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経理業務の業務委託とは?委託できる仕事内容・向いている人・メリット・デメリットを解説

執筆者:茅原淳一(Junichi Kayahara)

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経理業務を委託して行っている企業が多いようです。また、今では在宅ワークの普及により、副業で経理業務を行うフリーランスも増えています。しかし中には、経理の業務を税理士などに委託していることで、大きなコストがかかり過ぎている状況もあるようです。

そこで本記事では、経理の求人に人気の経理業務委託をご紹介します。委託できる仕事内容や経理業務を委託するメリットやデメリットや、経理の業務委託会社の選び方も解説します。経理の業務委託を考慮している方は、ぜひ参考にしてください。


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経理の業務委託

経理の業務委託とは雇用関係のない企業から経理の仕事を委託され、報酬を受けることです。経理の業務委託には請負契約と委任契約があり、主な違いは報酬の対象です。

請負契約による報酬は委託された経理の仕事が完成し、依頼した企業に納品したときに発生します。一方で委任契約による経理業務の報酬は、経理業務を行っていくことで発生します。つまり、経理業務を完成していなくても、業務の進行状況に応じて報酬が支払われるということです。

経理の委託業務は、在宅ワークなどの副業を行う個人に対して委託されることもありますが、派遣社員として企業で一定期間働く場合もあります。この場合の主な違いは、指揮命令の有無です。派遣社員による経理業務は、派遣先の企業から指揮命令を受けます。

しかし、企業が直接個人などに対して業務委託する場合、委託先となる企業から直接的な指揮命令を受けることはありません。

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経理で業務委託できる仕事内容

経理で業務委託できる仕事内容をご紹介します。委託できる経理の業務は、内容が幅広く多岐にわたります。

ここでは、経理で業務委託できる以下12の仕事内容をご紹介します。
・記帳代行
・経費精算
・給与計算
・売掛金・買掛金の管理
・見積書や請求書の発行
・銀行入出金管理
・銀行振込手配
・試算表作成
・決算書作成
・所得税・法人税・消費税申告
・労働保険料申告
・年末調整・確定申告

経理の仕事内容については、こちらの記事もご参照ください。
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記帳代行

「記帳代行」は、決算に必要なデータを入力する代行業務です。領収書、通帳コピー、請求書、帳簿などから起票し、会計ソフトを利用し入力します。

記帳量で報酬が決まるため、パートやアルバイトのように時間単位で報酬が決まるわけではありません。また、委託契約の際には、前もって納期を決めておくことをおすすめします。

経費精算

経理で業務委託できる仕事内容の中に「経費精算」があります。経費精算は、企業の領収書やクレジット請求情報を送信し、毎月経費のチェックおよび仕訳入力を行います。

規模の大きな企業では多くの従業員の領収書を管理する必要があるため、膨大な作業が求められるでしょう。しかし、経費精算を委託することにより、膨大な作業に費やす時間やエネルギーを節約し業務効率化につながります

給与計算

「給与計算」も経理業務として委託することが可能です。タイムカードから従業員の労働時間を抽出し、勤怠の状況や給与計算までを行います

企業により、残業時間の計算や有給休暇の管理までを任せる場合もあります。また、社会保険料の管理や年末調整業務などの煩雑な業務も委託可能です。

売掛金・買掛金の管理

経理において委託可能な業務の中には「売掛金・買掛金の管理」もあります。顧客ごとに売掛金や買掛金の管理を行います。

発注受注管理や入出金管理、請求書発行とともに業務を委託すれば、業務効率化にもつながるでしょう。

見積書や請求書の発行

「見積書や請求書の発行」も、経理の仕事として業務委託することができます。印刷と送付まで行ってくれる場合もあるため、委託する際は事前に確認しましょう

見積書や請求書の発行は数が多くなる場合があり、企業にとって大きな負担となる可能性があります。しかし、すべてを委託すれば時間や人件費を節約でき、業務効率化につながります。また、業務効率化によりミスや請求漏れ、金額の不一致などのトラブルを避けることにもつながるでしょう

銀行入出金管理

「銀行入出金管理」も経理の仕事として業務委託できます。近年、インターネットバンキングにより、インターネット環境があればどこからでも「銀行入出金管理」を行うことが可能です。

