発起人とは?役割と責任・注意点・役員と取締役の違いについて解説
定款の作り方|作成のポイントと注意点・電子定款の作成について解説
定款は会社を設立する上で必ず作成しなくてはならず、会社の基本的な概要や指針が記載された憲法とも言われている重要な物になります。そのため、会社設立後も円滑に事業を運営していくためにも、正確な定款を作成することが重要です。
本記事では、定款に記載すべき内容や作成方法、作成にあたっての注意事項について解説していきます。
目次
定款とは
定款とは、会社の憲法とも言われており、会社組織・運営に関する根本的な規則や原則のことを言い、会社の基本的情報だけでなく、事業目的などの運営に関する指針についても記載されています。
定款に記載すべき内容については、後ほど詳しく解説していきますが、それぞれの会社が自由に作成できるわけではありません。会社法によって記載しなければならない事項や内容が決められています。
合同会社の定款について
合同会社とは、出資者が経営者として会社の所有者であり社員となります。そのため、社員全員が平等に決定権を持ち有限責任を負う形となります。
したがって、合同会社における定款には、株式会社と異なり有限責任社員のみで会社が構成されていることを明記しなければなりません。
定款について、もっと詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
→ 定款とは?必要な理由・記載すべき項目・変更方法について解説
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定款の作成について
定款は、会社を設立する時に用意しなければなりません。また、会社の基本的な原則をまとめたものであることからも、立案者や発起人全員で作成しなければなりません。
実際に、会社法第26条で下記の通り定められています。
株式会社を設立するには、発起人が定款を作成し、その全員がこれに署名し、又は記名押印しなければならない。
会社法第26条第1項
定款の作り方について、もっと詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
→定款の作り方|作成のポイントと注意点・電子定款の作成について解説
定款に記載すべき内容
定款に記載すべき内容については、大きく分けて以下の3つの項目に分けることができます。それぞれの項目ごとで意味や内容が大きく異なっているので、定款を作成する際には、必ず事前に確認するようにしましょう。
・絶対的記載事項
・相対的記載事項
・任意的記載事項
絶対的記載事項
絶対的記載事項とは、定款を作成するにあたり、必ず記載しなければならないない項目を指します。絶対的記載事項が定款に記載されていない場合は、定款自体が無効となってしまうため注意が必要です。
相対的記載事項
相対的記載事項とは、絶対的記載事項とは異なり、定款作成において記載されていなかったとしても定款が無効になることはありません。しかし、定款に記載がない事項については効力が発生しないものを指します。
任意的記載事項
任意的記載事項とは、定款に記載されていなくても違法性はなく、策定された規則の効力についても無効になったりはしません。そのため、定款を作成するにあたって決められていない場合でも大きな問題はありませんが、定款に記載しておくことで後々の手間が少なくなるものを指します。
定款に記載する事業目的の書き方について、もっと詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
→ 定款に記載する事業目的の書き方|事業目的の書き方・定める際のポイントについて解説
定款作成に関するポイント
定款を作成するにあたり、まずは機関設計をどのようにするのかを検討し、運営体制を決めていきましょう。具体的には、取締役の人数や取締役会の設置、監査役の配置などについてです。
また、資本金額についても決めていきましょう。会社法において、資本金の制限はないことから自由に設定することができますが、法人口座の開設や融資などの資金調達の場面に影響してくるため、慎重に設定するようにしましょう。それぞれの内容が決まり次第、定款に記載していきますが、各条文や構成について解説していきます。
定款の条文
実際に定款を作成する段階では、上記で解説した絶対的記載事項、相対的記載事項、任意的記載事項の3つの事項について、記載すべき内容をまとめ文章にしていきます。
その際には、定款の内容に記載漏れがないかをしっかりと確認するようにしましょう。定款の雛形については、後ほどご紹介しますが、ここでは、取締役1名かつ監査役は設置しない小規模の会社を前提として、定款の条文を解説していきます。
