COLUMN
コラム
CFOのキャリアパスとは?転職方法・必要なスキル・経験を解説!【2022年下半期上場した企業のCFOデータ付】
執筆者:茅原淳一(Junichi Kayahara)
『資金調達の手引き』
調達ノウハウを徹底解説
資金調達を進めたい経営者の方の
よくある疑問を解決します!
今までご自身が培ってきた経験を活かして、ベンチャー企業のCFOへの転職を考えたことはございませんか?
しかし、いざ「CFOになって社長の右腕として会社を大きく成長させたい!」と思っても、「じゃあCFOに転職するにはどうすればいいの?」、「自分のキャリアでCFOになれるの?」などと考える方も多くいらっしゃると思います!
今回は、2020年下半期に上場した企業のCFOについて調査してわかった、CFOのキャリアパスなどコネクションがなくてもできるCFO転職の成功ルートについて詳しく解説します!
CFOについてはこちらの記事もご参照ください。
⇒CFO(最高財務責任者)とは?定義・意味から役割・仕事内容・なり方・キャリアパスまで徹底解説!
目次
CFOになるために必要なキャリアパス
実は、ベンチャー企業でCFOという財務専門の取締役を設置している会社はそこまで多くはありません。2020年度下半期(2020/7~12)に上場した会社・全64社のうちCFOを設置していたのは15社でした。また、2022年度下半期(2020/7~12)に上場した会社・全51社のうちCFOを設置していたのは14社でした。
多くの会社では、管理部門長やコーポレート部門長を設置し人事部、経理部や財務部などのバックオフィス部門全体の長として役員を設置しているケースが多いです。
2020年度下半期・2022年度下半期に上場した企業のCFOの経歴に関して分析してみました。
また、CFOの採用についてはこちらの記事もご参照ください。
⇒CFO採用とは?メリットやコスト、採用方法まで徹底解説!
2020年度下半期に上場した企業のCFOの出身業界
※”CFO”という名称のつく、役職を設置している企業のCFOの経歴について「新規上場のための有価証券報告書」から調査しました。
※SOICO調べ
2022年度下半期に上場した企業のCFOの出身業界
※”CFO”という名称のつく、役職を設置している企業のCFOの経歴について「新規上場のための有価証券報告書」から調査しました。
※SOICO調べ
金融業界出身
CFOの中で金融業界出身は2020年下半期でCFOを設置している15社のうち7社でした。また、2020年下半期でCFOを設置している14社のうち2社でした。
CFOの入社時期は、平均的に上場3年前が多く、多くの場合は直接取締役やCFOなどの役職で採用されています。
また、金融機関から直接転職するというケースよりも金融機関から他の事業会社での取締役などを複数社経験してからCFOとして参画するという経歴が最も多かったです。
例えば、2020年12月に上場した株式会社グローバルインフォメーションのケースでは日系の証券会社と地方銀行を経由し、事業会社の取締役や社外取締役などを経験し2018年にCFOとして参画するなど、証券会社から事業会社の取締役を経験し、CFOというケースが多かったです。
会計士出身
2020年度下半期に上場した会社のCFOの経歴の中で金融機関に次いで多かったのが公認会計士や会計事務所でのキャリアを経た上でCFOとして直接採用されるケースです。
また、2022年下半期に上場した会社のCFOの経歴の中で1番多かったのは、公認会計士でした。
監査法人で上場支援に携わる部署に所属することがあるため、会計士出身のCFOが上場数年前から上場に向けて採用されるというケースが多いように考えられます。
コンサルティングファーム出身
会計やファイナンス領域を専門としている会計士や金融業界出身社と比較すると締める割合は小さいです。2020年下半期のCFOでは、コンサルティングファーム出身者(シンクタンクを含む)は3人でした。
そして、2020年下半期に上場した会社の中で2種類のパターンがございました。
1点目は、当該業界での経験が豊富であること。2種類目は、前職の事業会社でIPOに携わっていた。
そのため、ファイナンスや会計領域の専門家ではございませんが、業界に精通していたり、事業会社でIPOにも携わっていた実績というのが高く評価されたため、CFOとして採用されているのだと考えられます。