銀行入出金管理を業務委託すれば、混雑した銀行に通って手続きを行う必要はなくなり、業務効率化につながります。

銀行振込手配

「銀行振込手配」も業務委託可能です。銀行入出金管理と同様に、銀行振込手配を業務委託できれば、混雑した銀行で長い列に並び作業をする必要はありません

多くの場合、銀行振込手配には期限が定まっている場合が多く、業務委託できれば時間とエネルギーの節約につながるでしょう。

試算表作成

業務委託できる経理の仕事の中に「試算表の作成」があります。試算表は、仕訳や転記が正しく行われているかを確認するために作成されます

試算表を作成するのは主に毎期の決算の時期ですが、毎月、または四半期ごとに作成する企業もあるようです。そのような忙しい時期に試算表作成の業務委託ができれば、企業にとって時間とエネルギーの節約が可能になり、業務効率化につながるでしょう。

決算書作成

「決算書作成」は、企業がその年に「どのくらいの利益を得たか」また「どのくらいの損失を被ったか」などの経営状態を明らかにするために作成されるものです。法人は事業的規模に関わらず、決算書の作成が法律で義務付けられています。

決算書作成には、いくつかの書類を用意する必要があります。3月末で事業年度が終わった場合、5月末までには決算書を作成しておく必要がありますが、その時期は企業の繁忙期と重なるため、業務委託すれば時間とエネルギーの節約になるでしょう。

所得税・法人税・消費税申告

「所得税・法人税・消費税申告」も経理の仕事として業務委託が可能です。所得税は個人の所得に対して課税される税金であるのに対し、法人税は法人の所得に対して課税される税金のことです。

所得税や法人税、消費税申告は納期期限を守り正しく収める必要があります。業務委託することで、申告漏れや申告ミスを避けられます。

労働保険料申告

「労働保険料申告」も経理の仕事で業務委託できる仕事の1つです。

労働保険料申告とは、労働保険の概算保険料を書類にて報告することです。会社が事業を開始し、労働者を1人でも雇用した場合、労働保険関係が成立し労働保険の適用事業所となります。

年末調整・確定申告

「年末調整や確定申告」を委託することも可能です。年末調整とは、給与や賞与から源泉徴収で天引きされた所得税の過不足を調整する手続きのことです。確定申告とは、1年間の所得に対する納税額を計算して申告し、納税する一連の手続きを指します。

これらの申告にはいくつかの書類を準備することが含まれており、時間と労力を要します。そのような業務を委託できれば、企業にとって業務効率化につながるでしょう。

経理で業務委託するメリットとデメリット

経理で業務委託することにはいくつかのメリットとデメリットがあります。業務を委託する前に、それらのポイントを把握しておくことは、経理で業務委託する工程をスムーズにします

ここでは、経理の業務を委託する場合のメリットとデメリットをご紹介します。

経理を業務委託するメリット

経理の仕事を委託することのメリットにはいくつかありますが、ここでは以下の2つをご紹介します。
・コスト削減
・業務効率化

コスト削減

経理で業務委託するメリットの1つは「コスト削減」です。経理の業務委託は、社員を採用するコストの削減につながります。ベンチャー企業、スタートアップ企業の方にとって、大きなメリットです。

たとえば、社員を採用すれば、企業は福利厚生費や社会保険料を負担しなければなりません。しかし、業務を委託すれば、そのような費用を削減できます。

また、経理の委託業務は、委託した業務にかかる費用のみが発生します。会社の繁忙期のみに委託することも可能なため、企業にとって大きなコスト削減です。

業務効率化

ベンチャー企業やスタートアップ企業であれば経理部門を置かず、総務や営業が経理を兼任する場合があります。しかし、経理の業務は幅広く業務量も多いため、他の部署の負担や大事な業務に集中できない恐れがあります。

