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財務職の年収|年収に影響する要素・年収を上げる方法について解説
執筆者:茅原淳一(Junichi Kayahara)
CFOになるには?キャリアパスも解説
経理/会計/財務/経営企画などの管理部門としてのキャリア
財務部門は、企業の営利活動のために資金調達を実行し、企業の利益を最大化するために何に投資をして、何に投資をしないか財務計画を立案し、調達した資金や営業利益の適切な管理を行います。
また、財務部門は、事業開発や営業職のように事業の売上や利益を直接作り出す部門ではありませんが、業務内容の専門性の高さから他のバックオフィスよりも高い報酬であることが一般的です。
本記事では、財務職への転職を考えている方および財務職から次のキャリアを考えている方に向けて財務職の仕事の内容から年収を左右する要素、高年収を実現する方法などについて解説します。
企業の財務に関連する活動の責任者であるCFOについては、こちらの記事もご参照ください。
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⇒CFOに役に立つ資格|CFO資格認定・FASS検定・公認会計士について解説
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目次
財務とは
財務は、企業の財務戦略を立案し、決算書を活用して企業価値を向上させる役割を果たします。その中核となる業務は、企業の資金を管理し、将来に備えることです。具体的には、企業が将来に必要とする資金の見積もりを行い、資金調達計画を策定し、実際の資金調達を行い、そして調達した資金や予算を適切に管理することが含まれます。
財務の業務は、企業の未来を見据えた戦略を描き、全体を網羅的に考慮する必要があるため、企業経営の中心的な位置を占めています。その重要性は、企業の財務部門のトップである「CFO(最高財務責任者)」の存在からも明らかです。
CFOはCEO(最高経営責任者)やCOO(最高執行責任者)と並んで、経営陣の中核を担っています。このことからも、財務は企業経営において不可欠な役割を果たしていることがわかります。資産運用のために投資やM&Aなどを実施することも、財務における重要な業務の一環です。
CFOについては次の記事もご参照ください。
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財務職の仕事内容
財務部門は、経理が作成した帳簿や財務諸表などを基に、以下のような業務を担当する職務です。
・財務戦略の策定
・予算・資金の管理
・資金調達・資金配分
・余剰資金の投資運用
・IR・監査対応
・IPO
企業が事業を拡大する場合、充分な資金が必要となります。
さらに、災害や突発的な事故などのアクシデントは予測できないため、緊急時のために余分な資金を保持しておく必要があります。財務部門は、このような状況に備えて、事前に計画を立てて資金不足を回避する役割を果たしています。
財務の平均年収
2019年から2020年にかけて行われた民間企業の調査(doda社による調査)によると、財務職の平均年収は約568万円となっています。この金額は、国税庁より発表されている日本の給与所得者5,270万人の平均年収443万円(民間給与実態統計調査)よりも高い傾向にあることがわかります。
バックオフィス業務ではありながら、企業経営における予算配分や投資対象の選定など高度な判断を伴うこともあり、他の部門よりも高めに設定されていることが伺えます。
財務の年収を左右する要素
財務職における年収は、さまざまな要素によって決まります。経理や経営企画など他の部門と共通する箇所もありますが、それを踏まえた上で財務職にも特有の要素が存在します。ここでは、財務職において年収が決まる以下のポイントを解説します。
・仕事の内容
・経験や資格の有無による差異
・役職
仕事の内容
どのような業務でも仕事の内容は、年収を決定する上で非常に重要な要素です。業務の難易度や需要の高さ、そして事業への影響度などによって、年収は大きく左右されます。
特に財務に関連する業務は、幅広い知識が求められるため、その難易度は他のバックオフィス部門に比べて高いです。財務担当者は財務諸表の作成や予算管理、資金調達など、企業の財務戦略を担当します。また、投資やM&Aなどの資産運用も財務部門の重要な業務です。これらの業務は財務の専門知識と経験を要し、企業の健全な財務状態を維持し、成長戦略を支援する役割を果たします。
財務部門は健全な事業展開と企業の成長において不可欠な存在であり、そのため需要も高いと言えます。企業は財務部門の専門知識と経験を頼りに、資金管理やリスク管理などを適切に行うことで、経済的な安定や成長を追求します。
