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社長室の役割とは?必要なスキルや社長室勤務に向いている人の特徴

執筆者:茅原淳一(Junichi Kayahara)

CFOになるには?キャリアパスも解説

経理/会計/財務/経営企画などの管理部門としてのキャリア

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社長室の仕事内容について解説します。

経営に最も近い位置にある社長室ですが、「実際には中でどんな仕事が行われているか分からない」という人も多いのではないでしょうか?

社長室での仕事は非常に多岐にわたり、企業によっては「社長室勤務は出世コース」と言われることもあります。

本記事では、社長室の仕事内容や、どんな人が社長室勤務に向いているのかを、社長室勤務の待遇やキャリアパスとともに詳しく解説していきます。

これから社長室勤務をする方や会社で出世コースを歩みたい方は社長室の仕事が理解できますので、ぜひ最後までご覧ください。


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社長室の主な仕事内容

社長室での主な仕事内容は次の5つです。

・社長の指示で経営課題に取り組む
・社長の業務把握、業務量のコントロール
・社長の意志の社内外への伝達
・社長の特命業務の実施
・経営会議の招集や開催

経営者には会社の全ての業務を把握できる総合力が求められるのと同様に、社長室の仕事も多岐にわたり総合力が求められます。

社長の指示で経営課題に取り組む

社長室の仕事は、社長の指示で経営課題に取り組むことです。

社長直轄の部署である社長室では、社長が取り組みたい課題を解決するための課題解決チームが組織され、特定の課題解決にあたることがあります。

社長直轄のチームで経営課題を解決することは、他部署ではできない大きな改革ができるのがメリットです。

例えば「販路を法人から個人へ拡大したい」という経営課題を抱えている場合、本来であれば営業部署へ課題解決を命じるべきかもしれません。

しかし、営業部署には「長年の取引先である卸売業者を守りたいから、個人への拡大は困る」などのしがらみが存在することがあり、その場合、課題解決を効率的かつ迅速に進めることができません。

一方、社長直轄の部署が経営課題解決にあたれば、社長の権限で大鉈をふるった改革をすることもできます。

このように社長室では、社長が抱える経営課題解決のために仕事をすることがあります。

社長の業務把握、業務量のコントロール

社長の業務進捗のチェックや、社長から委ねられたタスクの進捗報告なども社長室の仕事の一部です。

当然、社長の業務範囲は幅広く、日々多くのタスクを抱えています。

社長に依頼する仕事を社長室が取捨選択し、社長に依頼した業務の進捗を確認するなどし、社長の業務量や進捗をコントロールすることが求められます。例えば、社長が会議に参加する必要があるかどうかの判断、必要な資料の準備、会議のスケジューリングなどが含まれます。

社長の意志の社内外への伝達

社長の意思を社内外へ伝達することも社長室の業務の1つです。社内に対しては通達という形で、社内メールなどで伝達するのが一般的です。

また、社外に対してはプレスリリースという形でメディアへ発表したり、自社ホームページやSNSへ掲載します。

最近ではYouTubeやTikTokなどで社長自ら発信する企業も増えていますが、このような企画も社長室が行うこともあります。

社長の特命業務の実施

社長から直々に依頼された特命業務があれば、それを実施するのも社長直轄である社長室の仕事です。特命業務の内容は会社や状況によってさまざまですが、基本的には「外部に漏れてはいけない業務内容」です。

特命業務を既存の部署へ命じると、従業員の口から外部へ漏れてしまう可能性があります。

社長室勤務の人間は「経営者しか知り得ない機密レベルの高い情報と接している」というプライドと使命感があるので、特命業務を任せるには最適です。

具体的には他社とのM&Aなど、話がまとまる前に外部に漏れたら絶対にまずい業務を社長室が担うことがあります。

経営会議の招集や開催

社長命令で経営会議を招集し、開催するのも社長室の役目です。経営会議に参加するのは、取締役や部長クラスの幹部です。

参加する幹部は「どんなことが話し合われるのか」「社長の意向はどうか」など、社長室の人間から情報を聞こうとすることも珍しくありません。

社長室の人間は経営者以外の他の会社幹部とも非常に近い位置にあるポジションだと言えます。

社長室と秘書や経営企画との違い

社長室と似たように扱われる仕事として、秘書や経営企画などの仕事があります。

経営と近い位置で仕事ができるという点では秘書や経営企画の仕事は社長室と同じですが、仕事内容は大きく異なります。

社長室と秘書の違い

秘書の業務とは、主に社長や重役のスケジュール管理と、社内外への連絡です。

この業務は社長室が担っている業務でもあり、そのような会社は社長室の中に秘書が数名配置されていることが一般的です。

社長室が経営課題の解決や特命業務の遂行などの役割が与えられるのに対して、秘書はスケジュール管理や連絡などしか権限がないのが一般的です。

社長室と秘書室が分かれている場合には、社長室から秘書の役割を独立させたものが秘書室の役割になっています。

基本的には秘書は「社長室の業務の一部」と理解しておけばよいでしょう。

社長室と経営企画との違い

経営企画とは経営の方向性や方針を決めるための機関です。経営企画は経営に特化して、会社の収益向上のために会社の方向性や来期の業務目標をどのように設定するのかを検討します。

