歯科医院を開業するまでの流れ|開業のポイントとメリット・デメリットについて解説

歯科医院を開業するまでの流れ|開業のポイントとメリット・デメリットについて解説

歯科医師として勤務している方々にとって、独立開業は常に考えられる選択肢の1つです。

自身で歯科医院を立ち上げることで、治療の将来像をより具体的に考えやすくなり、収入面でも大きなメリットが見込めます。その一方で、マネジメントに時間を割かざるを得ないというデメリットもあります。

この記事では、歯科医院の開業の流れや開業に伴うメリットやデメリットなどを中心に解説していきます。

歯科医院開業までの流れ

歯科医院開業までの流れについて説明します。
・理想の歯科医院の構想
・具体的な計画の立案
・開業の準備
・内外装の工事
・医療機器の導入など開業前の準備
・スタッフの研修など開業直前の準備
・オープン直前

理想の歯科医院の構想

診療所を構想する段階では、様々な要素を具体的に考えることが重要です。

まずは診療所の広さや立地、内装の雰囲気を検討します。

患者層を明確に把握し、それに応じて適切な立地条件や内装デザインを選定することが重要です。

診療所のコンセプトを明確にし、独自の特徴やサービスを提供する計画を立てる必要があります

資金計画では、自己資金と融資の割合を具体的に決定し、開業資金の調達方法や返済計画を考えることで、開業後の財務面の安定性を確保することができます。

これらを具体化することで、開業後のステップをスムーズに進めることができます。

具体的な計画の立案

開業計画を立て始める段階では、具体的な手続きや準備に取り組むことが重要です。

自身の歯科医院の理想像にて構想した診療所の立地や広さ、周辺環境などを考慮し、複数の物件を比較検討します。

その後、内装や設備に関する見積もりを取得し、開業資金計画に反映させることが必要です。

銀行に融資額の相談をしたり、歯科医師会や厚生局と連絡を取り合ったりすることもこの段階で行います。

融資の条件や手続きについて詳細な情報を収集し、ビジネスプランを具体化していきます。
開業に際しては、診療所のコンセプトや立地条件が成功に大きく影響します。

そのため、開業コンサルティングを利用するケースも増えています。開業の成功に向けて、計画段階で十分な相談や検討を行うことが重要です。

開業の準備

開業に向けて本格的な準備を始める段階では、様々な決定を行います。

これから新規で開業する際は特に、診療所に必要な医療設備や機器の選定が重要です。

ユニットやレセプションカウンター、レントゲン装置など、設備の決定、同時に、物件や内装業者の選定も行います。

さらに、融資を受ける金融機関を決定し、融資手続きを進めることもこの段階で行います。

内外装の工事

物件の契約が成立し、実際の内装工事が始まる段階に入ります。

この時点から、事業計画の変更が困難になるため、慎重な進行が求められます。

テナントから開業する場合、通常は約4ヶ月前から内装工事を開始するのが一般的ですが、診療所を新築する場合は工期が1年程度かかることもあります

計画通りに進むように工事を管理し、着実に準備を進めていきましょう。

医療機器の導入など開業前の準備

備品や消耗材料の契約、診療所スタッフの採用手続き、ホームページの作成、内覧会の企画・準備、役所に提出する書類の整備など、開業に関わるあらゆる準備を同時に進めていきます