第1章 総則
第2章 株式
第3章 株主総会
第4章 取締役
第5章 計算
第6章 附則
第1章 総則
まずは総則です。この章では、会社名や商号、事業目的や本店の所在地を記載していきます。なお、これら項目については、絶対的記載事項に当たるため、必ず記載するよう注意しましょう。
また、総則に公告方法も記載すると良いでしょう。公告方法は絶対的記載事項には当たらないものの、総則に記載することが一般的です。
第2章 株式
続いて株式です。この章では、相対的記載事項に当たる発行可能株式総数や株券の発行などについて記載していきます。株券は原則発行しないものであるため、株券の発行について定款に記載されていないと、株券を発行しない株券不発行会社となってしまいます。
なお、会社設立後に株券発行を中止するために定款を変更することは可能ですが、株主総会の特別決議等様々な変更手続きを踏む必要があります。
そのほかにも、株式の譲渡制限に関する内容や議決権を有する株主を決める際の基準日に関する条文も記載していくと良いでしょう。
株式会社について、もっと詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
→ 株式会社の仕組みとは?設立するメリットとデメリット・合同会社と有限会社との違いについて解説
第3章 株主総会
この章では、株主総会に関する内容について記載していきます。具体的には、招集時期や招集権者、招集方法、株主総会で議長を務めるものや決議、議事録などについてです。
なお、招集権者については、会社法の定めにより取締役であるとされていますが、代表取締役として定款に定めた場合は、代表取締役が招集権者となります。また、招集権者に何かあったときに備え、代行措置を記載しておくと良いでしょう。
第4章 取締役
次は、取締役に関する内容について記載していきます。具体的な項目としては、取締役の数や選任方法、任期や取締役となり得る者の資格などについてです。
会社法において、株式会社では最低1人は取締役の選任が必要となります。また、実際に人数を定款に記載する場合、上限や下限を記載する場合やその両方を記載する場合などがあります。
第5章 計算
続いては、計算に関する項目、事業年度や決算期について記載していきます。事業年度や決算期は定款に記載しなければならない項目ではありませんが、株主に利益配当時期を明らかにするため、定款に記載されていた方が良いでしょう。
そのほか具体的な項目としては、配当金の支給対象者に関する取り決めや除斥期間についてです。
第6章 附則
最後の章では、附則について記載していきます。この章では、会社設立に関して第1章から第5章に記載された内容以外の決まりを記載していきます。
なお、附則に記載する理由としては、定款の章の中に記載してしまうと変更時に配列のバランスが崩れてしまう可能性があるためです。
具体的な項目としては、資本金額や最初の事業年度、発起人の氏名や住所、現物出資や設立時の取締役などに関する項目です。なお、資本金額や発起人の氏名及び住所は、絶対的記載事項であり、必ず記載しなければなりません。
現物出資のように、定款に記載していないと効力が認められない相対的記載事項は、財産の引き受けや設立費用、発起人の報酬や特別利益などがあげられます。
定款の雛形
定款を作成するにあたり、以下のポイントを参考にして、用いる雛形が変わってきます。そのため、設立する会社の状況に合わせて使い分けるようにしましょう。
①公開会社または非公開会社
1つ目のタイプ分けは公開会社か非公開会社か、どちらの会社によるかで雛形が異なります。なお、公開会社と非公開会社の違いとは、株式において譲渡制限があるかないかによって違いがあります。
譲渡制限がない場合、会社設立において共同で設立した発起人がやめてしまうと、第三者に株が売られ経営権が変わってしまう場合があります。そのため、新たに会社を設立する際には、定款に譲渡制限を記載しておくと良いでしょう。
②取締役の人数
2つ目は取締役の人数によって雛形が変わります。取締役が1名の場合、1名以上3名以下の場合、3名以上の場合でそれぞれ異なります。
また、定款に記載すべき内容である取締役の人数や任期においてもそれぞれの記載が必要となってきますので、注意しましょう。
③取締役会
3つ目は取締役会を設置するかどうかがポイントとなります。取締役会が設置されるには、取締役が3名以上必要となりますが、取締役会がない場合は、株主総会で意思決定を行うこととなります。
取締役会が設置されることのメリットとしては、意思決定までのスピード感が早くなることが挙げられます。
④監査役
