法人印鑑とは?種類や作成の注意点を解説
定款とは?会社設立に必要な理由・記載すべき項目・変更方法について解説
定款(ていかん)は、会社を設立するにあたって、必ず作成しなければならないものであり、会社を運営していくための根本的な原則やルールを明文化した書類です。そのため、定款に記載すべき内容について理解しておく必要があります。
本記事では、定款の概要や具体的に記載すべき内容、申請方法について解説しておりますので、会社を設立するにあたって必ず確認するようにしましょう。
目次
定款とは
定款は原本を2部作成し、会社と公証役場でそれぞれ1部ずつ保管されます。公証役場では、20年間保管されますが、会社で保管する場合は必ず紛失することがないよう注意しましょう。
なお、助成金の申請や行政機関への許認可申請において、定款の提出が求められることがあります。こうした場合は、定款の原本を提出するのではなく、必ず定款の写しとあわせて原本証明を提出するようにしましょう。
定款と約款の違い
定款と混同しがちなものとして「約款」があります。定款とは、上述の通り会社の憲法にあたる根本的な規則であるものに対し、約款とは、会社と個人が契約するに当たって行われる取り決めのようなものであり、契約条項に該当するものになります。
そのため、定款は、会社の経営を続けていくためのルールである一方で、約款は契約を取り交わすときのルール、という違いがありますので、よく理解しておくようにしましょう。
電子定款
電子定款とは、電子文書(PDF)として作成された定款のことを言い、2004年3月1日より電子定款による認証が可能となりました。
電子定款には、定款作成時の印紙税(4万円)が不要であることや、オンライン上で申請することが可能であることなど、メリットもある一方で、電子定款を作成するためのソフトや機材の準備が必要となってきます。そのため、事前によく確認した上で電子定款として作成するのか検討するようにしましょう。
電子定款について、もっと詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
→ 電子定款とは?作り方やメリットを紹介
これから起業する人にとって会社設立は分からないことが多いのではないでしょうか。
また、起業したばかりの人にとっては事業の立ち上げと同時に様々な手続きを進めなくてはならず大変な思いをしている方も多いことでしょう。
そこで、ミチシルベでは
・「会社設立について相談したい・・・」
・「会社設立の手続きどうしたらいいかよくわからない・・・」
・「税理士や司法書士を紹介してほしい・・・」
といった起業したばかりもしくはこれから起業する方々のお悩みにお応えするべく、会社設立についての無料相談を実施しています。
下記バナーから無料相談をお申し込みできますので、ご自身の会社設立に関するお悩み解消にご活用ください。
定款が必要な理由
会社法で定款の作成が定められていますが、企業が定款を必要とする主な理由2点について解説していきます。
・法人格の付与
・会社の統率
法人格の付与
会社経営において定款が必要な1つ目の理由は法人格を得ることができるためです。会社が法人格を得るためには、会社の事業範囲を明記した定款を登記することが必要不可欠となります。何をするための会社なのか、事業内容やできることが定められることで、法人格を得ることができます。
また、法人格を得ることで法人口座を開設することができるようになります。法人口座を利用することで、社会的信用度の向上や銀行からの融資が受けやすいなど、様々なメリットがありますので、会社を設立する際には法人格を得るために定款は必要となってくる要素となります。
会社の統率
会社経営において定款が必要な2つ目の理由は会社を統率していくためです。会社法において大まかな原則や規則は定められている一方で、細かい内容や個々の企業に合わせたルールは定められていません。
そこで会社法だけではカバーしきれていない内容について定款に記載しておくことで、会社全体で守らなければならない規則を網羅することができ、トラブルの発生を未然に防ぐことができます。このように、定款を作成することで、会社全体を共通の原則で統率することができます。
定款に記載する内容
