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経理部門の仕事とは?主な仕事内容・日次/月次/年次のサイクルについても解説
執筆者:茅原淳一(Junichi Kayahara)
CFOになるには?キャリアパスも解説
経理/会計/財務/経営企画などの管理部門としてのキャリア
経理の仕事は会社の資金を扱う仕事であり、どの企業においても重要な仕事です。経理業務は会社経営の中でも血液のような役割を果たします。
本記事では経理職を今後のキャリアとして考える方、もしくは経理職から次のキャリアを考える方に向けて、経理の仕事内容および日次や月次など経理の仕事のサイクルについて解説を行います。
企業の財務に関連する活動の責任者であるCFOについては、こちらの記事もご参照ください。
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目次
経理とは
経理とは、「経営で発生するお金全般の出入りを管理する」仕事のことを言います。
経理は決算書の作成や、従業員の給与計算など企業のお金周りの幅広い業務を行います。そのため、経理部門は会社経営において重要な役割を果たします。
経理については次の記事もご参照ください。
⇒経理部門とは?業務内容と仕事のサイクル・やりがい・待遇について解説
経理の主な仕事内容
経理の仕事とは、日常的な入金や支払いの管理、その取引の流れを記録するのが主な仕事です。
経理部門の1番重要な仕事は、月に1回、年に1回などのペースで行われる決算業務です。決算業務以外に行う仕事として経理部門には具体的に以下のような業務があります。
・売上の記録と管理
・仕入の処理と記録
・売掛金管理
・給与の支払いと記録
・保険料支払いと記録
・従業員の経費の精算と記録
・資産購入や売却時の処理と記録
以下でそれぞれの仕事内容について解説をしていきます。
売上の記録と管理
経理の業務には売上の記録と管理があります。売上の記録や管理は、売上台帳と呼ばれる、会社が仕事で発生する取引での売上を集計した帳簿を用いて行います。
経理は売上を売上台帳に日付、取引先、売上内容、売上金額などの記録を行います。売上台帳は、確定申告の際に必要であることに加えて、5年または7年の間保存しなければならないことが定められています。そのほかにも各種給付金の申請の際にも必要になる場合があります。
法的なケース以外にも、売上台帳は売上の分析などにも用いることができるため、とても重要な帳簿になります。
そのため、売上台帳の記載は金額等の入力にミスがないように正確に行わなければいけません。
仕入の処理と記録
経理は仕入の処理と記録も行います。仕入は勘定科目の中の費用に属する科目で、事業で販売する商品や製品を製造する際に使用する材料などが当たります。
仕入の記帳方法は様々あり、代表的なものには分記法、総記法、三分法、五分法などがあります。仕入の勘定科目や仕訳は記帳方法ごとに異なるため、経理担当者は計上基準や記帳、原価などを正しく認識して、仕訳を行う必要があります。
売掛金管理
売掛金とは、売上の対価として将来的に金銭を受け取る権利のことです。そのため売掛金は売掛債権とも呼ばれます。
売掛金の管理は売掛金元帳などの帳簿や表を用いて行います。売掛金元帳は補助簿という立ち位置なので必ず作成しなければいけないわけではありませんが、売掛金の詳細を簡単に把握することができるため多くの会社で利用されています。
経理では作成した売掛金元帳と取り決めや規定を元にして請求書を発行や送付を行います。帳簿に売上の記載漏れがあると請求書の発行ができず請求が漏れてしまうことに繋がり、会社の信用問題に繋がってしまうため、細心の注意を払うことが求められます。
給与の支払いと記録
経理では社員の給与の計算や勤怠の記録、承認を行っています。給与計算業務では、雇用契約や会社の規定を元に社員一人一人の勤怠時間や手当などを計算し、給与の支給額の計算を行ったあと、健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料など各種社会保険料に加えて所得税や住民税など税金などを引いて、最終的に支給する総額を算出します。
給与支給額のミスは従業員からの会社への信頼に直結するため、正確に行わなければなりません。また、税金の計算にミスがあった場合は、追徴課税となる可能性があり、会社の損失に繋がってしまうおそれがあるだけでなく、会社のコンプライアンスに傷がつくおそれもあります。
そのため、給与の計算業務は単純な計算作業ではありますが、ミスが許されない重要な業務です。
保険料支払いと記録
また経理には、社員の給料から預かっている源泉徴収税や住民税、社会保険料などの保険料の支払いやその記録を行うという業務もあります。
社会保険料や税金といった控除の計算を行います。雇用保険料や健康保険料、厚生年金保険料などのほかに、40歳以上65歳未満の従業員に関しては、介護保険料も計算しなくてはなりません。
所得税は毎月、おおよその金額を算出して税務署に納付します。1年間の正確な所得税額は年末調整で計算し、通常、従業員が還付金を受け取って調整されることになります。
住民税は、各市区町村から毎年5月に納付書が届きます。会社は、納付書に記載された額を従業員の給与から毎月差し引く、源泉徴収を行うことになります。
従業員の経費の精算と記録
経理では従業員の経費の精算やその記録も行っています。従業員の経費の精算では、経理は従業員から上がってくる、出張の交通費や消耗品費、ゴルフ代などの接待交際費など様々なものを適切に各勘定科目に仕訳をし、経費として計上しなければいけません。
従業員の経費の精算を行う際の経理の業務フローは以下のようになります。
1. 費用の立て替え
2. 支払精算書の作成
3. 領収書と支払精算書を提出
4. 確認・承認を受ける
5. 経理部門に提出