社長室も社長の近くで経営全般のサポートをするのが業務ですので、経営企画と似ていると言えば似ていますが、社長室は経営の方向性や数値的な目標を決定するのが本業ではありません

あくまでも社長の日常業務をサポートし、社長から与えられた仕事を遂行するのが業務です。

場合によっては社長から「経営企画は自分の意志を反映できないから、社長案として来期の経営計画を策定してくれ」と依頼される可能性もあります。

それだけ、社長室は社長の意思によってどんな仕事でもするのが業務です。

経営方針の策定や検討に特化した部署が経営企画であるのに対して、社長室は経営企画も含めて、社長の仕事全体をサポートするのが仕事だと言えます。

社長室勤務の待遇

社長室勤務の待遇はindeedによると平均で月額544,143円と非常に高くなっています。(※2023年6月時点)

もちろん企業の規模によって報酬は大きく異なりますが、そもそも社長室を抱えている企業はある程度大きな企業です。

大きな企業の中でも経営者や役員などの幹部に非常に近い位置にいる社長室勤務の人間は課長〜部長クラスの報酬を受け取っていることが分かります。

逆に言えば、ある程度のキャリアを形成した人でないと、社長室に勤務することは難しいとも言えるでしょう。

社長室に勤務すれば社内でも高いランクの報酬を得ることができます。

社長室の仕事に向いている人

社長室の仕事に向いている人は次のような要素を備えている人です。

・高いコミュニケーションスキル
・精神的タフさ
・さまざまな業務への臨機応変な対応力

会社の首脳陣と接するためのコミュニケーションスキルや、いつも笑顔でいられるタフさ、さらに多岐にわたる業務への対応力などが必要な仕事です。

高いコミュニケーションスキル

社長室勤務には高いコミュニケーションスキルが求められます。社長の中には非常に気難しい人もいますが、社長室の人間はそのような社長と円滑にコミュニケーションをとっていかなければなりません。何よりも経営者という孤独な立場にいる社長にとって社長室の人間は数少ない話し相手になります。

そのため、第一に「社長と円滑にコミュニケーションが取れる」ということが求められます。

また、社長室の役割とは「社長の代わりとなって、社長がこなす業務を遂行すること」です。

そのため、社長が付き合う相手、面談する相手、交渉する相手とは、社長と同じようにコミュニケーションが取れるようにしなければなりません。

また、社長室は普段から社内においても役員や部長級の人間と頻繁に接する機会が多い仕事です。

彼らを社長の意の通りに動かすためにも、幹部の意見が社長に通りやすくするためにも、社長室の人間には橋渡しとしての、非常に高いコミュニケーションスキルが求められます。

周囲の人間から「社長室には〇〇さんがいるから、社長とも話がしやすい」「困ったことがあったら社長室の〇〇さんを訪問して」と言われるような存在を目指しましょう。

社長に対しても社長以外の人に対しても、高いコミュニケーションスキルが求められるのが社長室の仕事です。

精神的タフさ

社長室の仕事には精神的なタフさも求められます。

社会的地位の高い方と接することが多い社長室はそれだけでも大きなストレスがかかりますし、そのような方を相手に嫌な顔をすることはできません。

また、社長室の行動は社長の行動と同じですので、常に緊張感を持って人と接する必要があります。

社長室の仕事には高いプロフェッショナル意識と、その意識を保つための精神的なタフさが強く求められます。

さまざまな業務への臨機応変な対応力

社長室の仕事は「これができれば業務をこなせる」というような専門分野ではありません。

社長業は会社の全ての業務に関係するため、社長室の人間も会社のすべての業務の中でどの業務を任されるのかは分かりません

そのような時に「やったことがないから分からない」とは言えないので、社長室の仕事にはあらゆる業務に対応できるだけの臨機応変さも求められます。

社長室の仕事に就くために必要な経験やスキル

社長室の仕事に就きたいのであれば次のような経験やスキルを身につけておきましょう。

・財務・経理・法務・総務などの部門での経験
・経営方針や各業務への理解

会社内の各種部門での経験や、経営そのものに対する理解が必要です。

財務・経理・法務・総務などの部門での経験

社長室では、財務や経理や法務など、社内でのあらゆる部門での経験が求められます。

社長の業務は社内の全ての業務に関係するので、社長室の人間もできる限り多くの部署で経験を積んでいるに越したことはありません。

大きな社長室の場合には「経理や財務はAさん」「営業や仕入れはBさん」というように担当者を部署ごとに分けているケースもあります。

しかし、社長は最終的に1人で全ての部署を管轄しなければならないので、その社長業務を代行する社長室の人間もできる限り多くの部署を経験し、業務内容を把握している方が社長室勤務として有用な人材だと言えるでしょう。

