資本金を1,000万円以下にするメリットと1,000万円超えた場合のデメリット
資本金払込とは?払込をするときの手順・時期・注意するポイントについて解説
法人設立に不可欠な手続きの1つに、資本金の払込があります。
この手続きは、「資本金を銀行に支払う」という行為自体はシンプルですが、実際にはいくつかの独自のルールや条件が存在します。
この記事では、資本金を払い込む時期、資本金払込の手順、資本金払込時に注意するポイントなどを中心に解説していきます。
目次
資本金払込とは
資本金払込は、事前に定めた会社の資本金となる金額を発起人の口座に振り込むことを意味します。
資本金の振り込みが確認されないと、法人登記の申請が進められないため、法人を設立する上で資本金の振り込みは極めて重要です。
以前は、法人設立時には「払込金保管証明書」の提出が必要であり、発起設立や募集設立に関わらず、資本金の振り込みの証明書とされていました。
しかし、新しい会社法では、発起設立においては、発起人の口座通帳のコピーを添付するだけで手続きが済むようになりました。
ただし、募集設立に関しては、引き続き株主の保護を目的として「払込金保管証明書」の提出を必須事項としています。
これから起業する人にとって会社設立は分からないことが多いのではないでしょうか。
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資本金を払い込む時期
株式会社、合同会社それぞれの資本金を払い込む時期について説明します。
・株式会社
・合同会社
株式会社
株式会社を設立する場合、まずは定款を作成し、その定款を管轄する公証役場で認証してもらいます。
定款の認証が完了した後に資本金の払込みが行われます。
資本金の額は事前に決定され、通常は商号の決定や役員報酬額の設定、印鑑の作成などが行われる設立準備の段階で決定されます。
合同会社
合同会社を設立する場合、定款の作成は必須ですが、公証役場での認証は不要です。
合同会社の特徴として、資本金の支払いは定款作成後に行われます。
資本金の金額は設立の段階で確定され、会社の設立方法には募集設立もありますが、通常は発起設立が一般的です。資本金の支払いには、口座の開設や振込み手続きが必要です。
資本金払込の手順
資本金払込の手順について解説します。
・発起人の銀行口座を用意する
・資本金の振り込み
・資本金の払込した箇所のコピーをする
・払込証明書を作成する
・払込のコピーをしたものと払込証明書をまとめる
発起人の銀行口座を用意する
資本金の払込において、最初に必要なものは、「発起人個人の銀行口座」です。
資本金の払込時点ではまだ会社が設立されていないため、会社の銀行口座は存在しない状況です。そのため、発起人個人の銀行口座を用意する必要があります。
資本金が間違いなくあることを証拠とするためにも、個人の銀行口座を使用することになります。複数の発起人がいる場合は、発起人総代の銀行口座から資本金の払込を行います。
また、口座の種類は普通預金口座で問題ありません。通帳が発行されている場合は、通帳のコピーを提出する必要があります。
ネットバンキングを利用している場合や通帳がない場合は、取引明細を印刷して提出します。
会社設立のために新しい口座を開設する必要はなく、発起人が既に利用している口座を使用できます。
資本金の振り込み
銀行口座が準備されたら、「資本金の振り込み」手続きを行います。
ここで重要なのは、振り込みを行うことです。振り込みをしないと、誰がどれだけの金額を支払ったかを証明できないためです。
振り込みを行うことで、資本金を払い込んだ発起人の情報が通帳に記載され、振り込みが証明されます。
発起人が1人の場合は、複数の発起人が資本金を支払う必要がないため、預け入れで資本金払込を行うことが可能です。
また、発起人の代表者が各発起人から資本金を預かり、まとめて自分の口座へ払い込んだとしても、手続きは成立します。
ただし、「資本金として用意したお金」であることをはっきりさせるためには、一旦資本金の額以上の金額を口座から引き出し、再度同じ口座に資本金を入金する必要があります。
資本金の払込した箇所のコピーをする
資本金の払込した箇所のコピーをする場合について説明します。
・通帳
・インターネットバンキング
通帳
各発起人が銀行口座に所定の金額を振り込んだことを証明するために、通帳コピーが求められます。
通帳の表紙、表紙裏、そして振り込み内容が記帳されているページの3カ所をコピーが必要です。