例えば、2020年12月に東証マザーズに上場したバイオベンチャー企業・株式会社ファンペップのCFOは日系のシンクタンクからバイオベンチャー企業の財務管理部長を経て、CFOとして参画していました。
また、2022年下半期に上場した会社のCFOの中で、コンサルティングファーム出身者は3人でした。
コンサルティングファームから事業会社で経歴を積み、CFOとして参画した方や金融系のキャリアから始めて外資系コンサルティングを経て、事業会社で管理部長・経営企画室長からCFOにキャリアを変えた方などがいました。
事業会社出身
2020年度下半期に上場した会社のCFOの中で、事業会社のみの職歴の人はいませんでした。新卒で事業会社に就職した場合でも、その後に会計士の資格を取得したり、金融業界に転職していました。
しかし、会計士や金融機関での経験が無くても、管理部門長やコーポレート部門長の役職では、金融機関や監査法人の経験が経ずに就いている場合がありました。
加えて、上記の場合では上場の10年以上前から入社するなど早い段階から会社に関わっているほど、事業会社出身が多かったです。
そのため、CFOに転職する前に金融会社等を経るか、アーリーやミドルステージの会社に入社して財務だけでなく社内のバックオフィス業務を熟知する存在になることで管理部門長などになり、その経験を生かして複数の事業会社の取締役となる道もあります。
2022年下半期に上場した会社のCFOの経歴の中で事業会社経験者は3人でした。事業会社からCFOに転職した人の中でも、前職で財務に近い部署からCFOとしてキャリアアップしている様相が伺えました。
その他PEファンドやVCもCFOのキャリアパスになる
PEファンドやVCでの勤務経験は、CFOになるためのキャリアパスとなり得ます。
PEファンドやVCでは、日常業務で広範囲の業界や企業に対する財務分析を行うことで、多角的なビジネスモデルを理解し、投資判断や企業改革に関する高度なスキルを習得することが可能です。
その経験が、将来CFOとして、会社の財務戦略を策定し経営上の重要な方針を決めるのに非常に役立ちます。
CFOになるにはどうすればいい?
CFOの転職は一般的な転職の方法とは異なります!
基本的に、転職エージェントやリファラル採用などの個別紹介での採用が主流です。また、シードステージでは、業務内容がまだ狭いため、CFO単体での採用を行うケースが少なく、他部署の部長や取締役が兼任するケースが多いです。
転職サイトを活用して転職する
通常の転職で、最も一般的なのは転職サイトでの求人を見て応募することだと思います。しかし、CFO転職においては、重要なポジションであること、そして枠が一つのみであることから、残念ながらほとんどが非公開求人です。
知人の紹介によるリファラル採用
リファラル採用とは、就活エージェント等を経由せずに、社員の紹介で採用する最もオーソドックスな採用手法です。
採用側としてのメリットは、採用する前から採用する人材の人柄や実績を知った上で、声をかけることができるため、相対的に自信を持ってCFOという重要なポストを担える人材を採用できます。また、候補者としても経営者の人柄やビジョンを事前に知った上で働くことができるため、双方にとってミスマッチが起きにくいです。
CFOの採用枠は一人のみで、ファイナンス領域のスペシャリストとしての責任も求められます。そのため、CFOの採用では経営者自身のネットワークから信頼できる人材に直接声をかけるリファラル採用が最も主流です。
もし、まだネットワークが無いという方は、下記で紹介するシェアリングCFOや転職エージェントを利用すると良いでしょう。
転職エージェントを活用する
多くの人脈を持つ転職エージェントなどから紹介されるケースがあります。特にベンチャー企業のプロフェッショナル人材の転職を対象としている下記の会社などが強いです。
・キャリアカーバー(リクルートグループの転職サイトでハイクラス求人に強みを持っている。)
・ビズリーチ(ハイクラス転職に特化した人材サービスサイト)
・CraeerPool(戦略コンサルティングファーム傘下のベンチャー企業特化の転職サービス)
しかし、残念ながら上述した通り、優良な企業や採用されるケース数の観点から最もメジャーなのがリファラル採用となっているのが現状です。
社内で昇進してCFOになる
現在所属している企業内での昇進を目指すことも、CFOへのキャリアパスとして考えられます。社内での昇進には、組織の文化やプロセスに精通しているという大きなメリットがあります。これにより、信頼関係が既に築かれており、実績や能力が認知されやすい環境が整います。
