起業・開業で資金調達はどうする?創業者の考えに適した資金調達方法とは  

起業・開業で資金調達はどうする?創業者の考えに適した資金調達方法とは   

「開業するために資金調達をしたいけれど、方法があるかわからない」という方も多いのではないでしょうか。

創業時に資金調達を検討される方は、「資金調達の種類」を一度洗い出し、自身の事業に何が向いているのかを選定する必要があります。多くの選択肢から自身にあったものを、場合によっては複合的に検討しなければなりません。

この記事では、個人事業主および創業者が知っておくべき資金調達方法を解説いたします。

資金調達の種類について

創業時の資金調達には、主に「自己資金」「融資」「出資」「補助金・助成金」があります。

これらは以下の表現で言い換えることができます。

自己資金自分で用意する
融資資金を借りる
出資他の企業などから資金をもらう
補助金・助成金自治体などから資金をもらう

この比較だけを見ると自身でリスクを負わない「出資」と「補助金・助成金」だけで事業を創業するのがよいのではないか?と考える方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

実は私もそう考えていました。

しかし、それぞれの特性を正しく理解すると、一筋縄ではいかないことが分かります。

次は、それぞれの特色についてみていきましょう。

自己資金

事業をはじめるために、「自己資金」はほとんどのケースで必須です。

「自己資金」は事業をはじめるための資金であると同時に、事業に対する「本気度」を対外的に示す指標にもなります。

「融資や出資」を受けるにしても、必ず自己資金が確認されます。逆の立場で考えると、自分で起こそうとしている事業に対して「自分でお金をだす方」と「自分でお金を出さない方」では、どちらに出資したいでしょうか。当然前者に出資したいと考えます。

事業規模にもよりますが、一般的に自己資金の目安は1か月の固定費×6か月分は必要であると言われています。

融資とは、シンプルに「お金を借りること」を指します。

融資先として「日本政策金融公庫」「信用金庫」「地方銀行」「メガバンク」がなどがあります。

詳しくは『起業時の資金調達方法とは?頼りにすべき金融機関について解説』に記載していますが、創業時に一番融資を受けやすいのは「日本政策金融公庫」であり、逆に一番融資を受けにくいのは「メガバンク」です。

なぜ融資の難易度が違うのでしょうか。それは融資先によって融資に対するスタンスに違いがあるからです。

以下ではそれぞれのスタンスを以下に示します。

日本政策金融公庫:国営銀行で「創業家を応援する」

メガバンク:民間の銀行で「金利をいかに回収できるか」

このように、創業時に融資を受ける場合は「日本政策金融公庫」に相談するのがよいでしょう。

また「協調融資」と呼ばれる、複数の金融機関に借りる方法もあります。

融資希望者から相談を受けた資金計画に対して、日本公庫と民間金融機関との間で連携して行う融資です。実際の融資にあたっては、希望者の同意を得た上で協調融資を行う民間金融機関との間で情報交換が行われます。

メリットは1社から融資を受けるより協調融資は借入額が大きくなることです。また、地域に根差したきめ細やかな対応、多様な資金調達が用意された民間金融機関と、全国152支店のネットワークがある公庫がタッグを組んでいるのも特徴です。

これにより、資金調達の多様化や安定化を図っています。

一方で、政府系金融機関に担保を差し出す必要がある場合、協調融資を受けるのは困難などのデメリットがあります。

出資

出資は受ける側にすると返済不要な資金なので、「出資をうけたい」と思う方は多くいらっしゃるのではないでしょうか。

まず、前提として「出資」は受けるためのハードルが高いことを認識しておきましょう。具体的には、事業に対する圧倒的な「将来性」と「実現性」が必要です。

ここでは出資におけるメリット・デメリットをご案内します。

【メリット】

・返済不要の資金が手に入る

・出資者も事業のリスクを負うため、出資者から事業へのアドバイスがある

【デメリット】

・事業が成功した際に、出資額に応じたリターンを支払う必要がある

・出資比率によっては経営権を握られて機動的に事業ができなくなる

出資者も基本的には慈善事業ではなく、リターンを求めて出資を行います。

一方で、事業に精通している出資者が付いた場合は「アドバイス」をいただき、事業を推進することもできるでしょう。

これらのメリットとデメリットを総合的に判断しましょう。

次は、出資の主な3種類について説明していきます。

  • ベンチャーキャピタル(VC)