経営方針や各業務への理解

社長室の人間には経営方針や社内の各業務の理解も欠かせません。社長直属の部署として、会社の経営方針をしっかりと理解していることは大前提です。社長室は経営方針の策定などにも関わることが多いので、社内の誰よりも経営方針について理解している必要があります。

また、社長室は各部署と社長とを繋げる緩衝材のような役目を果たすことがあります。

そのため、各部署がどのような業務を行い、各部署が抱える悩みは何か、部長と社長の関係性はどうなっているのかも把握して、各部署と社長の関係が円滑になるように努めましょう。

社長室は社長や経営のことだけでなく、社内のあらゆる部署の事情や業務内容をしっかりと理解していることも重要です。

社長室勤務からのキャリアパス

社長室勤務からのキャリアパスとしては次のような役職や職業を期待できます。

・経営幹部
・コンサルタント
・起業家

同じ企業に勤務し続けて幹部を目指すこともできますし、経営者と至近距離で働いた経験を生かしてコンサルタントや起業家という選択肢も考えられます。

経営幹部

社長室勤務では経営者としての感覚や視点を培うことができます。この経験を生かして、大きな部署の管理職や経営により近い経営幹部へ抜擢されることもあります。

また、優秀な社長室の人間は社長にとっても優秀なパートナー的存在です。

そのため、社長の意向で社長室からそのまま経営幹部や役員へ出世するケースも珍しくありません。

将来的には今の経営者の後継者としてのポジションとして、CFOなどに抜擢されるケースもあります。

一般的に社長室勤務は出世コースですので、社長室で実績を出せば社内で幹部クラスまで出世できる傾向にあります。

CFOについては、こちらの記事もご参照ください。
CFO(最高財務責任者)とは?定義・意味から役割・仕事内容・なり方・キャリアパスまで徹底解説!

コンサルタント

社長室で培った経営的な目線や課題解決方法を活用して経営コンサルタントになる人もいます。特に、社長室勤務では企業内外の多くの有力者と人脈を作ることができます。

この人脈を生かして経営コンサルタントになれば、ライアント企業に優良な企業や人脈や販路などを提供できますし、社長室勤務時代に培った課題解決能力はクライアントの課題解決にも役立てることができます。

社長室勤務から経営コンサルタントとして独立したり、コンサルティングファームへ転職する道もあります。

起業家

社長室勤務から自分の会社を起業する人も存在します。社長室に勤務するということは社長と同じ仕事を実施するということでもあるため、勤務の過程で経営者としてのメンタリティーや業務内容を身につけることができます。

また、社長室勤務によって作った豊富な人脈があれば、独立した際にも大いに活用できるでしょう。

むしろ、社長室勤務であれば「将来的に独立する」ということを念頭に幅広い人脈を形成することも難しくありません。

社長室勤務を「経営者として独立した際の予行練習」と捉えて、一定期間勤務した後に起業するという人も多数存在します。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

社長室の業務は社長業務のあらゆることを社長に代わって実行したり、社長が命じる経営課題や匿名業務を遂行することにあります。

「これ」と言った特定の仕事がないことが特徴ですが、社長室に勤務することによって豊富な人脈形成や社長業務の体験、経営的な思考を身につけることができ、会社の中でも高い報酬を期待できます。

ただし、社長室業務は高いコミュニケーションスキルや忍耐力や臨機応変さがないと務まらない、難易度の高い仕事です。

「将来的に出世したい」「独立して起業したい」など上昇志向の強い方は社長室での勤務を希望してみてはいかがでしょうか?

また、管理部門の職種としてキャリアアップしたい方、さらにCFOとして経営参画も視野にいれている方は、プロの専門家に相談するのが一番です。

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この記事を書いた人

慶應義塾大学卒業後、新日本有限責任監査法人にて監査業務に従事。 その後クレディスイス証券株式会社を経て2012年KLab株式会社入社。 KLabでは海外子会社の取締役等を歴任。2016年上場会社として初の信託を活用したストックオプションプランを実施。 2015年医療系ベンチャーの取締役財務責任者に就任。 2018年よりSOICO株式会社の代表取締役CEOに就任。公認会計士。