しかし、デメリットとしては、厳しい社内競争に勝ち抜く必要があることや、経験の幅が企業内に限定される可能性があることです。CFOを目指すには、財務に関連する深い知識やスキルの習得が不可欠であり、これを達成するためには、職務上の成果を積極的にアピールし、組織内での良好な人間関係を構築することが求められます。
具体的には、社内での財務関連プロジェクトに積極的に関わり、必要な資格を取得するとともに、キャリア目標について上司や人事部門に相談し、適切なキャリアプランを検討することが推奨されます。
CFOに必要なスキル・経験
CFOに必要なスキル・経験として、以下が考えられます。
・高度なコミュニケーション能力
・財務・税務・会計領域の専門知識および経験
・財務戦略の立案力
・戦略の実行における推進力・リーダーシップ
・IPOやM&Aに携わった経験
高度なコミュニケーション能力
CFOになるためには、高度なコミュニケーション能力が必須です。企業内外のさまざまなステークホルダーと効果的にコミュニケーションを取り、理解と協力を得る能力は、CFOの業務を成功に導く鍵となります。金融機関や投資家からの資金調達、社内での財務戦略の実行、コンプライアンスの確保など、各種業務を円滑に進めるためには、これらの関係者の信頼を築き、正確かつ効果的な情報を集めることが求められます。
また、資金調達やM&Aなどの重要な交渉の場においては、交渉力も重要です。関係者との信頼関係を構築し、企業の財務目標に沿った成果を得るためには、洗練されたコミュニケーションスキルが必要となるのです。高度なコミュニケーション能力があることで、CFOは企業の戦略的目標達成を効果的に支援できるようになります。
財務・税務・会計領域の専門知識および経験
CFOに必要な最も基本的なスキルの一つに、財務、税務、会計領域の専門知識と実務経験が挙げられます。CFOの財務管理の役割には、会計処理、財務分析、税務申告、資金調達など、多岐にわたる業務が含まれ、これらは企業の持続可能性と成長に直接影響を与えるため、高度な専門知識が必須です。
CFOとして成功するためには、会計基準や税務法規に精通し、これらの知識を適切に適用して企業の財務戦略を策定し実行する能力が求められます。また、財務報告や法令遵守を確実に行うためには、財務部門のリーダーとして正確な判断を下す責任も伴います。
財務戦略の立案力
CFOに必要かつ重要なスキルの一つが財務戦略の立案力です。この能力によって、企業が目指す利益を達成するために必要な投資の選択、コスト構造の最適化、そして予想される財務成果を計画することができます。
CFOは財務戦略を立案し、策定した計画に基づいて、戦略を実行に移す責任を持ちます。
戦略の実行における推進力・リーダーシップ
CFOには、立案した戦略の実行段階における推進力とリーダーシップも求められます。
計画の進行中には、予期せぬ環境変化や社内外の利害対立が生じることがあります。このような障壁が計画の進行を妨げることなく、企業が目指す成果を確実に達成するためには、CFOが状況を正確に把握し、逐一課題を認識して対処する課題解決能力が求められます。
さらに、CFOは企業のビジョンと目標を明確に伝え、社内外のステークホルダーからの信頼と支持を集めることが必要です。市場や規制の変化に対応する柔軟性、創造性を持ち合わせ、財務部門だけでなく、他部門や外部パートナーとの連携を図りながら効果的に業務を進める能力も、CFOには不可欠です。このような広範なリーダーシップと推進力が、CFOのキャリアにおいて極めて重要なスキルセットとなります。
IPOやM&Aに携わった経験
CFOになるためには、IPO支援やM&Aに関わる経験が非常に有利です。IPOやM&Aに携わった経験を持つ人物は、企業の成長や変革に必要な資金調達や買収交渉などの高度なスキルを備え、多様な状況に対応する柔軟性も持っていると期待されます。特にIPO支援やM&Aは、企業が成長段階から次のステージへと進む重要な過程であり、その過程を支援することは、CFOとしての資質を高めることに直結します。
IPOやM&Aのプロジェクトに携わる機会は、監査法人や投資銀行での勤務を通じて得られることが多いですが、直接自社のIPO準備やM&A戦略に関与することも大きな価値があります。
CFOに転職するメリット
あくまで、数多ある成功例の一例にすぎませんが、CFOに転職し、上場を成功させ、ストックオプションを受け取り、一連の経験を活かして別の企業の社外取締役などに就任するような例も散見されます。