最後は監査役の在否についてです。取締役会が設置されている場合は、監査役が必要となりますが、取締役会がない場合は任意となります。
なお、一般的には取締役会がない場合は、監査役が設置されないことが普通です。
定款の作成費用
定款を作成するにあたって、様々な場面で必要となるコストが発生します。
具体的には、定款を認証するための手数料や収入印紙代、定款の謄本を発行するための手数料などがあります。会社設立においては、登記までの行程を考えた場合は20万以上は必要となってきます。
加えて、定款を作成するにあたって、専門家に依頼をする場合はさらに追加費用が必要となってくるため、あらかじめどの程度の費用が発生するのか確認しておきましょう。
定款作成時の注意事項
設立後の会社経営を円滑にするために、定款の作成において注意すべき点を3つご紹介します。実際に定款を作成するにあたって、事前に確認しておくようにしましょう。
・正しい表記
・事業目的の設定
・資本金額の設定
正しい表記
定款を記載するにあたって、正しい表記をする必要があります。よく起こりがちなミスとして接続詞の使い方の誤りや、住所にハイフンを使わないなどの表記方法に関する一定のルールが守られていない場合が挙げられます。そのため、実際に作成した場合は、必ず確認するようにしましょう。
事業目的の設定
事業目的の設定においても十分な注意が必要となります。上記で説明した通り、定款に記載されていないような事業は行うことができないため、設立する会社がどのような事業を行うのか、第三者から見てもはっきりとわかるような表現で記載するようにしましょう。
資本金額の設定
資本金の設定によっては、会社が納めなければならない税額が変わってきます。
もし、資本金が1,000万円を超えていれば、事業を開始した年度においても消費税を納めなければならない必要があるので、必ず確認しておくようにしましょう。
電子定款の作成
電子定款とは、書面で作成されたものではなく電子ファイルにて作成された定款のことを指します。電子定款を作成することで、印紙代が発生しないことや作成作業における手間が少ないことがメリットとしてあげられます。
メリットが多い電子定款ですが、どのように作成することができるのか順をおって解説していきます。
・定款の作成
・PDFファイルの変換
・マイナンバーカードの取得
・電子証明書の読み込み
・電子証明
定款の作成
電子定款においても、書面での定款と同様に、まずは定款の作成が必要となってきます。上記で解説した通り、記載すべき項目をまとめ、Wordファイルなどのソフトで電子ファイルで定款を作成します。
PDFファイルの変換
作成した定款をPDFファイルに変換していきます。また、この段階までに作成した定款の内容に誤りがないか役場に確認するようにしましょう。
マイナンバーカードの取得
電子定款を申請するにあたって、電子署名を入力する必要があることから、電子証明書の認証が必要不可欠となります。そこで、必ず電子証明書付きのマイナンバーカードを取得する必要がありますので、事前に申請を行っておくようにしましょう。
電子証明書の読み込み
マイナンバーカードの取得後に、ICカードリーダライタによってマイナンバーカードに内蔵されたICを読み込むことで、電子証明書を読み込むことが可能です。
なお、マイナンバーカードを読み取りできるICカードリーダライタかどうか確認し、もし無いようであれば購入しておくようにしましょう。
電子証明
電子証明をするためには、PDFファイルに電子署名を行います。そのために必要となってくるシステムとしては、PDF署名プラグインソフトや利用者クライアントソフトをダウンロードする必要があります。
Adobe Acrobatなどを用いればPDF署名プラグインソフトを無料で利用できるため、こちらについても事前に確認しておくようにしましょう。
電子定款について、もっと詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
→ 電子定款とは?作り方やメリットを紹介
まとめ
本記事では、定款の作成方法に関する手順や注意事項、電子定款の作成方法などについてご紹介しました。定款は会社の根本的原則であることから、会社設立後の運営においても大きく影響が生じうる重要な要素となってきますので、定款を作成するにあたって1つ1つ正確に作成するようにしましょう。
本記事が、これから会社の設立を考えている起業家・個人事業主・独立予定の会社員の方のご参考になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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