COLUMN
コラム
資金繰りが厳しい状態から1億円の資金調達と事業拡大に成功したわけ【シェアリングCFO導入事例】(GVO社様)
執筆者:土岐彩花(Ayaka Doki)
『資金調達の手引き』
調達ノウハウを徹底解説
資金調達を進めたい経営者の方の
よくある疑問を解決します!
シェアリングCFOの利用にあたって、「顧問サービスみたいだけど、シェアリングCFOを利用したら本当に会社を変えてくれるの?」「本当に資金調達を成功させられるの?」「具体的に何をしてくれるのかわからない」などの疑問の声を頂きました。
そこで、今回は実際にシェアリングCFOを活用した企業とシェアリングCFOにインタビューを行い、利用のきっかけ、CFOの業務内容や成果について聴きました!シェアリングCFOの利用を検討している皆様、ぜひ参考にしてください。
シェアリングCFO活用企業:株式会社GOOD VIBES ONLY
代表取締役社長CEO 野田 貴司 氏
2018年4月にアパレル・美容業界を中心としてD2C事業のプロデュースを行っている株式会社GOOD VIBES ONLYを設立。(写真中央)
シェアリングCFO:室木 達哉 氏
元ソフトバンクグループ株式会社で投資管理部GM、グループ各社CFO等を歴任。
株式会社ARETECO HOLDINGS取締役CFOで、2020年よりシェアリングCFOに登録し、今までに数多くのスタートアップ企業のサポートを経験。(写真左)
インタビューアー:土岐 彩花
新卒でゴールドマン・サックス証券に入社。2018年より共同でSOICO株式会社を創業し、取締役COOに就任。(写真右)
目次
自転車操業、危機的状況からCFOと二人三脚で資金調達を成功
※必要な新型コロナウイルス感染症対策を講じたうえで、インタビューを実施しております。
GOOD VIBES ONLYの、シェアリングCFOを導入する前の状況は、資金調達がなかなか進まず、キャッシュも足りなくなり、自転車操業でなんとかやりくりしていたため、倒産目前と言っても過言ではありませんでした。
財務体制がまだ整っておらず、簡単な仕訳の処理も手こずっていて、投資家に財務管理体制への不信感を与えてしまった部分もあるかと思います。
しかし、シェアリングCFOを利用し、室木さんを中心に、たった数ヶ月で人材から財務管理のシステムまでほぼ全てを刷新し、投資家回りをするピッチ資料や事業計画、資本政策などもゼロから作り直しました。
投資家も実際にご紹介いただき、面談にも同席いただき、資金調達に向けて短期間で結果を出すためにコミットいただきました。その結果、ベンチャーキャピタルから1億円を超える資金調達に成功しました。
資金調達を達成できたことで、当時は2つしか展開していなかったD2Cアパレルブランドを6つのブランドにまで拡大させることができましたし、今のGOOD VIBES ONLYの発展は、シェアリングCFOを導入し室木さんに出会っていなければ違った結果になっていたと思います。(D2Cは、 Direct to Consumerの略で会社自ら商品の企画から生産・販売までを手掛けるビジネスモデルのこと)
社外のCFOの活用に関しては次の記事もご参照ください。
⇒社外CFOを活用すべき3つの理由!CFO転職/採用はもう古い?
