合同会社設立にかかる費用|専門家に依頼する際のポイントについて解説
合同会社の設立に必要な資本金|出資方法・目的と使い道・適正金額と注意点ついて解説
会社を設立するにあたって、登記や書類の作成と行政機関への提出、事業所の開設など様々な手続きを必要とします。
会社の設立には、事務的な手続きだけでなく、手続き自体にかかる費用や物件取得費用や人件費など金銭的な用意も必要です。その中でも、資本金は会社の運営資金としての役割を果たすだけでなく、会社の信用力を示す指標ともなります。
本記事では、合同会社の資本金について資本金の出資方法、資本金の目的と使い道、適正金額と注意点について解説します。
目次
合同会社の資本金
以前は、会社の設立に1,000万円の資本金が必要でしたが、2006年の会社法の改正により、この制限が撤廃され、1円の資本金でも会社を設立することができるようになりました。
後の2016年の会社法改正によって生まれた会社形態である合同会社も同様に1円の資本金で会社設立をすることができます。
従来の株式会社の資本金は株式を発行し、それを投資家が購入する形で資金調達をするものでしたが、合同会社の資本金は、会社の社員が出資者として支払うものとされています。
次に、資本金の目的および使い道について解説します。
これから起業する人にとって会社設立は分からないことが多いのではないでしょうか。
また、起業したばかりの人にとっては事業の立ち上げと同時に様々な手続きを進めなくてはならず大変な思いをしている方も多いことでしょう。
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資本金の目的・使い道
資本金は、合同会社の運営に必要な資金として利用されます。具体的には、事業の開始費用、運転資金、設備投資などに充てられます。また、資本金の額は会社の信用力を示す指標となるため、取引先や金融機関からの信頼を得るためにも重要な役割を果たします。
先ほども解説した通り会社法の改正によって、合同会社の資本金は、設立に必要な最低額が定められていない一方で、会社の運営資金や信用力の確保という重要な役割を担っています。
資本金の2種類の出資方法(現金出資と現物出資)
資本金の出資方法には、大きく分けて現金出資と現物出資の2種類があります。この出資方法を目的や状況に応じて、適切な選択をすることも重要です。
以下、それぞれについて解説します。
現金出資
現金出資は、文字通り現金を会社に出資する方法です。出資者は、合同会社の銀行口座に現金を振り込むことで出資を行います。
この方法は手続きがシンプルでわかりやすいため、多くの合同会社で採用されています。
会社設立前は、まだ合同会社の口座は開設できないので、最初に代表者の口座に振り込み、出資金額を記帳したうえで、必要書類と一緒に通帳のコピーを法務局に届け出るという手続きが必要です。
現物出資
現物出資は、現金以外の財産(不動産、動産、有価証券、債権、知的財産権など)を会社に出資する方法です。現金を用意するのが難しい場合に、有効な方法とされています。
現物出資を行う場合、出資される財産の価値を評価し、その評価額が資本金に算入されます。
この現物出資の評価額を算出するには、弁護士を検査役として選任しますが、これには費用と調査に時間を要します。ただし、この金額が500万円を下回る場合は、検査役の評価を要せず、資本金として計上することができます。
最近は、仮想通貨も現物出資として認められていますが、所得税が課されるなど予想外のコストがかかるかもしれないので、税理士や弁護士に確認すると良いでしょう。
現物出資について、もっと詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
→現物出資とは何?メリットやデメリットを解説
合同会社の資本金の適正金額
合同会社の設立にあたり、資本金の適正額を決定することは、将来の事業運営や信用力の確保において重要な意味を持ちます。ここでは、資本金額の設定目安、平均額と実際の設定例、許認可事業ごとの最低資本金額について解説します。
資本金額設定の目安
1円の資本金でも合同会社の設立はできますが、資金調達や取引先との関係を考えると、現実的ではありません。また、開業してから半年は売上がなくても耐え凌ぐことができる資金が必要です。
それを踏まえた上で、合同会社の資本金は300万円が多いと言われています。日本政府の統計によると、およそ80%の合同会社の資本金が300万円未満であることが分かります。したがって、300万円の資本金が1つの目安といえます。
しかし、製造業や商社のように、設備投資や在庫を抱える会社になると、数千万円以上の資本金が必要になるので、自社の規模や業種を見据えて、金額の設定をしましょう。
許認可事業ごとに異なる最低資本金額
一部の許認可事業では、法律や条例によって最低資本金額が定められています。この資本金額は、先ほど触れた平均300万円の資本金を大きく上回るので、ある程度把握しておく必要があるでしょう。
