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FASS検定とは?試験の概要や対策方法・メリットについて解説

執筆者:茅原淳一(Junichi Kayahara)

CFOになるには?キャリアパスも解説

経理/会計/財務/経営企画などの管理部門としてのキャリア

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FASS検定は、経理や財務に関する知識について、実務的な知識を評価することができ、2005年に登場した試験ではあるものの、その信頼性が高いことから様々な企業からも注目されている試験です。

また、経理・財務の知識や経験が多いほど、本試験では有利となることから、該当部署の役職や年収に比例してスコアが高くなっていきます。そのため、本試験の高いレベルを狙っていくことが、高年収のキャリアアップに繋がっていくことになります。

本記事では、FASS検定の概要やメリット、試験の勉強方法について、ご紹介いたします。


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FASS検定とは

FASS検定は、経済産業省の「経理・財務サービス・スキルスタンダード普及促進モデル事業」の一環で、経理や財務部門の実務スキルを客観的に図ることができる試験を指します。この試験は、実用性や客観性にも優れている試験であり、企業で経理や財務を担当している現場の社員からも納得感を得ることができる検定試験となっています。

実際に、本試験は多数の上場企業や世界各国の企業からも注目を集めています。また、検定の期間内であればいつでも受験することができ、結果は試験の合否で出るのではなく、5段階のレベルで評価される点も特徴的です。

FASS検定と日商簿記

日商簿記の試験では、簿記に関する技能を測定する試験となりますが、FASS検定では、経理や財務部門を担当するうえで実際に必要とされる能力が問われます。そのため、日商簿記では問われることのない税務や資金に関する分野についても、しっかりと学ぶ必要があります。

また、日商簿記は、試験の合否によって結果が示されますが、FASS検定では上述した通り獲得した点数に応じて、レベルごとに振り分けられます

以上より、高いレベルの結果を得ることができた場合は、経理や財務部門におけるマネジメントも可能であると判断することができます。

FASS検定の試験概要

FASS検定を受験するにあたり、まずは主題範囲やその評価方法など、試験の概要について把握しておくことが重要となってきます。そのため、ここでは、以下の3点について解説していきます。
・FASS検定の出題範囲
・FASS検定の評価
・FASS検定の費用及び申込方法

FASS検定の出題範囲

FASS検定の出題範囲については、資産・決算・税務・資金の4つの分野に分かれており、四肢択一式で出題されます。また、上記の4分野を回答した後に、任意でオプション科目として、経営企画スキルにも回答することができます。

4分野それぞれの詳細な内容については、次の通りです。

分野 内容
資産分野 売掛債権管理・買掛債務管理・在庫管理・固定資産管理・ソフトウェア管理
決算分野 月次業績管理・単体決算業務・連結決算業務・外部開示業務
税務分野 税効果計算業務・消費税申告業務・法人税申告業務・連結納税申告業務・税務調査対応
資金分野 現金出納管理・手形管理・有価証券管理・債務保証管理・貸付金管理・借入金管理・社債管理・デリバティブ取引管理・外貨建取引管理・資金管理

FASS検定の評価

FASS検定では、スコアに応じて5段階のレベルとそのスキルの習得度合いが判定されます。レベルとその評価については、以下の通りです。

レベル スコア 内容
A 689点〜 経理や財務分野に関して、業務の内容全般を正確に理解し、自信をもって遂行することができるスキルがある。
B 641〜688点 経理や財務分野に関して、ほとんどの業務内容を理解しており、問題なく業務を遂行できるスキルがある。分野によっては、知識やスキルの正確さに個人差があるが、業務遂行において妨げにはならず、適切な対応ができる。
C 561〜640点 経理や財務分野に関して、日常的な業務を遂行するための基本的なスキルが身についており、通常の業務であれば、支障なく対応できる。一方で、自身が経験していない業務の対応について差が見られる。
D 441~560点 経理や財務分野に関して、分野によっては知識やスキルの正確性に差があり、不十分な部分がみられる。周りの支援を受けながら、最低限の業務を行うことができる。
E 〜440点 経理・財務分野に関して、部分的にしか理解できていないため、今後の努力が期待される。

また、オプション科目については、以下の3段階のレベルで評価されます。

レベル スコア 内容
Green 80%~ 経営企画分野に関する基礎知識が十分に身に着いている。
Yellow 60%~79% 経営企画分野に関する基礎知識がやや不十分である。
Red ~59% 経営企画分野に関する基礎知識が不足している。

FASS検定の費用及び申込方法

FASS検定は、それぞれ上期と下期に試験が実施されており、試験実施期間と試験の申込期間は以下の通りです。

時期 試験実施期間 申込期間
上期 5/1 〜 7/31 2/1 〜 7/28
下期 11/1 〜 1/31 8/1 〜 1/28

試験の申し込みは、インターネットのみで申し込みを受け付けており、申込日から3日目以降で受験を予約することができ、試験自体は、全国のテストセンターで実施されます。スコアについては、試験終了後に会場で渡されます。

受験料については、一般の方で11,000円、日本CFO協会法人会員の方は8,800円となっています。なお、日本CFO協会法人会員は、団体割引もありますので、確認しておくようにしましょう。