しかし、経理の業務を委託することで、業務量の多い経理の仕事を効率的に行えるでしょう。

経理を業務委託するデメリット

経理で業務委託するデメリットを2つご紹介します。
・社内情報の拡散の危険性
・やり取りでの齟齬

社内情報の拡散の危険性

経理業務には社内の情報の取り扱いが含まれています。経理の業務委託会社などは、情報の機密性と取り扱いには十分な注意が払われています。しかし、経理の業務を委託するならば、企業の情報を社外の者が取り扱うことを覚えておかなければいけません。

銀行での入出金管理を業務委託する場合、銀行のパスワードや講座情報も委託先に提供します。社外の者が企業の情報を取り扱う以上、社内情報の拡散の危険性はあります

やり取りでの齟齬

企業が経理業務を委託する場合、委託先に企業の意思を十分に伝える必要があります。企業が希望する通りに業務が行われるためには、意思の疎通が欠かせません。意思の疎通の欠如のために起こるトラブルも少なくありません

業務委託会社は委託された業務をチーム制で行うことが多く、人材の入れ替わりも多いようです。業務の引継ぎがうまくいかないためトラブルが発生する可能性もあります。やり取りでの齟齬が生じる可能性が高いこともデメリットの1つでしょう。企業内で毎日顔を合わせない分、ミーティングの時間を確保し意思の疎通を図ることは重要です。

経理の業務委託に向いている人

経理の仕事には幅広い知識とスキルが求められます。委託業務は、正社員として企業で働く場合と大きく異なります。そのため、経理の委託業務に向いている人と向いていない人がはっきりしています。

経理の委託業務は在宅ワークを希望していて、副業などの個人的な時間配分で仕事をしたい方に向いています。委託業務は、勤務形態の自由度が高いことが特徴です。「時間に縛られたくない」「自宅で働きたい」「副業でまとまった報酬が欲しい」方に向いている業務でしょう。

また経理の仕事は、記帳仕訳など仕事内容が明確に定まっている業務がほとんどです。そのため、自分が得意とする業務だけを選択することもできるでしょう。自分の専門分野を確立して業務に集中したい方には、経理の業務委託業は向いています。

経理の業務委託会社の選び方

経理の業務委託会社はいくつかあります。いくつかある会社の中から自分に合った会社を選択するにはどうしたら良いでしょうか。

まず、各会社の特徴を把握することが重要です。インターネットで業務委託会社を検索すると、多くの会社を見つけることができます。それら1つ1つの会社にはそれぞれの特徴や強み、アピールポイントがあります。事前にそれぞれの会社の特徴を把握することで、自分に合った経理業務代行会社を選択できるでしょう。

経理の業務委託会社の選び方には、まず自分が委託したい業務のポイントを見定めます。業務委託に関しては金銭的な要素や正確性、専門性の高さなどのポイントがあります。事前に自分たちの優先順位をしっかりと見定めておくと、自社に合った経理の業務委託会社を選択することができるでしょう。

経理の業務委託にともなうデメリットの1つに、企業情報の漏えいがあります。そのため、業務委託会社を選択する場合、情報の取り扱いに関して信頼できる会社を選ぶことは重要です。担当者とよくコミュニケーションをとり、どのような対策を取っているかを直接確認できるでしょう。

また、プライバシーマークやISO27001/ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)などの認証を受けている会社は、安心して仕事を依頼できる可能性があります。

まとめ

本記事では、経理の求人に人気の経理業務委託をご紹介してきました。

委託できる仕事内容や、経理業務を委託するメリットやデメリットなどを事前に把握しておくことは、安心して業務委託するために重要です。また、経理の業務委託会社の選び方に関してもいくつかのポイントを考慮しました。それらのポイントをしっかり抑え、信頼できる業務委託会社を選択しましょう。

これから経理の業務を委託したいと考えているベンチャー企業・スタートアップ企業および個人経営者の方に、この記事がお役に立てれば幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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この記事を書いた人

慶應義塾大学卒業後、新日本有限責任監査法人にて監査業務に従事。 その後クレディスイス証券株式会社を経て2012年KLab株式会社入社。 KLabでは海外子会社の取締役等を歴任。2016年上場会社として初の信託を活用したストックオプションプランを実施。 2015年医療系ベンチャーの取締役財務責任者に就任。 2018年よりSOICO株式会社の代表取締役CEOに就任。公認会計士。