さらに、財務部門が立てた計画によって事業の進行が大きく変わることもあるでしょう。財務部門は予算策定や資金調達の計画を立て、それに基づいて事業の方向性を決定します。計画の的確さや実行力が事業の成果に直結し、結果として財務担当者の評価や報酬にも反映されることがあります。
このように、財務職の業務内容は、年収が高くなる要因をほとんど網羅していますので、比較的高い年収を実現しやすいと言えるでしょう。ただし、年収は個人の能力や実績にも大きく左右されますので、経験を積みながら自己成長を図ることも重要です。
経験や資格の有無による差異
同じ企業の財務職同士でも、年収には個人間で差が見られます。この差の一因として、職務上の経験や財務に関連する資格の有無が挙げられます。
財務職としての経験を豊富に積んでいる人ほど、幅広い業務に対応できる能力が高まります。また、財務に関する業務には財務諸表の作成や予算管理、資金調達などさまざまな分野が含まれます。経験を積むことで、これらの業務に対する理解やスキルが深まり、より高度な仕事に取り組むことができます。
また、財務に関する資格を持っている人は、一定以上の知識やスキルを保有していることが明確です。例えば、公認会計士や税理士の資格を持っていると、財務に関する専門知識や法規制について深い理解を持っていることが期待されます。これにより、企業内での財務に関する業務において信頼性や専門性が高まります。
経験や財務に関する資格の有無によって、財務職としての能力やスキルに差が生まれるため、同じ企業内でも年収にはばらつきが生じます。
財務職は仕事の幅が広く、関連する資格も多数存在する職種です。そのため、個人の姿勢や行動によって年収が変わるケースが多く見られます。専門知識の継続的な学習、業務への積極的な取り組みなど、能力向上に努めることが、年収の向上につながるでしょう。財務職で高い年収を実現するためには、経験や資格だけでなく、自己成長への意識も重要と言えます。
役職
役職は年収においても重要な要素となります。昇進して上位の役職に就くと、年収も高くなることが多いです。役職の決定には、勤続年数や年齢だけでなく、企業や業種によって違った基準が設けられた人事評価などさまざまな要因が考慮されます。
業務遂行能力が高い人は、昇進のペースが早くなる傾向があります。優れたスキルや成果を持つ人は、組織内での評価が高まり、昇進の機会を得やすくなります。さらに、企業によっては、財務に関する特定の資格を所持していることが役職に就く条件となる場合もあります。
また、年齢が同じでも、異なる役職にいるだけで年収に大きな差が生じることも珍しくありません。同じ企業内でも、役職や責任の度合いによって報酬が異なるため、役職は年収に大きく影響する要素となります。
役職における昇進は、個人の能力や成果、貢献度によって左右されます。仕事においてスキルを磨き、目標に向けて積極的に業務に取り組むことで、昇進とそれに伴う年収の向上を実現することができるでしょう。
人事評価については次の記事もご参照ください。
⇒人事評価とは?人事評価の目的・導入方法・注意点について解説
⇒人事評価制度のメリット・デメリット|デメリットの解決策・人事評価制度の失敗例についても解説
財務職で高年収を実現する方法
財務職で高い年収を得るためには、資格の取得や評価基準を理解した上での業務遂行、また転職も選択肢として考えることができます。財務職で高年収を実現するための方法として、以下3つのポイントを解説します。
・有益な資格を取得する
・効率的な昇進を実現するための評価基準の把握
・転職も1つの選択肢
有益な資格を取得する
財務に関連する資格取得は、現状から年収を上げるのを実現するための有効な手段と言えます。多くの場合、資格の取得が昇給という形で年収に反映されるケースが存在します。ただし、財務に関連する資格であっても、全てが同じ効果をもたらすわけではありません。重要なのは、人事評価の対象となる資格や業務において求められている資格を選ぶことです。
もしも、年収の向上や昇進のために資格取得を検討している場合、上司や企業・部署で求められる条件などを確認することをおすすめします。上司の意見や助言を聞くことで、自身が挑戦すべき資格を明確にすることができるでしょう。
また、自身の学習に充てられる時間やリソースを考慮し、これから受験勉強を始める資格を選択しましょう。
資格取得には努力と時間が必要ですが、将来的なキャリアの成長や高い年収を目指す上で、有益な投資となることでしょう。計画的に取り組み、自己成長とスキルアップにつなげてください。取得した資格によって、自身の価値を高め、より良いキャリアの選択や自身に合った働き方を求めることも期待できます。それによって、自分自身の将来の成功につながるでしょう。
財務のキャリアパスに関しては、次の記事を参考にしてください。