さらに、内装工事が完了し、ユニットやレントゲンなどの大型機器の取り付けもこの時期に行われます。

多くの決定や手続きが重なり、煩雑になりがちですが、計画的に準備を進めることが重要です。

スタッフの研修など開業直前の準備

内装工事や機器導入などの準備が整い、開業に向けて直前の段階に入ります。

この時点で、医療スタッフの決定や研修の手配を行います。

さらに、保健所の検査や役所への届出書類の申請など、必要な手続きを完了させます。歯科医師会への加入手続きも忘れずに行いましょう。

そして、地域の方々に歯科医院の開業を知らせるための内覧会を計画・実施するのもこの段階です。

オープン直前

いよいよ開業のタイミングに入りますが、診療報酬が最初の2ヶ月間は入ってこないため、その期間の経費や人件費は開業時に用意した運転資金で補う必要があります。

最初は経費を抑えるために必要最低限のスタッフでスタートし、収支が安定して人件費を支払えるようになった段階で、再び採用を行うことも戦略の1つです。

これから起業する人にとって会社設立は分からないことが多いのではないでしょうか。

また、起業したばかりの人にとっては事業の立ち上げと同時に様々な手続きを進めなくてはならず大変な思いをしている方も多いことでしょう。

そこで、ミチシルベでは
「会社設立について相談したい・・・」
「会社設立の手続きどうしたらいいかよくわからない・・・」
「税理士や司法書士を紹介してほしい・・・」
といった起業したばかりもしくはこれから起業する方々のお悩みにお応えするべく、会社設立についての無料相談を実施しています。

下記バナーから無料相談をお申し込みできますので、ご自身の会社設立に関するお悩み解消にご活用ください。

歯科医院開業のメリット

歯科医院開業のメリットについて説明します。
・自身の裁量を持って治療方針を立てられる
・開業エリアを自分で決めれる
・勤務医より年収が上がることも期待できる

自身の裁量を持って治療方針を立てられる

通常、勤務医は所属する病院の方針に則って治療を進めます。

一部の場合、勤務医が自身の判断で治療方針を決断することもありますが、病院の考えや方針に対し違いが生じると軋轢が起きたり、中途半端な治療になることが想定されます。

独立開業することで、患者との関わり方や治療方針などを自分の裁量権で自由に実現することができます

自らの考えや方針に沿って医療を提供したい歯科医師にとって、独立開業は大変魅力的な選択肢と言えるでしょう。

開業エリアを自分で決めれる

歯科医院の経営において、開業するエリアの選定は非常に重要です。適切な立地条件が医院の運営に大きな影響を与える可能性があるため、開業場所の検討には慎重さが求められます。

また、開業するエリアを自由に選択できるため、自身の診療方針や理想像に合った場所を選ぶことができます

患者層が快適に過ごせる環境を提供するために、内装やデザインにも自由にこだわることができるのは、歯科開業のメリットの1つです。

勤務医より年収が上がることも期待できる

開業医は勤務医よりも平均年齢が高く、医師としての経験年数も長いため、開業医の年収が高い傾向にあります。

経営者としてのリスクも念頭に置く必要はありますが、開業後に事業が順調に成長すれば、一般的には平均して2倍近い年収を得ることができます

この見通しは、開業に対するモチベーションを高める一因となります。

歯科医院開業のデメリット

歯科医院開業のデメリットについて説明します。
・診療所の運営に関するコスト
・診療以外の業務の増加
・経営者としての責任
・認知度の向上に苦戦する可能性

診療所の運営に関するコスト

開業医になる場合、診療所を代表して運営する役割が求められます。

運営方針の決定や広告の展開、スタッフの教育など、多岐にわたる業務が必要です。

また、内装やデザインを含めた診療所のブランディングも重要であり、これが集患に大きく影響する場合もあります。

歯科医としてのスキルの向上だけでなく、経営に関わる様々な業務にも注力する必要があります。

一方で、これらの業務にはコストがかかるため、経済面でも注意が必要と言えます。

診療以外の業務の増加

勤務医は主に診療に専念し、自身のスキルを向上させることが主な業務ですが、開業医になると、医師としての業務に加えて、集患のための広報活動やスタッフの教育など、様々な業務が追加されます。

これらの業務を怠ると、優れた診療技術があっても患者が離れる可能性があるため、細心の配慮が必要です。

経営者としての責任

歯科開業では、経営者としての責任が大きく求められます。

開業には多額の資金が必要で、通常は銀行からの融資を受けて長期的な借金返済が必要です。

そのため、毎月のキャッシュフロー管理が欠かせません。また、開業医は代表者としてトラブルに対処しなければならず、勤務医とは異なる責任があります

認知度の向上に苦戦する可能性

新たに歯科医院を開業する際、集患には時間と費用がかかるというデメリットがあります。 地域の人々は通常、定期的に通っている歯科医を持っており、新しい歯科医院に来院を促すためには内覧会やチラシ配布などの宣伝活動が必要です。