まず、スタートアップ企業に転職することのメリットを見ていきましょう。
1)ビジネスパーソンとして成長できる
ベンチャー企業のCFOの場合、VCなどからの資金調達・財務戦略の立案と実行・上場に向けた内部統制などを任されます。
そして、CFOの経歴を調査すると、多くの場合で前職で上記の業務を経験をしたことを武器として、ベンチャー企業の取締役・CFOから別のベンチャー企業のCFOに転職するケースが非常に多いです。そのため、ビジネスパーソンとして市場価値の高い人材に成長できると考えられます。
2)やりがいがある
ベンチャーCFOの場合、大きな組織にはない「スピード感」があります。特に大企業から転職してきた方にとっては、ベンチャー企業の意思決定のスピードの速さや会社の成長性などにやりがいを感じる人もいるそうです。
また、公認会計士や投資銀行出身者はアドバイザー時代とは異なり、「意思決定者」としてビジネスや社内システムを自分で作り上げるなど、やりたいことを形にできることに、やりがいを感じる人も多いそうです。
CFOに求められる役割や必要なスキルや経験などについてもっと知りたいかたは『CFOとは?の記事』で詳しく解説しておりますので、ご高覧していただけますと幸いです。
3)年収アップが見込める
大企業CFOの年収は、2,500万~5,000万円だとされています。
ベンチャー企業の場合は、相場として1,000万円前後の年収に加えて、ストックオプション が付与されて将来的に会社の株価と連動してキャピタルゲインを得られるようなインセンティブ設計がなされている場合が多いです。
CFOの報酬にかかわる年収についてはこちらの記事もご参照ください。
⇒CFOの平均年収はいくら?相場を詳しく解説!
ベンチャー企業CFOのストックオプション報酬について
ベンチャー企業のCFOの場合、毎年の年収が1,000万円~2,000万円であったとしても、上場時のストックオプションの行使で大きなキャピタルゲインを得られる可能性があります。
例えば、世界的なコンサルティングファームであるKPMGジャパンの調査結果によると、2019年度・マザーズに上場した会社の初値時価総額の中央値が133億円でした。もし、IPO上場に向けて、CFOとして参画していて1%のストックオプションを得ていた場合、1億3300万円もの株式を保有できることになります。
CFOに転職するデメリット
一方で、せっかく転職したにも関わらず、入社前に期待していた年収や生活が叶わなかったのみならず、経営環境の急激な悪化から期待していた業務にすら携わることのできなくなってしまう、といったリスクもあります。
1)安定性に欠ける
多くのベンチャー企業は、資金繰りに苦労しているケースがあるため、給与や業務内容など事前に伝えられていたことが急遽変更されるリスクが存在します。例えば、給料が急激に悪化したり、福利厚生などの打ち切りがあります。
また、自分のやりたかった事業が経営の不安定さから突然中止になるケースもあります。CFOでいうと、IPOを目指して参画したにもかかわらず、急な業績悪化によりIPOを断念する場合です。
会社の経営不振で急に倒産してしまう可能性があるベンチャー企業だからこそ、その会社で獲得できるスキルや経験が他社でも通用するスキルなのかも会社を決めるうえで重要な要素となります。
2)ベンチャー企業の組織風土になじめない可能性がある
組織の規模が小さいことだけでなく、マネジメント陣の流動性が少ないことからも大企業よりもムラ社会に近い組織風土になることが多いです。
そのため、不安があるならば曖昧にせず、内定を承諾する前にしっかりと面談や会食を通して、お互いの相性を把握し、事前に納得できるようにしてから内定を承諾しましょう。
3)業務範囲が広く負担が大きい
シード期やアーリー期の会社では、企業のリソースが十分にないケースが多く散見されます。
例えば、CFOという役職であっても、広報やオペレーションなどのファイナンス領域以外の部分の業務も行わなければならないことがあります。そのため、ファイナンス領域だけでなく他の領域も経験してみたいという気持ちが必要になってきます。
シード期・アーリー期についてはこちらの記事もご参照ください。
⇒アーリーステージとは?調達方法の選択肢や調達額目安、調達時のポイントを徹底解説!
⇒シード期とは?定義や資金調達方法、事業成功のため行うべきことを徹底解説!