表紙裏には支店名や支店番号、銀行印などが記載されています。
コピー用紙のサイズに特に規定はありませんが、一般的には会社設立登記の書類と同じサイズで作成されます。
振り込み内容が記帳されているページに関しては、発起人の名前と金額がわかりやすいようにチェックを入れることで、担当者が確認しやすいようにしておくことが一般的です。
インターネットバンキング
インターネットバンキングを利用している場合は、通帳コピーの場合と同様に、必要な情報をプリントアウトします。
銀行名、支店名、預金種別、口座番号、口座名義人の氏名、振り込み内容が記載されている箇所をプリントアウトし、振り込み内容が明確にわかるようにします。
払込証明書を作成する
払込証明書には以下の7つの項目が必要です。
・払込した金額の総額
・払込した株数
・1株の払込金額
・日付
・本店所在地
・会社名(商号)
・代表取締役氏名
「払込があった金額の総額」と「払込があった株数」は定款に記載された数字が適用されます。
また、「1株の払込額」は「払込があった金額の総額」を「払込があった株数」で割った金額となります。
資本金が振り込まれた最も遅い日にちを日付として記載します。
また、設立時に確定した「本店所在地」と「会社名(商号)」の情報を記載します。
これらの項目に加えて、会社の代表印を2か所押印する必要があります。払込証明書の左上と代表取締役氏名の右側に押印します。
払込のコピーをしたものと払込証明書をまとめる
払込証明書が完了したら、以下の手順で製本します。
・払込証明書
・通帳の表紙のコピー
・通帳の表紙裏のコピー
・振込内容の記載がある通帳のコピー
書類を順番に積み重ね、ホッチキスで綴じます。
製本が完了したら、各ページの境目に会社代表印を押印します。
全ての作業が終了したら、大切に保管してください。
資本金払込時に注意するポイント
資本金払込時に注意するポイントについて説明します。
・もともと銀行口座にあった資金は資本金にできない
・インターネットバンキング利用時の注意点
・代表取締役個人の印鑑ではなく代表社印(会社実印)を登録する
もともと銀行口座にあった資金は資本金にできない
会社設立事項で決定した資本金額が発起人の銀行口座にもともと入っている場合もありますが、そのままでは資本金として活用することはできませんので注意が必要です。
会社設立においては、資本金を用意した事実を証明する必要があります。
銀行口座に入金された資本金があっても、振り込みによる資本金であるか不明のため、直接資本金として扱うことはできません。
口座に入金された金額を資本金として活用する場合は、まず口座から資本金額以上の金額を引き出し、その後再度同じ口座に振り込む必要があります。
インターネットバンキング利用時の注意点
資本金の払込みは、ネットバンクでも行うことができます。
ただし、ネットバンクでは通帳が発行されないため、通帳のコピーを取得することができません。したがって、ネットバンクのマイページから取引履歴を表示し、プリントアウトすれば、資本金の払込みを証明することができ、それを証明書として提出する必要があります。
プリントアウトする際は、銀行名と支店名、口座の名義人、資本金払込みの取引履歴の項目が含まれるようにしましょう。
近年では、メガバンクだけではなく、地方銀行でも通帳のペーパーレス化が進んでおり、WEB上で口座を開設した場合も同じ方法で払込みの証明ができます。
代表取締役個人の印鑑ではなく代表社印(会社実印)を登録する
資本金の払込が済んだことを証明するために作成する払込証明書に、代表者印での押印が必要になります。ここで間違って代表取締役個人の実印で押印してしまうと間違いとなってしまうので注意が必要です。
代表社印とは、法人登記をする際に登録する法人用の印鑑であり、会社の実印となるものです。
法人登記や払込証明書の作成の他に、業務上必要となる契約書などでも使われる非常に重要なものです。資本金の払込だけでなく会社設立自体において、大切なことなので前もって準備しておくようにしましょう。
まとめ
ここまで、資本金を払い込む時期、資本金払込の手順、資本金払込時に注意するポイントなどを中心に解説してきました。
本記事が、これから会社設立を検討している方々にとってご参考になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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