特に開業初期は口コミでの集患が難しいため、ホームページや広告を積極的に活用して集患する必要があります。 一方、テナントの居抜きや継承によって開業する場合、以前の患者を引き継ぐ可能性がある点も考慮しましょう。

必要な開業資金

必要な開業資金について説明します。
・設備投資資金
・運転資金

設備投資資金

開業時の設備投資資金は、建物や医療機器などに必要な資金のことを言います。

これには医療設備やITシステム、内装や外装、賃貸費用、広告費用、スタッフの給与などが含まれます。

医療設備に関しては、購入ではなくリースを選択することで、初期費用を抑えることができるケースもあります。

運転資金

開業直後に予約が埋まるケースはまれであり、安定した経営を確保するためには十分な運転資金が必要です。

保険診療の場合、請求から入金までに2ヶ月ほどかかることもあります

そのため、運転資金は少なくとも6ヶ月分を見積もることを推奨します

必要経費を考慮すると、開業には少なくとも5,000万円が必要と想定されます。開業資金は、自己資金として一部を用意し、残りは融資や補助金を活用するのが一般的です。

自治体によっては創業支援融資や金利の補助を提供している場合もありますので、開業を検討する際には地元自治体に相談することをお薦めします。

開業資金について、もっと詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
開業資金はいくら必要?4つの資金調達方法を解説

歯科医院開業のポイント

歯科医院開業のポイントについて説明します。
・余裕のある資金計画
・開業エリアの事前調査
・経営者としての考え方やスキルを身に着ける

余裕のある資金計画

「歯科医院開業までの流れ」の項目でも解説しましたが、開業後の最初の2ヶ月間は診療報酬が得られず、十分な資金を持たないと給料の支払いや備品の購入に支障をきたす可能性があります。

また、予期せぬ費用が発生し資金が不足するリスクも考えられます。

このようなリスクを回避するためには、余裕を持った資金計画を立てて、無理のない運営を心がけることが重要です。

開業エリアの事前調査

エリア選定のための調査は、歯科医院を開業する上で非常に重要です。

周辺地域の居住者やその人口統計、競合する他の歯科医院の存在や提供するサービス、地域の歯科医療の需要などを詳しく調査することが必要です。

これにより、開業前からその地域の市場ニーズや潜在的な患者数を把握し、収益予測を立てることができます。

また、競合状況や地域の特性を考慮して、自身の歯科医院の特徴や差別化できるポイントを明確にすることも重要です。

経営者としての考え方やスキルを身に着ける

歯科医院を開業すると、そのクリニックの経営者として幅広い責任を負うことになります。

従業員の働く環境を改善し、患者の集患数を増やすためのマーケティング施策を計画する必要があります。

また、自身の診療スキルに加えて、経営戦略や財務管理などの経営者としてのスキルを向上させ、医院全体の発展に尽力することも不可欠です。院内に経営専門の担当者を置くこともできますが、そうだとしてもある程度の見識を身につけると良いでしょう。

まとめ

ここまで、歯科医院の開業の流れや開業に伴うメリットやデメリットなどを中心に解説してきました。

本記事が、これから歯科医院の開業を検討している歯科医師の方々にとってご参考になれば幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

著 者

SOICO株式会社
共同創業者&代表取締役CEO
茅原 淳一 (かやはら じゅんいち)

慶應義塾大学卒業後、新日本有限責任監査法人にて監査業務に従事。 その後クレディスイス証券株式会社を経て2012年KLab株式会社入社。 KLabでは海外子会社の取締役等を歴任。2016年上場会社として初の信託を活用したストックオプションプランを実施。 2015年医療系ベンチャーの取締役財務責任者に就任。 2018年よりSOICO株式会社の代表取締役CEOに就任。公認会計士。

この記事のキーワード

キーワードがありません。

この記事と同じキーワードの記事

まだ記事がありません。

キーワードから探す

資料請求

資料請求

カンタン1分登録で、気になる資料を無料でお取り寄せ

お問い合わせ

そんなお悩みをお持ちの方は、まずはお問い合わせください!