定款に記載すべき内容について、主に以下の3つに分類することができますので、ここではそれぞれの事項に該当する項目やその内容を解説していきます。
・絶対的記載事項
・相対的記載事項
・任意的記載事項
絶対的記載事項
1つ目は、絶対的記載事項です。絶対的記載事項は定款に必ず記載しなければならない事項であり、1つでも記載されていない項目があった場合は、定款自体が無効となってしまいますので、注意が必要です。絶対的記載事項にあたる項目は以下のものがあります。
①目的
会社が運営する事業の目的を記載します。事業目的を記載するにあたって注意すべき点やポイントは別の記事に記載しておりますので、そちらもあわせてご参照ください。
②商号
商号とは、商人が営業上自己を示すための名称のことを指し、いわゆる社名のことをいいます。商号として使用することが出来る文字については、規則がありますので必ず確認しておくようにしましょう。
③本店の所在地
会社を登記する際の住所であり、事業の中心となる場所です。実際の本社の所在地と異なる場合もあります。
③出資財産額
会社を設立するにあたって出資する財産の価格またはその最低額を指します。これは原則資本金として充当されます。なお、出資額については、融資を受ける際の審査や取引先に与える印象など、様々な影響が生じ得ますので、よく検討した上で決めるようにしましょう。
④発起人の氏名や住所
会社設立の手続きを行う者が発起人に当たりますが、この発起人の氏名や住所も絶対的記載事項に当たります。なお、ここで記載すべき住所は、印鑑証明書に記載された住所を正確に記載しましょう。
相対的記載事項
2つ目は、相対的記載事項です。相対的記載事項は、絶対的記載事項では網羅しきれていない項目について記載されたものです。絶対的記載事項と異なる点は、記載されていない場合も定款が無効になるわけではありません。しかし、定款に記載されず規則を作成したとしても、その効力が認められません。特に、会社の財産に影響を与えるような重要なものは変態設立事項と呼ばれ、具体的には以下の項目があります。
①発起人の報酬・特別利益
発起人が会社設立のために実際に提供した労務に対する報酬や特別利益のことを指します。なお、発起人が受ける報酬は給与所得として取り扱われます。
②現物出資
原則としては、会社への出資は金銭で行うことが原則とされていますが、金銭以外の「物」で出資する場合の具体的な内容や出資者を指します。
③財産引受
発起人が会社を設立する前に第三者から「物」を譲り受ける契約を指します。これは、会社設立において必要となってくる物であるため事前に契約が交わされますが、設立後に対価を支払うことになります。
④設立費用
会社を設立するにあたって、発起人が実際に支払った費用を指します。定款に設立費用を記載することで、発起人は会社に費用を請求することができます。
任意的記載事項
3つ目は、任意的記載事項です。任意的記載事項は、絶対的記載事項や相対的記載事項に当たらない事項を指し、定款に記載されていない場合でもその規則は効力が認められます。ただし、公序良俗や法律に反する事項を記載することはできません。具体的な項目の例としては下記の通りです。
①定時株主総会の招集時期
会社が行う定時株主総会の招集時期について記載された項目を指します。
②株主総会の議長
株主総会を実施するにあたり、議長を務める者を明記した項目を指します。
株式会社は定款の認証が必要
株式会社、一般社団法人、一般財団法人などの法人形態では、定款の認証が必要です。作成された定款を公証役場で認証しなければ、法的な効力が発生しません。
定款の認証を行うことで、定款の紛失や改ざんを防ぎ、経営者と出資者の争いを抑止することができます。争いが起きた場合も定款の内容をもとに解決が可能です。
一方、合同会社や合資会社などの持分会社では、経営者と出資者が同一であることが多く、株主同士や経営者間の争いを防ぐための認証は不要とされています。
株式会社の場合は公告方法についても定款に記載する
株式会社では、決算情報や合併などの重要事項を開示するために公告をすることが義務付けられています。この公告方法は、会社の定款に事前に定めておかなければなりません。公告方法は、官報に記載する方法とホームページに広告する電子公告の二つがあります。