CFO転職における失敗例
ベンチャー・スタートアップ企業にCFOに転職したものの、結果として失敗してしまったケースも知っておくことが重要です。
ここではよくあるCFO転職の失敗パターンを解説します。
転職した企業が伸びなかった
CFOはファイナンス面で、企業の成長にドライブをかけるのが仕事ですが、事業自体を作っていくのはCFOやCOO、そして従業員です。
「PMF(プロダクト・マーケット・フィット)できず事業が伸びないので、資金調達もできない」というパターンも起こり得ます。
その場合、別の事業会社に転職するか、元の業界に戻る方が多いです。
「経営陣なのだから必要なことを全てやって欲しい」と無理を言われた
CFOへの期待値が高く、必要なことは何もかも求められ疲弊してしまうケースもあります。
特に、CEOが泥臭く働き、業績を上げてきた”叩き上げ系ベンチャー企業”の場合、「CFOは経営陣なのだから、なんでもやるのが当たり前でしょ?」と、専門外の仕事もこなすよう無茶を求められることも。
例えば、CFOと言っても、
・管理系のキャリア(経理・会計士出身)
・ファイナンスキャリア(投資銀行出身)
では、専門領域が異なりますが、CEOから「とりあえず財務・経理回りは一人でなんとかしてほしい」と無茶振りされることも。
勿論、スタートアップ・ベンチャー企業は、そもそも未経験領域でも積極的にチャレンジすることに面白みを感じる人が向いている環境のため、入社後のキャッチアップは必要です。
しかし、あまりにも期待値が高くいとパンクしてしまうこともあるので、「何が求められているのか?」を入社前にすり合わせることが大切ですね。
投資銀行・コンサルから事業会社に転職したが、マネジメントに失敗した
前職が投資銀行やコンサル会社だと、求められる仕事の難易度が高く、そのような環境下で仕事をすると自然と”当たり前”の水準が上がります。
ただ、その経験がかえって事業会社のマネジメントの足枷になってしまい、部下がついてこないケースもよくあります。
例えば「従業員のやりがい・モチベーションをどうマネジメントするか」は事業会社にとっては大切な要素です。
しかし、コンサルファームなどクライアントワーク出身では「お金をもらっているプロなので、そもそもモチベーションで仕事をしない」が当たり前で、このギャップに悩む方も多いようです。
CFOは真面目な方が多いので、 「なぜお金をもらっているのに、部下は言われた仕事をやらないのだろう」と頭を抱えてしまうこともあるでしょう。
自分と価値観の違う部下をマネジメントできず、部下がやめてしまい、自信を失ってそのまま退職、という場合もあるようです。
CEOと相性が悪く喧嘩別れしてしまった
CFOはCEOと仕事をすることも多いため、CEOとの相性が悪いと長く続かない場合が多いです。
株式比率的にもCEOの方が多いため、意見が割れるとCFOが引く場合が多く、対立が続くと疲弊してしまいます。
入社前にはいい人だと思ったが、一緒に仕事をすると相性が悪いことが発覚することも多いので、事前に見極めるのは難しいですが、CEOへの違和感を事前に感じたら、転職は避けるのも一つの手でしょう。
CFO転職求人の見極め方
上記のようなCFO転職の失敗は勿論ありますが、CFO転職の中でも最も心配なのは「ブラック企業」に入社してしまうことです。
求人票をみたり、面接の時ははいい企業だと思っても、
・実は内部でパワハラやセクハラが横行しており、人間関係や組織風土が最悪だった
・委任契約(役員は雇用契約ではない)であることをいいことに、無理な量の仕事が課された
など、実態が酷い企業も残念ながら存在します。
そこで、ここでは求人の段階で、気を付けて見ておくべきポイントをご紹介します。
提示年収が低すぎる
極端に提示年収が低すぎる場合は注意が必要です。
CFOは経営陣の一員のため、一般従業員に比べ責任も大きく、そのため年収が高くなりますが、中には求められる仕事量やパフォーマンスと報酬が見合っていないこともあります。
あまりにも年収が低い場合、「やりがい搾取」になっている可能性があるので注意しましょう。
提示年収が高すぎる
低すぎる年収は「やりがい搾取」の可能性がありますが、上記とは反対に、提示年収があまりにも高すぎる場合も注意が必要です。
なぜなら、あまりにも不人気で採用ができていないため、仕方なく提示年収をあげて採用している可能性があるためです。