シェアリングCFOを利用したきっかけ
当時のGOOD VIBES ONLYの課題は、資金繰りの必要性と、不安定な財務管理体制の改善でした。そこで、私たちはCFOやアドバイザーに関与していただくことで内部統制を強化させ、資金調達をして事業を成長させたいと考えていました。
そのため、以前は顧問系のサービスを利用し、5人ほどのCFO候補の方と面談を行っていました。しかし、人脈はあっても事業内容への深い理解を得られず、実態にともなうアドバイスを得られなかったり、相談に対する助言が曖昧で、逃げ道を作ったような提案が多く意思決定の材料にしにくかったりなど、実際に任せられるかどうか懸念が残りました。
また、当時は本当に危機的なキャッシュ不足で、室木さんに会うまで担当の税理士の方などから「一度会社を潰した方が楽じゃない?」と言われるくらいでした。
しかし、初めて会ったときから室木さんは、今までの候補者とは異なり「こうやったら上手くいく」・「この部分はこうしましょう」と事業を理解した上で具体的な方針を明確に示してくれたことで、上記の懸念は払拭され、シェアリングCFOの利用を決断しました。
シェアリングCFOの事例についてはこちらの記事もご参照ください。
⇒シェアリングCFO®︎の活用事例ご紹介①
シェアリングCFOの業務内容とは?
室木さんには、財務管理システムの構築に限らず、投資家に配布する会社資料を0ベースから構成を考えて作成していただくなど幅広く業務の依頼をさせていただきました。具体的な業務内容は以下となります。
・事業計画の定量化
・資本政策の策定
・投資家向けの資料の構成作成
・資金調達先の紹介
・投資家とのアポイントメントの設定
・投資家との面談のサポート
・資金調達時の交渉や契約書確認
・株主への報告や取締役会のサポート
・システム開発会社の紹介
・会計システムの導入支援
・税理士の紹介
・経営管理部門の採用と面談
上記の中でも特に「資金調達」、そしてそれにつながる「財務管理体制の再構築」を重点的に主導していただきました。具体的には、主に以下の3つの施策です。
一つ目は、資金調達をすすめる上で、必要な資料をすべてゼロから作成する手伝いをしていただきました。プレゼンテーションから、事業計画、資本政策に至るまで、投資家回りで通用するものに変えました。また、実際に投資家もご紹介いただき、投資家とのアポイントにも同行してもらいました。室木さんが面談に参加してから、私たちに対する投資家からの信用度が全く変わりました。今までは管理体制への不安感も示されていたのが、経験豊富なCFOが入ってくれたことで、改善への期待感に変わり、交渉もスムーズになりました。
二つ目は、新しい会計システムへの導入・移行です。室木さん主導で新しい会計システムを導入したことで、通常と比較して大幅にコストを下げて導入することができました。また、室木さん自身が現場社員へのヒアリングを行ったうえで導入してくださったので、経理担当者からのアレルギー反応もなく、スムーズに移行ができ、今までのような初歩的な仕訳ミスは激減しました。
三つ目は、経営管理部門の採用です。私では、経営管理部門の採用において「今、どのレベルの人材を採用するべきか?」が全くわかっていませんでした。まだ管理部門を再建している時期にも関わらず、いきなり高いレイヤーの人材を採用しようとしたり、実態にそぐわない採用を行おうとしていました。そこで、室木さんに全ての経営管理部門の採用面接に入っていただき、当時のGOOD VIBES ONLYのフェーズで必要な人材を判断していただきました。
資金調達、並びに財務管理体制の再構築という大きな課題に対して、提案から実行まで全てを先導してくれたため、スピード感をもって抜本的に改革を行うことができました。
資金調達と資本政策については次の記事もご参照ください。
⇒資金調達の手段・方法には何がある?それぞれのメリット・デメリットも徹底解説!
⇒ベンチャー・スタートアップの資金調達方法とは?投資ラウンド別・調達事例を含めて徹底解説!
⇒返済不要な資金調達とは?メリットやデメリット、調達時の注意点を徹底解説!
⇒IPOに向けた成功する資本政策|上場後の資金調達の仕組みも解説
⇒資本政策とは?必要性や考慮すべき点、失敗事例まで徹底解説!
シェアリングCFOを利用した成果は?