6. 経理担当者が確認・処理
経費清算では経理担当者は提出された支払精算書の金額に誤りがないかや、業務に関係のない費用や費用が水増しされていないかなど、経費の用途が適切かどうかを詳細に確認する必要があります。
また、支払精算書が経理の元に届くまでの1~4までのフローに時間がかかるうえ、不備があった場合はさらに2~4のフローをやり直さなければならないため、さらに時間がかかります。会社によっては経費申請に期限を設けているところもあるため、経理担当者は期限に間に合わせるために素早く処理することも求められます。
資産購入や売却時の処理と記録
経理は資産購入や売却時の処理と記録も業務として行います。
固定資産を売却した場合には、減価償却累計額などを考慮に入れた帳簿価額との差額を固定資産売却益、あるいは固定資産売却損として計上する必要があります。さらに、固定資産を除却したら、固定資産除却損(益)を計上しなければいけません。
これらを計上する際には「残存簿価」と呼ばれるものを基準に計算され、残存簿価は固定資産台帳などを元に管理されます。そのため、経理は固定資産台帳への記録を正確に行うことが求められます。
経理の業務サイクルと内容
経理の業務として、「日次」「月次」「年次」と1年を通したサイクルがあります。ここでは、それぞれのサイクルごとの経理の業務について紹介していきます。
日次業務
経理職が毎日行う業務・仕事は以下のようなものがあります。
・預金や現金の管理
・帳簿の作成
・売掛金や買掛金の管理
・経費精算
・仮払金の管理
月次業務
経理職が毎月行う業務・仕事は以下のようなものがあります。
・買掛金や売掛金の管理
・領収書や請求書の発行
・棚卸し・在庫管理
・給料計算
・源泉徴収税や社会保険料の納付
年次業務
経理職が毎年行う業務・仕事は以下のようなものがあります。
・賞与の計算
・年末調整
・償却資産の査定
・決算書類と確定申告書の作成
・税金の納付
経理業務に必要なスキル
経理業務に必要とされるスキルは主に以下の3つが挙げられます。
・簿記
・PC実務スキル
・コミュニケーション力
簿記の知識は専門性が求められる経理の業務を行うにあたって重要なスキルです。簿記の知識は経理の経験を積むことで身につけていくことができますが、経理の業務を行うにはこれだけでは不十分です。
経理の業務では帳簿管理をExcelや会計ソフトで行うことが多いです。そのため、基本的なPC実務のスキルがなければ仕事を行うことが難しいです。
また、経理の業務は複数人で会計ソフトを利用することで進められることが増えました。そのため、経理内でもコミュニケーションをとりながら仕事を進めなければならないことに加えて、他部署とのやりとりの際に、経理に関する専門的な用語をほか部署の人がわかるように説明するコミュニケーション力も求められます。
経理業務に役立つ資格
経理業務において役に立つ資格をご紹介します。現在の経理業務に必要ではないとしても将来的にキャリアアップを目指す際に役に立つ資格があるかもしれません。
・日商簿記検定
・公認会計士
・税理士
・USCPA(米国公認会計士)
・IFRS(国際会計基準)
・給与計算実務能力検定
・所得税法能力検定
・法人税法能力検定
・消費税法検定試験
公認会計士、税理士、USCPA(米国公認会計士)、IFRS(国際会計基準)は難易度が高めの資格であるため、資格取得のためには長期間のまとまった勉強時間が必要になります。
そのため、何か資格を取得したいと考える場合は日商簿記検定2級の資格取得がおすすめです。日商簿記検定2級の資格を取得すると、財務諸表を読む力が身につき、自社や他企業の経営状態を把握することができるようになります。日商簿記検定は国家資格ではないものの、経理職や一般事務職においては非常に有利とされる資格です。
経理業務に役立つ資格については、次の記事もご参照ください。
⇒経理職に役に立つ資格|資格が有利に働く場面とおすすめの資格について解説
経理のキャリアパス
経理業務に携わる方が目指せるキャリアプランは以下が挙げられます。
・ゼネラリスト
・CFO
・経営企画
・大企業への転職
・スペシャリストとして独立
・外資系企業への転職
経理の業務は会計に関する専門的な知識が求められます。一定期間経理としての業務を経験していくうちに高度な知識・スキルを習得することができます。それに加えて、上記で紹介したような資格勉強、取得を行うことによって、幅広いキャリアプランを目指すことができます。
CFO・経理のキャリアパスについては、次の記事もご参照ください。
⇒CFO(最高財務責任者)とは?定義・意味から役割・仕事内容・なり方・キャリアパスまで徹底解説!
⇒経理部門のキャリアの考え方|経理の代表的なキャリアプラン・経理のキャリアパスについて解説
まとめ
この記事では、経理職を今後のキャリアとして考える方、もしくは経理職から次のキャリアを考える方に向けて、本記事では経理の仕事内容および日次や月次など経理の仕事のサイクルについて解説してきました。
本記事が、今後のキャリアを考えている方や社内のキャリアに関わるポジションの方のご参考になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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この記事を書いた人
共同創業者&代表取締役CEO 茅原 淳一(かやはら じゅんいち)
慶應義塾大学卒業後、新日本有限責任監査法人にて監査業務に従事。 その後クレディスイス証券株式会社を経て2012年KLab株式会社入社。 KLabでは海外子会社の取締役等を歴任。2016年上場会社として初の信託を活用したストックオプションプランを実施。 2015年医療系ベンチャーの取締役財務責任者に就任。 2018年よりSOICO株式会社の代表取締役CEOに就任。公認会計士。