ここでは、簡単に許認可業種と最低資本金額についてまとめていきます。
業種 | 最低資本金額 |
一般建設業 | 500万円以上(※自己資本) |
特定建設業 | 2,000万円以上(※会社設立後、すぐに取得する場合4,000万円) |
貨物利用運送業 | 300万円以上 |
有料職業紹介業 | 500万円以上(事業所数に応じる) |
一般労働者派遣業 | 2,000万円以上(事業所数に応じる) |
第1種旅行業 | 3,000万円 |
合同会社設立時の注意点
合同会社を設立する際には、資本金に関連する税金の問題や、資本金の払込方法、払込証明書の重要性など、注意を払うべき点がいくつかあります。
これらの注意点を適切に理解し、対処することで、スムーズな会社設立とその後の運営を実現することができます。
資本金と税金
合同会社の設立時には、資本金に関連する税金として登録免許税が発生します。この税金は、資本金の額に応じて計算され、会社設立登記を行う際に納付する必要があります。
また、会社設立後に法人に対して支払い義務が生じる税金として法人税・法人住民税・消費税があります。これらは登録免許税と同様に、資本金額の大きさによって変わってきます。
以下、それぞれまとめます。
税金の種類 | 内容 | |
登録免許税 | 資本金額×0.7%または6万円のどちらか高い方 | |
消費税 | 資本金1,000万円以上 | 標準税率10%・軽減税率8%(免税特例対象外) |
資本金1,000万円以下 | 原則として設立1期目と2期目(条件あり)の消費税の納税義務のは免除 | |
法人税 | 資本金1億円以上 | 所得のすべてに対して税率23.2% |
資本金1億円以下:の場合、 | 税率23.2%(所得800万円超える) | |
税率15%(所得800万円以下) | ||
法人住民税(※東京都所在かつ従業員50人以下の場合) | 資本金1,000万円超え | 年額18万円(均等割) |
資本金1,000万円以下 | 年額7万円(均等割) |
資本金の払込方法と払込証明書の重要性
資本金の払込方法には、先ほど解説した現金出資や現物出資などがありますが、いずれの方法を選択する場合でも、払込が完了したことを証明する払込証明書が必要となります。
払込証明書は、会社設立登記の際に提出する重要な書類の1つです。書類に記載される内容として、日付・資本金総額・商号または代表社員名・会社実印での押印になります。
現金出資の場合は、銀行の預金通帳のコピーなどが払込証明書として認められます。また、銀行での払い込みではなく代表社員が作成した出資金を示す領収書も資本金の払込証明書として認められます。現物出資の場合は、出資された財産の評価額と所有権の移転を証明する書類が必要となります。
資本金の増資と管理
合同会社の成長に伴い、事業拡大や新たな投資のために資本金の増資が必要となる場合があります。ここでは、増資の方法とコスト、資本金以外の出資金の計上方法、資本準備金の扱いについて解説します。
増資の方法とコスト
合同会社の増資には、主に追加出資と新たな出資者の募集の2つの方法があります。追加出資は、既存の社員がさらに資本金を出資する方法です。新たな出資者の募集は、新しい社員を迎え入れることで資本金を増やす方法です。
それぞれ、増資の手続きにおいて、以下に挙げる社員の同意書・証明書が必要になります。
・出資額を増加した定款変更にかかわる総社員の同意書
・業務執行社員の過半数の一致があったことを示す証明書
・資本金計上に関する証明書
・変更登記申請書
・払込証明書
・印鑑登録証明書(※新社員が代表社員になる場合)
また、増資には、合同会社を設立する際に支払う登録免許税を再度支払う必要があります。それぞれの増資方法において支払う登録免許税について簡単にまとめます。
増資方法 | 費用 |
追加出資 | 登録免許税3万円もしくは増資金額に0.7%を掛け合わせた金額 |
新しい社員による増資 | 登録免許税3万円もしくは増資金額に0.7%を掛け合わせた金額 |
登録免許税1万円(追加社員ごとに) |
資本金以外の出資金の計上方法
資本金以外の出資金は、資本準備金として計上されることが一般的です。資本準備金は、将来の増資や損失の補填に備えて設けられるものです。資本準備金は資本金とは別に管理され、会社の財務状態を示す重要な指標となります。
しかし、出資金の半分までしか資本準備金にできない株式会社と異なり合同会社には資本準備金がないので、資本金以外の出資金は資本剰余金として計上します。
まとめ
ここまで、合同会社の資本金について資本金の出資方法、資本金の目的と使い道、適正金額と注意点を中心に解説してきました。
本記事が、これから会社設立の準備や会社設立を検討している起業家・個人事業主・独立予定の会社員の方のご参考になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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