室木さんが、事業をよく理解いただいた上で経理体制の再構築に向けたロードマップを作成し、上記のように様々な施策を行ってくれたことで、2ヵ月という短期間でスピーディに財務管理体制を改善することができました。
また、投資家とも積極的にコミニュケーションを取り、交渉してくれたおかげで、1億円以上ものエクイティでの資金調達を成功させることができました。さらに、当初は融資の予定が翌年になる予定でしたが、室木さんのおかげで大幅に前倒しし、早いタイミングで融資を得ることもできました。
特に、室木さんが入ってくれた時期は、過去最悪にキャッシュが足りない状況でした。支払期日を伸ばしてもらう、つなぎ融資を銀行からしてもらうなど本当に切羽詰まった状況でした。そういった状況の中で室木さんにジョインしていただき、まずはつなぎ資金の確保に成功しキャッシュ不足を乗り越え、経理体制を再構築しベンチャーキャピタルからの資金調達にも成功しました。
エクイティでの資金調達と銀行からの借入などのデットファイナンスについてはこちらの記事もご参照ください。
⇒エクイティファイナンスとは?種類/メリット・デメリット/事例について解説!
⇒デットファイナンスとは?種類/メリット・デメリット/事例について解説!
SOICOと他社サービスの違いは?
1. 金融の専門家から見た最適な提案
金融の専門家の視点だからこそできる、提案力の高さだと思います。別事業として、ストックオプションなどの発行コンサルをされていてベンチャーファイナンスに精通しているSOICOだからこそ、自分達のニーズを的確に把握できたと思います。そのため、会社のフェーズにあった適切なCFO候補を選んでもらえるため、室木さんのようなベストな方に依頼することができたと思います。
実際に、自力で5人以上の方と面談をしてもうまくいかなかったのですが、SOICOの紹介を経たことで、早いスピードで最も信頼できるCFO候補とお話しすることができました。
また、他の顧問紹介系のサービスですと営業先の紹介などに留まることが多く、資金調達等を積極的に推進してくれるわけではないのですが、シェアリングCFOは資金調達もクロージングまで積極的に入り込んでくれるので、コミットメントが全く違いました。
2. スタート後の手厚いアフターサポート
SOICOの持つネットワークの広さがとても魅力的でした。SOICOが様々な業界の経営者や投資家へのネットワークを持っているため、何か困ったことがあったらCFOだけでなくSOICOにも相談できる心強さがありました。
実際に、自分たちにネットワークがないけれど連携できそうな分野での経営者交流会にご招待してもらい、日本を代表する有名企業の社長とお会いすることができました。
また、資金調達時に関しても、SOICOが投資家とのミーティングのアポイントメントを設定してくれるだけでなく、土岐さんにミーティングに同席していただき、プレゼンテーションのサポートもしていただきました。
CFOと会社をただ繋げるだけでなく、繋げた後のフォローとサポートも手厚くとても助かりました。
シェアリングCFOをどのような人に勧めたいか?
資金調達を必要とするスタートアップに、シェアリングCFOは広くおすすめできるサービスです。自分自身もっと創業から早い段階で、シェアリングCFOの導入をしていれば良かったなと思います。もしもっとシェアリングCFOにサポートいただけていれば、自転車操業で日々の支払いに苦心する「地獄の期間」を味わう必要がなかったなと思います。
例えば、銀行から融資に関して様々なことを求められても、すぐにそのことを相談できる人が自分の側にいるだけで、気持ちの余裕が全く違いました。もちろん、創業初期は導入コストの問題もあると思いますが、SOICOさんのシェアリングCFOは稼働時間をミニマムにして費用を最小限に抑えながら利用することもできるので、困った時に頼りにできるCFOを早く確保しておくことを強くおすすめします。
〜CFOに質問〜なぜシェアリングCFOに登録したのか?