官報での公告は、1行ごとに費用が発生します。対して電子公告は、掲載費用もかからず、情報を迅速に公開することが可能です。ただし、電子公告を採用する場合は、その旨を定款に明記しておく必要があります。
定款作成から会社設立の流れ
会社を設立するにあたって、定款の作成を含む実際に行わなければならない具体的な流れをご紹介します。それぞれのステップにおいてある程度、作業の時間や手続きの期間が必要となってくることから、時間に余裕を持って取り組むようにしましょう。
①定款の作成
まずは定款を作成します。上述した通りそれぞれ記載すべき事項に漏れがないかよく注意して作成するようにしましょう。特に絶対的記載事項については、記載漏れがあった場合は法律的に定款としての効力がなくなってしまうため、十分注意しましょう。
相対的記載事項については、金銭トラブルが生じないように、明確に金額や株式数を明記しておくようにしましょう。また複数人で会社を設立する場合については、必ず全員でよく話し合った上で議事録を作成するとより良いでしょう。
最後に任意的記載事項についても記載しましょう。こちらは会社設立後に記載することも可能ですが、会社設立後の事業運営をイメージして記載しておくと良いでしょう。
それぞれの事項を記載したら、法人登記において必要とされる項目が記載されているか確認しましょう。
②定款認証
続いて、定款認証を行います。これは公証役場の公証人が提出された定款を認証することで、株式会社の設立には必要不可欠な手続きとなります。ここで認証を受けることで初めて定款が法律的な効力を持つことができます。なお、株式を発行しない持分会社を設立する場合は公証人からの認証は必要ありません。
定款の認証については、別の記事で詳しく解説していますので、そちらもご参照ください。
③法人登記
定款認証が終わったら、法務省で法人登記を済ます必要があります。登記をするためには、定款のみでなく、法人の印鑑届出書や出資金が実際に払われた証明書など様々な書類が必要となります。
また、法人登記には登録免許税が発生し、最低15万円はかかるため注意するようにしましょう。なお、法人手続きの期限は2週間となっていますので、事前に準備をして進めるようにしましょう。
④会社設立
法人登記が完了し、法務局から登記事項証明書が発行されることで、法人会社が認められ会社が設立されたこととなります。
会社設立後には、雇用保険や労災保険の申請など様々な手続きが必要となってきますので、それぞれ漏れがないように注意してください。
定款の作り方について、もっと詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
→ 定款の作り方|作成のポイントと注意点・電子定款の作成について解説
定款の認証にかかる費用
定款の認証には以下の費用がかかります。
①収入印紙代:40,000円(株式会社のみ)
②設立登記申請用の謄本代:謄本1ページにつき250円(約2,000円程度)
③定款認証の手数料:30,000~50,000円
定款の変更方法
会社を設立した後に定款を変更したい場合は、株主総会の特別決議が必要となります。決議された後に、議事録を作成し法務局に定款変更登記を行います。
手続きが終わったら、定款変更の履歴を残しておくために、会社設立時に作成された定款の原本と議事録を保管しますが、定款変更が多い場合は、最新の定款内容を反映したものを作成し、運用をしていきます。
また、定款を変更するにあたり、定款認証手数料や収入印紙代、定款の謄本代が発生するので注意が必要です。
まとめ
本記事では、定款で記載すべき内容や具体的事項、会社設立にあたっての申請方法などについてご紹介しました。冒頭でも述べたとおり、定款は会社の憲法に当たる重要な書類となります。本記事で解説した内容や申請方法を参考にして、漏れがないよう正確に定款を作成するようにしましょう。
本記事が、これから会社の設立を考えている方の参考になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
この記事のキーワード
キーワードがありません。
この記事を見た方はこんな記事も見ています
この記事と同じキーワードの記事
まだ記事がありません。
キーワードから探す
カンタン1分登録で、気になる資料を無料でお取り寄せ
そんなお悩みをお持ちの方は、まずはお問い合わせください!