ベンチャーキャピタルとは、文字通りベンチャー企業(新興企業)からキャピタルゲイン(値上がり益)を得ることを目的としています。

良いアイデアがあっても、資金がなければ実行できません。そういった企業に対して、資金等の援助を行いIPOやM&Aといったタイミングで値上がり益を得るのが、ベンチャーキャピタルの目的になります。

ベンチャーキャピタルの種類概要投資先企業のステージ投資対象分野経営への関与
政府系政府や公的機関が運営特に限定なし限定なし投資先の経営の自主性を尊重
証券会社系証券会社の子会社が運営創業期投資に積極的に投資限定なし積極的に経営関与する場合がある
銀行系大手銀行、地方銀行、信用組合などの子会社が運営創業期投資には消極的限定なし消極的なケースが多い
独立系特定資本から独立特に限定なし特に限定なし対象分野を限定していない場合には、それほど積極的に干渉しない
業種特化系特定の業種に特化している創業期投資に積極的ベンチャーキャピタルごとに投資分野を特化豊富なビジネス上のノウハウ、ネットワークを活用するなどなど積極的に関与
  • エンジェル投資家(個人投資家)

エンジェル投資家の基本的なスタンスはベンチャーキャピタルと同じです。IPOやM&Aをゴールとした企業に対して出資を行い、キャピタルゲインを狙いに行きます。

ベンチャーキャピタルと違い、個々の事情を加味した融通は効きやすいと考えられます。エンジェル投資家の場合、大半が銀行や国や自治体が運営する公的な機関からの借り入れ、または助成金が資金源です。

  • クラウドファンディング

日本では2011年から本格的に始動した、比較的新しい出資方法です。インターネットで自身のプロジェクトをPRし出資者を募る方法です。

ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家と異なる点は、以下のとおりです。

プロジェクト単位で出資をする

・リターンがキャピタルゲインだけではなくプロジェクトが成功した際の物品や権利を購入する購入型がある

補助金・助成金

補助金助成金は税金を財源とした、国や地方自治体から得られる資金です。

国が出資を行う理由は未来のある事業に投資をすることで将来的に税収を回収することが目的です。出資とは違いキャピタルゲインなど直接の見返りを求められることはありませんが、その分競争率は高く、また受給できた後も数年にわたる事業報告書が必要です。

一般的に有名な「ものづくり補助金」や「事業再構築補助金」などは1の事業実績が必要となり、創業時には利用できません。

ただし「小規模事業者持続化補助金」は創業時からでも利用できる数少ない補助金なので、創業の際は一度適用することをおすすめします。

小規模事業者持続化補助金について詳しく解説した記事がありますので、あわせて読むと理解が深まります。

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◆まとめ

今回は創業時の資金調達について解説しました。創業時には資金面で多くの負担がかかり、資金をいかに調達できるかが重要となります。

自己資金で賄えなければ、融資や助成金などを活用することを検討しましょう。

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著 者

SOICO株式会社
共同創業者&代表取締役CEO
茅原 淳一 (かやはら じゅんいち)

慶應義塾大学卒業後、新日本有限責任監査法人にて監査業務に従事。 その後クレディスイス証券株式会社を経て2012年KLab株式会社入社。 KLabでは海外子会社の取締役等を歴任。2016年上場会社として初の信託を活用したストックオプションプランを実施。 2015年医療系ベンチャーの取締役財務責任者に就任。 2018年よりSOICO株式会社の代表取締役CEOに就任。公認会計士。

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