FASS検定の対策勉強法

FASS検定で高いスコアを獲得するためには、しっかりと対策を練り、出題傾向を把握したうえで学習していくことが重要です。ここでは、FASS検定の対策勉強方法についてご紹介します。
・学習計画を作成する
・公式学習ガイド・eラーニング教材を活用する
・反復して学習する
・できる問題から解く

学習計画を作成する

まずは、学習計画を作成します。出題範囲である資産・税務・決算・資金の各分野において、自身の理解度や苦手分野を正確に把握したうえで学習計画を作成するようにしましょう。

公式学習ガイド・eラーニング教材を活用する

続いて、公式学習ガイド・eラーニング教材を活用して勉強を進めていきましょう。FASS検定の主催である日本CFO協会から「公式学習ガイド」が発行されているので、この学習ガイドを利用することがお勧めです。

実際に出題される内容の半数以上が、本ガイドから出題される傾向があります。本ガイドは毎年更新されるため、最新のものを購入して勉強するようにしましょう。

また、日本CFO協会からeラーニング教材も提供されているため、確認してみるとよいでしょう。

反復して学習する

FASS検定の内容は、一度だけの学習では定着が難しいため、反復して学習し知識を定着させるようにしましょう。学習ガイドだけでなく、市販のテキストや問題集を活用することで、より知識を深めることが可能です。

できる問題から解く

試験当日にできる対策としては、自分ができると思う問題から解いていくことが高得点に繋がります。試験は、90分という限られた時間内で行わなければならないため、時間配分をしっかりと決め、できる問題から解いていきましょう。

FASS検定のメリット

次に、FASS検定を受験することで様々なメリットがあります。ここでは、FASS検定のメリットを4つ紹介します。
・財務や経理の知識を学べる
・実際の業務で活用できる
・スコアで評価される
・就職や転職で有利に働く

財務や経理の知識を学べる

まず1つ目は、財務や経理の知識を学べることです。FASS検定は、財務や経理に関する実務スキルを測定するための試験であり、日商簿記等の試験よりも全般的に学ぶことができます。そのため、経理や財務を幅広く総合的に学ぶためには、有用な試験となります。

実際の業務で活用できる

2つ目は、実際の業務で活用できる知識やスキルが身につくことです。FASS検定では、実務に近い形で試験が出題されるため、試験勉強を進めていくことで、実務の対策に向けたスキルや知識が自然と身についていくことができます。また、基礎的なものから応用的なものまで、幅広い問題があるため、自身の能力や知識がどの程度身についているのか、把握することができます。

スコアで評価される

3つ目は、スコアで評価される事です。試験結果は合否で判定されず、得点に応じたレベルと評価が判定されるため、現在の自分がどの程度の知識やスキルが身についているのか、正確に把握することができます

就職や転職で有利に働く

最後は、就職や転職活動を進めるうえで、有利に働くことができます。FASS検定で高いスコアを獲得していると、経理や財務に関する知識やスキルが総合的に身についていることを示しているので、就職や転職活動において役に立つでしょう。FASS検定だけでなく、日商簿記等の資格をもっていると、より有利に働くことができます。

FASS検定のデメリット

続いて、FASS検定のデメリットについても触れていきます。FASS検定のデメリットとしては、知名度が低いことが挙げられます。現状としては、日商簿記やFPなどの資格の方が認知度が高い状況です。そのため、経理や財務に関する職種への就職、転職でない場合は、有利に働かない場合もあります。

経理職・CFOに有利な資格については、こちらの記事もご参照ください。
経理職に役に立つ資格|資格が有利に働く場面とおすすめの資格について解説
CFOに役に立つ資格|CFO資格認定・FASS検定・公認会計士について解説

FASS検定を活かす仕事

FASS検定によって、経理や財務に関する必要な知識・スキルを図ることができると同時に、総合的な知識の理解度と実務での活用レベルが判定されることから、経理や財務のスペシャリストとしての職種に活かしていくことができます。

また、一見関連が無いような営業職や管理職においても、事業全体の流れや動きを理解することができるため、FASS検定を受けることで役に立つ場面もあるでしょう。

まとめ

ここまで、FASS検定の概要や勉強方法等についてご紹介しました。

現在、企業からの注目度も集まってきていることからも、経理や財務に関する職種に転職するにあたり、役立つことでしょう。

十分に対策を行い、反復学習を行うことで、知識だけでなく実務スキルも高めていくようにしましょう。

本記事が、経理や財務の職種を目指して転職を考えている方、FASS検定の受験を検討している方の参考になれば幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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この記事を書いた人

慶應義塾大学卒業後、新日本有限責任監査法人にて監査業務に従事。 その後クレディスイス証券株式会社を経て2012年KLab株式会社入社。 KLabでは海外子会社の取締役等を歴任。2016年上場会社として初の信託を活用したストックオプションプランを実施。 2015年医療系ベンチャーの取締役財務責任者に就任。 2018年よりSOICO株式会社の代表取締役CEOに就任。公認会計士。