一方、「健全な経営をしてきちんと利益が出ているため、CFOに還元できる年収が高い」という優良企業もあるので、提示年収が高い企業は求人票だけで判断せず、面接などを通じて確認するのが良いでしょう。
求人内容に抽象的な言葉ばかり使われている
・アットホームな社風
・若手が裁量権を持ち大活躍
など、抽象的な訴求が多用されている求人も要注意です。
裏を返せば、
・アットホームな社風=規律がなくダラけた職場で生産性が低い
・若手が裁量権を持ち大活躍=中堅・ベテラン人材が定着しない
など、何かしらの問題を抱えている場合も多いためです。
同業他社と比較し明確な強みや魅力を打ち出した上で、上記のような”働きすさ”をアピールしている場合は良いですが、具体的な魅力を一切語らず、抽象的な言葉ばかりを並べている求人は避けた方が無難でしょう。
CFOになった後のキャリアパス
CFOになった後のキャリアパスとしては、以下が考えられます。
・他社でCFOになる
・CEOになる
・起業する
・取締役や外部顧問に就任する
他社でCFOになる
CFOとしての経験を積んだ後に、他社で同じ役職に就くことは一つのキャリアパスとして非常に有効です。異なる組織でCFOとして活動することは、自身の知識とスキルをさらに広げる絶好の機会となります。新しい業界や異なる企業文化に触れることで、刺激を受け、プロフェッショナルとしてのモチベーションを維持しやすくなります。
また、他社への移籍は、より良い待遇や給与の向上という形で直接的な報酬をもたらすこともあります。
CEOになる
CFOからCEOになることも、経験豊富な財務専門家が企業の最高経営責任者として活躍できるという点でキャリアパスとしてあげられます。CFOがCEOに昇格することの大きなメリットは、企業戦略の全体像をより大きな影響力を持って推進できること、および自らのビジョンを直接実現する能力を持てることです。CEOとしての役割は、組織全体の成功に直結するため、その決定がもたらす影響は極めて大きく、経営の全般にわたり最終的な責任を負います。
ただし、この役職には重大な責任も伴います。戦略的な意思決定が求められるため、その結果に対する社内外からの圧力や批判に耐える強さも必要とされます。CFOが持つ財務的洞察力と戦略的思考は、CEOとして求められるスキルセットと非常にマッチしており、企業を新たな高みへと導くために重要な役割を果たします。
起業する
起業はCFOとしてのキャリアを持つ人にとって新たな挑戦であり、大きなチャンスをもたらす選択肢となります。CFOとしての豊富な経験があることで、自身の事業を立ち上げる際に、財務戦略の設計や資金管理、リスク評価など、企業運営の核心に関わる業務を効果的に実行できます。起業することの大きな魅力は、自らのビジョンに基づいて事業を形成し、直接的な影響を与えられることにあります。
しかし、起業はその準備と運営の各段階で相応のリスクと挑戦を伴います。ただし、CFOのバックグラウンドを持つ起業家は、起業の準備段階や立ち上げ段階に発生する課題に対する深い理解と対処能力を有しており、成功への可能性を高めるための戦略的な判断を下すことができます。
取締役や外部顧問に就任する
CFOとして蓄積した経験や知識は、取締役や外部顧問としての活動に非常に価値があります。CFOからこれらの役職に進むことは、専門的なスキルを活かしつつ、自身のキャリアをさらに広げる絶好の機会となります。取締役としては、企業の戦略的な意思決定に直接参加し、会社の未来を形作る重要な役割を担います。一方、外部顧問としては、特定のプロジェクトや問題に対して専門的な意見を提供し、企業が直面する課題の解決に貢献します。
これらのポジションでは、自身の豊富な経験を生かして新たな視点を提供することが可能で、さらには他の業界や分野で新しい知見を得ることも期待できます。また、取締役や外部顧問として活動することは、個人の専門知識やリーダーシップスキルを更に磨くと同時に、新しいネットワークを構築する良い機会となるでしょう。
まずは、週1から勤務可能なCFO転職サービスがオススメ!
いきなり、今の会社を完全に退職するのはリスクが大きいと思います。そこで、宣伝となりまして大変恐縮ですが、現在の仕事を続けながらまずは週1日からCFOの仕事を始めることのできる「シェアリングCFO」というサービスを紹介します。
シェアリングCFO®︎は、CFOを採用したいと考えている企業とCFOとして自分たちの経験を活かして企業をサポートしたいという人材をマッチングさせるサービスです。
メリット1:本業と同時にCFOの仕事ができる!
