てきます。
本記事では、具体的な資本金の概要や資本金が1,000万円を超えていた時のデメリットや1,000万円以下の場合のメリットなどについて解説していきます。
目次
資本金とは
資本金とは、会社を設立するときに出資されたお金を指し、会社の事業運営において、元手となる資金となります。資本金は会社の経営体力としても考えられます。
会社を設立したばかりのタイミングでは、すぐに高い利益を確保していくことは容易ではありません。そのため、資金調達が必要となってきますが、その最低限必要となる経費に資本金が使われていきます。
なお、借入金と資本金が似ているように思われがちですが、資本金は返済する必要のない資本であり、借入金は返済が必要となる他人の資本という形で考えられます。また、貸借対照表において、資本金は純資産として、借入金は負債として計上されます。
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資本金の影響
上述した通り、資本金は会社設立時の運転資金に該当し、会社の体力に当たる要素となります。そのため資本金額が大きい会社ほど、金融機関からの借り入れは少なくてすみます。
なお、運転資金となる資本金額を考えた場合、初期費用及び3ヶ月の売り上げが0円であった場合を想定して、資本金額を決定すると良いでしょう。また、資本金の金額によって生じる影響は主に2点ありますが、それぞれについて解説していきます。
・与信調査
・借入金限度額
与信調査
1つ目、与信調査です。取引の契約を初めて締結する場合には、多くの場合は与信調査が実施されますが、その際に資本金額は大きく影響してきます。
取引を締結した場合でも商品代を支払う能力があるか、また商品を納めることができる信用を十分に持つことができるか、という点で資本金は非常に重要な指標となります。
借入金限度額
2つ目は借入金額の上限についてです。創業してすぐに、現金の融資を依頼することができる制度がありますが、この制度を利用するにあたっても、資本金額が重要な要素となってきます。
原則、資本金額相当もしくは2倍の金額までを目安として、金融機関から融資してもらうことができるため、融資に応じた事業展開を構想している場合は、資本金額が重要となってくるでしょう。
なお、資本金額が十分でない場合は、融資を断られる可能性もあるということを念頭に置いておきましょう。
資本金の目安
会社の資本金を検討する上で、取引先との契約における与信や金融機関から資金調達を受ける際の審査などを考える必要があります。
2006年に改正された会社法によって、1円の資本金で会社を設立することが可能となりました。一方で、上述した通り資本金額による影響は様々な点があるため、実際には資本金を1円とすることは現実的ではありません。
実際、2021年度の政府統計では、資本金額が300〜500万円未満が一番多い※結果となっています。ただし、資本金額に応じて納めるべき税金の基準などが変わるため、資本金額が多ければ多いほど良いというものでもありません。
次に記載する内容を確認し総合的に考えた上で、資本金額を決めていくと良いでしょう。
※参考:経済センサス‐活動調査 令和3年経済センサス‐活動調査 速報集計 企業等に関する集計
資本金を1,000万円未満としたときのメリット
上述した通り、資本金を決定する上で漠然と考えるのではなく、様々なポイントを踏まえた上で決めていくことで、大きな節税効果を得ることができます。ここでは、資本金額が1,000万円未満とした場合のメリットとなるポイントを解説していきます。
・法人住民税の節税
・消費税の納税義務免除による節税
法人住民税の節税
1つ目は、法人住民税の節税です。住民税は、資本金額などを基準とする均等割と法人税額に基づいて算出される法人税割の2種類があります。
従業員が50名以下で、資本金が1,000万円を下回る場合と資本金が1,000万円を超える場合では、東京23区内に本店の住所がある会社の法人住民税の均等割額は11万円もの差が生じてきます。
このように、資本金を1,000万円以下とすることで、大きな節税効果を受けることができます。
消費税の納税義務免除による節税
2つ目は、消費税の納税です。資本金額が1,000万円を下回る場合、最大で2年間の消費税納税義務が免除されます。
会社が納付しなければならない消費税とは、商品やサービス等を消費者が購入した際に預かった消費税が該当し、通常はどのような会社も消費税を納めなくてはなりませんが、資本金が1,000万円を下回る場合、1年間は納税義務が免除されます。
また、設立後6ヶ月間の課税売上高が1,000万円未満、または設立後6ヶ月間の従業員に支払った給与が1,000万円以下の場合、納税義務は2年間免除されることとなります。
なお、この時に基準とする資本金額は、会社の年度初めの資本金となりますので、注意してください。
資本金を1,000万円を超えたときのデメリット
続いて、資本金が1,000万円を超えた場合に生じるデメリットを解説します。資本金が1,000万円を超えた場合、上記のメリットとなる点が受けられないだけではなく様々な影響もありますので、メリットとともに確認しておきましょう。
・下請法の対象
・税金への影響
下請法の対象
1つ目は、下請法の対象となる点です。下請法とは、下請代金支払遅延等防止法のことを指し、下請けとなる会社の保護を目的とした法律であり、支払い義務の未払いとなる状況から下請け企業を守るために制定されました。
資本金が1,000万円を超えた場合は親事業所にあたり、下請けとなる会社に支払い期日を定める義務や書類の作成と保存義務、遅延利息の支払い義務等が課せられます。こうした内容に違反した場合は、罰金や勧告を受ける場合もありますので、注意しましょう。
税金への影響
2つ目は、資本金に応じて多くの税金を納める義務が生じるケースがあります。法人税の均等割額が増えるだけでなく、資本金が1億を超えた場合はその他の税制度においても影響が生じてきます。
具体的な例としては、欠損金の繰越控除制度が挙げられます。繰越控除制度は、欠損金が生じた場合にその分を繰り越して節税することが可能となります。ただし、資本金の金額によっては繰越することができる欠損金の上限額が異なるため、最終的な法人税額に差が生じてきます。
そのほかにも、中小企業経営強化税制などによる取得資産の特別償却といった優遇措置についても、資本金が一定よりも超えないことが必要条件となってくるため、こうした優遇制度を活用することができず、多くの税金を納めなくてはならない、というケースも生じてきます。
制度のことを理解せずに、税金面での不利益を受けないためにも、このような点についても正しい認識を持っておくようにしましょう。
会社設立時に節税をするために考えるべき資本金
会社を設立した当初は、極力余計なコストを抑え、最低限の人数や資金で経営していくことが、成功への大きな鍵となります。
そのため、これまで上げてきた通り資本金の設定においては、こうしたリスクを極力抑えていくためにも、最初はスモールスタートから会社を始めて見ると良いでしょう。
まとめ
本記事では、そもそもの資本金に関する考え方や、その影響について解説してきました。
資本金を決める上で、様々なポイントを踏まえて決めていくことで、大きなコストダウンにつなげていくことができます。会社が収益を上げていくために必要となる資金や開業後のコストを計算した上で、慎重に資本金を決めていくようにしましょう。
本記事が、これから会社の設立を考えている方の参考になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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