⇒財務部門のキャリアの考え方|財務部門で評価の高いスキル・財務経験者のキャリアパスについて解説
効率的な昇進を実現するための人事評価基準の把握
前述した通り、役職によって年収は大きく異なることがあります。そのため、昇進によって年収の向上が期待できます。ただし、単純に昇進を目指すだけではなく、より効率的な昇進を実現するためには、自社の人事評価基準を理解し、それに合致する具体的なアクションを積極的に取ることが重要です。
昇進したいと希望しても、最終的な判断は上司や人事担当者などが行います。自分が昇進に相応しいと認められるためには、上司および人事担当者からの評価が欠かせません。そのためには、人事評価基準を正確に把握し、仕事に真摯に取り組むだけでなく、積極的に自己アピールする必要があります。自身の実績や成果を的確に伝えることで、昇進の可能性を高めることができます。
人事評価基準は、人事面談や自己評価などを通じて一定程度把握できますが、それだけにとどまらず、上司や人事担当者からのフィードバックを受けることも重要です。彼らの経験や知識を借りることで、自身の成長につなげることができます。また、組織内でのプロジェクトやチーム活動に積極的に参加し、リーダーシップや協調性などのスキルを磨くことも昇進への道を開く1つの方法です。
昇進に向けた取り組みは一過性のものではありません。持続的な努力と継続的な学びが求められます。キャリアアップのための勉強や研修に積極的に参加し、業務に必要な新たなスキルや知識を身につけることも大切です。
また、自己成長をサポートするメンターを見つけることもおすすめです。彼らからのアドバイスや指導を受けながら、自身のキャリアを着実に成長させていきましょう。
人事評価面談については、次の記事もご参照ください。
⇒人事評価面談|面談の目的・進め方・ポイントについて解説
転職も1つの選択肢
財務に関する資格取得や昇進など、キャリアの向上を進めても、在職中の年収には限界があるかもしれません。もしも、現在の職場で理想とする年収を実現できないと感じるのであれば、転職を考えることも選択肢の1つになります。
一般的な傾向として、大手企業や外資系企業では高い年収が期待できます。大手企業と外資系企業は、規模の経済的な力や大きな市場における需要によって支えられており、それが高い給与水準に反映される傾向があるためです。
しかし、企業の規模が小さくても、商品やサービスの需要の高い業界や経営成績の優れた企業においては、企業の規模に関係なく高い年収を伴う待遇も期待できます。
自身の理想を現在の職場で達成できないと感じる場合、新しい環境に飛び込むための転職は有効な手段です。ただし、過度に特定の企業にこだわらず、自分が求める働き方や年収の実現を優先することが重要と言えます。自分自身にとって最適な環境や条件を探し、キャリアの成果を最大限に引き出すために転職も検討してみましょう。
財務職の転職については、次の記事もご参照ください。
⇒CFO転職の方法とは?CFO転職のメリットやキャリアパスも徹底解説!
財務経験者のキャリアパス
財務部門での経験と専門性は、多様なキャリアパスを選ぶことができると言えます。財務は企業の未来を左右する重要な部門です。専門的な知識やスキルは他の分野でも活かすことができます。財務経験者が選択できるキャリアパスには、以下のようなものがあります。
・CFO(最高財務責任者)
・経営企画部門
・管理部門の責任者
・財務スペシャリストとして独立・起業
詳しくは下記記事を参考にしてください。
⇒財務部門のキャリアの考え方|財務部門で評価の高いスキル・財務経験者のキャリアパスについて解説
まとめ
ここまで、財務職の仕事の内容から年収を左右する要素、高年収を実現する方法などについて解説してきました。
本記事が、今後のキャリアを考えている方や社内のキャリアに関わるポジションの方のご参考になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
また、管理部門の職種としてキャリアアップしたい方、さらにCFOとして経営参画も視野にいれている方は、プロの専門家に相談するのが一番です。
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この記事を書いた人
共同創業者&代表取締役CEO 茅原 淳一(かやはら じゅんいち)
慶應義塾大学卒業後、新日本有限責任監査法人にて監査業務に従事。 その後クレディスイス証券株式会社を経て2012年KLab株式会社入社。 KLabでは海外子会社の取締役等を歴任。2016年上場会社として初の信託を活用したストックオプションプランを実施。 2015年医療系ベンチャーの取締役財務責任者に就任。 2018年よりSOICO株式会社の代表取締役CEOに就任。公認会計士。