週1日から稼働することができます。そのため、現在登録されているCFOの方で自身の会社で経営を行いながら、自身の経験を活かしてCFOとして、クライアント企業をサポートすることができます。
また、いきなり会社を辞めてベンチャー企業のCFOに転職をするのは不安という方も、シェアリングCFOを利用すれば本業を辞めなくても兼業することが可能です。
メリット2:ベンチャー企業へのネットワークがなくても大丈夫!
先ほど、CFOへの転職方法は多くのケースでリファラルであると述べました。そこで、「ベンチャー企業へのネットワークが無いよ…」などと心配している方もいると思います。
しかし、シェアリングCFOでは企業が求める内容と登録者のスキルを結びつけるため、ネットワークがなくても紹介を受けることができます。登録料はもちろん無料なので、まずは下記のリンクより問い合わせて登録してみることをお勧めします。
まとめ
今回は、CFOへ転職することのメリット・デメリットやCFOに転職する方法に関して解説いたしました。
2020年下半期に上場した企業の多くのCFOが金融や会計に関する高い専門性を持っています。しかし、持っていなくても事業や業界に関する豊富な経験を生かすことで、CFOになる可能性があります。
そして、数多くの転職方法が存在する中CFO転職では紹介経由で採用を行うリファラルが主流となっています。
社外CFO・シェアリングCFOの事例については以下の記事もご参照ください。
⇒社外CFOを活用すべき3つの理由!CFO転職/採用はもう古い?
⇒シェアリングCFO®︎の活用事例ご紹介①
CFO転職を検討しているが、まだ迷っている方や、CFOに転職したくてもネットワークを持っていなくて不安な方は、副業という形での案件の引き受けが可能です。
正直、フルタイムでの参画は難しいが、自分のスキルを他の企業で試したい!などありましたら、是非弊社のCFO副業サービスにご登録ください!
ストックオプションや株式報酬制度について理解を深めたい方は下記の記事をご参照ください。
<ストックオプション関連記事>
・ストックオプション制度を徹底解説!仕組み・種類・メリット/デメリットを完全体系化!
・【有償ストックオプションとは?】メリット・デメリットや発行価額と行使価額の違いを簡単に解説!
・【無償ストックオプションとは?】税制適格の要件やデメリットを解説!
・【経営者向け】話題の「信託型ストックオプション」を徹底解説
<株式報酬制度関連記事>
・譲渡制限付株式とは!?株式報酬制度の仕組み・メリットを総まとめ!
・【経営者必読】株式交付信託(株式報酬信託、株式給付信託)とは何か?複雑な仕組みやメリット・デメリットをご紹介!
・【経営者必読】パフォーマンスシェア(業績連動型株式報酬制度)とは一体?仕組みやメリット・デメリットを徹底解説!
・【経営者必読】ファントムストック(ファントムオプション)とは?仕組み・メリット/デメリット・注意点を解説!
・【経営者必読】株式報酬型ストックオプション(1円ストックオプション )とは?仕組みやメリットを徹底解説!
スタートアップ・ベンチャーの経営をされている方にとって、事業に取り組みつつ資金調達や資本政策、IPO準備も進めることは困難ではないでしょうか。
財務戦略の策定から実行まで担えるような人材をを採用したくても、実績・経験がある人を見つけるのには非常に苦労するといったこともあるでしょう。
このような問題を解決するために、SOICOでは「シェアリングCFO®︎」というCFOプロ人材と企業のマッチングサービスを提供しています。
シェアリングCFO®︎では、経験豊富なCFOのプロ人材に週1日から必要な分だけ業務を依頼することが可能です。
例えば、ベンチャー企業にて資金調達の経験を持つCFOに、スポットで業務を委託することもできます。
専門的で対応工数のかかるファイナンス業務はプロの人材に任せることで、経営者の方が事業の成長に集中できるようになります。
「シェアリングCFO®︎」について無料相談を実施しているので、ご興味をお持ちの方はぜひ下のカレンダーから相談会の予約をしてみてくださいね!
この記事を書いた人
共同創業者&代表取締役CEO 茅原 淳一(かやはら じゅんいち)
慶應義塾大学卒業後、新日本有限責任監査法人にて監査業務に従事。 その後クレディスイス証券株式会社を経て2012年KLab株式会社入社。 KLabでは海外子会社の取締役等を歴任。2016年上場会社として初の信託を活用したストックオプションプランを実施。 2015年医療系ベンチャーの取締役財務責任者に就任。 2018年よりSOICO株式会社の代表取締役CEOに就任。公認会計士。