シェアリングCFOのように“CFO”業務に特化したサービスは、現在の時流とマッチしていると感じます。現在は、コーポレートガバナンスコードの改訂もあり、IPOを目指す上で企業は高いガバナンス力を求められます。そのため、経験豊富でトラックレコードが十分にあるCFOが必要なのですが、若いベンチャー企業で経験豊富な人材へのネットワークを持っているケースは少ないです。
だからこそ、「経験豊富な人材」と「優れたビジネスモデルを有しているにも関わらずファイナンス面で苦労しているスタートアップ企業」を結ぶSOICOのサービスに面白さを感じて、利用しようと考えました。
なぜGOOD VIBES ONLYの支援をしようと考えたのか?
野田さんと初めてお話しをした時に、お互いの過去の失敗や苦労などを語りあっていく中で、経営者として野田さんがとても魅力的に映りました。私は今まで、IPO(=株式公開)した企業で40社、国内200社以上の企業と会ってきて、過去会った人と比較したうえで、辛い状況でも諦めずに向き合う、野田さんであれば、成功できると感じました。
加えて、GOOD VIBES ONLYには会った当初から事業戦略が既にありました。事業戦略は持っているにも関わらず、財務管理体制などの野田さんの専門外の分野で苦労していたので、自分が入れば絶対にGOOD VIBES ONLYを大きく成長させられると確信でき、CFOとしてサポートしたいと考えました。
最後に、今後の展望について
現在、室木さんは社外CFOの立場から社外取締役の立場に変わりました。その理由は、事業戦略の方向性は明確で、だからこそ、室木さんが社外取締役に就任することで、よりGOOD VIBES ONLYにコミットしてもらい、資金調達とIPOの実現を加速させられると判断したからです。まずは、IPOに向けてスケジュールを具体化して、やるべきことを着実に実行していこうと考えています。
GOOD VIBES ONLYについて
GOOD VIBES ONLYは、最新のデジタルテクノロジーを駆使し、デジタルトランスフォーメーション&D2Cのコンサルティングを行います。SNSを活用したマーケティングやD2C事業のプロデュースと、CGとAIの最先端シミュレーション技術を使い、SNSやECでの発売を行う事を実現するDX事業を展開しています。2021年1月現在、STELLA VIENA, LIBJOIE, ELENORE, LEANN MOMENTとZoooy Tokyoの5ブランドを展開しています。
2020年10月には、CG技術を活用したバーチャルアパレルをjouetie(MARK STYLER株式会社)と協業でスタートさせています。
SOICOは定期的にシェアリングCFOに登録しているCFOに対して直接相談することのできるイベントを開催しています。また、ストックオプションに関するセミナーも定期開催していますのでお気軽にご参加ください。みなさまのお申し込みお待ちしております!
最後までお読みいただきありがとうございます。
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スタートアップ・ベンチャーの経営をされている方にとって、事業に取り組みつつ資金調達や資本政策、IPO準備も進めることは困難ではないでしょうか。
財務戦略の策定から実行まで担えるような人材をを採用したくても、実績・経験がある人を見つけるのには非常に苦労するといったこともあるでしょう。
このような問題を解決するために、SOICOでは「シェアリングCFO®︎」というCFOプロ人材と企業のマッチングサービスを提供しています。
シェアリングCFO®︎では、経験豊富なCFOのプロ人材に週1日から必要な分だけ業務を依頼することが可能です。
例えば、ベンチャー企業にて資金調達の経験を持つCFOに、スポットで業務を委託することもできます。
専門的で対応工数のかかるファイナンス業務はプロの人材に任せることで、経営者の方が事業の成長に集中できるようになります。
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この記事を書いた人
共同創業者&取締役COO 土岐 彩花(どきあやか)
慶應義塾大学在学中に19歳で起業し、2社のベンチャー創業を経験。大学在学中に米国UCバークレー校(Haas School of Business, University of California, Berkeley)に留学し、経営学、マーケティング、会計、コンピュータ・サイエンスを履修。新卒でゴールドマン・サックス証券の投資銀行本部に就職し、IPO含む事業会社の資金調達アドバイザリー業務・引受業務に従事。2018年よりSOICO株式会社の取締役COOに就任。