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目標管理シート|メリット・作成・運用におけるポイントについて解説
執筆者:茅原淳一(Junichi Kayahara)
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会社が決めた目標を従業員に浸透させ、目標達成に向けて従業員が個々にモチベーション高く行動していくことは容易ではありません。そこで、目標管理シートを活用していくことで、従業員一人ひとりが意欲的に業務を遂行し、組織全体の活性化に繋げていくことができます。
本記事では、目標管理シートを導入するにあたってのメリットや記載すべき項目、そして失敗事例とともに運用のポイントをご紹介します。
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目次
目標管理シートとは
目標管理シートとは、目標管理制度に基づいて作成され、個々に達成すべき目標や成果を明らかにし、進捗を管理していくためのシートです。
目標管理シートを活用することで、会社で統一された基準や形式で従業員を評価することができ、従業員の納得感の高い評価制度を運用していくことができます。
シートを作成するにあたって、システムやエクセル・ワード等を用いて作成するのが一般的ですが、シートの形式は会社によって様々です。目標管理シートを作成するにあたり、どのようなシートであったとしても、従業員の目標を効果的に管理することができます。
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目標管理シートの目的
目標管理シートを活用するにあたって、「何のために目標管理シートを作成するか」という目的を押さえておくことで、目標設定における従業員の意欲も高まり、効果的に運用することが可能となります。
ここでは、3つの目的をご紹介します。
・現状の把握
・目標の具体化
・自身の成果の明確化
現状の把握
1つ目の目的は、現状の把握をすることです。目標管理シートを活用するにあたり、従業員自身で結果の振り返りを行い、目標管理シートに記入していくことになりますが、その際に自分の現状をしっかりと把握することができます。
結果として、成果を残すことができたポイントや、逆に上手くいかなかった原因を振り返って確認し、今後の自身の業務改善に繋がっていくことが期待できます。
目標達成に向けた方法の具体化
2つ目の目的は、目標達成に向けた方法を具体化することです。目標管理シートに目標を記入するうえで、考課期間終了後、第三者が判断できるよう、客観的な数値目標や行動目標を作成する必要があります。
この時、明確な目標を立てることで、目標達成に向かってどのように行動し、何をすべきか逆算して考えることができるため、目標達成に向けた道筋を具体的にとらえることができます。
また、レベルの高い目標を立てた場合は、周囲の人間と協力しつつ目標達成に向け工夫して取り組み、意欲的に業務に取り組むことができるようになります。
自身の成果の明確化
3つ目の目的は、自身の成果を明確にすることです。上述した通り、目標を設定するにあたって、客観的に判断できるような内容に設定する必要があります。
そのため、評価結果においては、良かったのか悪かったのかが明確に示すことができます。良い結果であれば、上司からしっかりと評価してもらうことができ、モチベーションの向上が期待できます。
一方で、思うような結果が残せなかった場合においても、自身でその原因を考えるきっかけとなり、今後の成長に繋げることができます。
目標管理シートのメリット
次に、目標設定シートを作成することのメリットを2つご紹介します。
・適切な目標管理
・効果的な指導
適切な目標管理
1つ目は、適切に従業員の目標を管理することができることです。従業員の人数が少ない組織であれば一人ひとりの目標を把握することは難しくないかもしれませんが、従業員の数が多くなるほど、全員の目標を管理することが難しくなってきます。
また、目標管理制度は人事評価制度に関わってくる場合が多く、従業員の納得感が得られるような運用にしなければ、効果的に運用することができません。
そこで、目標管理シートを活用することで、従業員が作成しなければならないシートは統一化され、上司は全員の目標を把握し、適切な評価や管理をすることができるようになります。
人事評価制度については、こちらの記事もご参照ください。
⇒人事評価とは?人事評価の目的・導入方法・注意点について解説
効果的な指導
2つ目は、部下の指導をする際に効果的に活用することができることです。上司は、部下の目標を把握し、部下が目標を達成できるよう、サポートしていく役割を担っています。
ここで目標設定シートを活用することで、目標の内容も分かりやすく、また部下に対してどのような指導が必要であるかを考える材料とすることができます。
目標管理シートに記載すべき項目
目標管理シートにおいて、記載すべき項目は幾つかありますので、重要な点をご紹介します。
・具体的な目標
・目標達成に向けた計画
・評価基準
・難易度
・振り返り
・フィードバック
具体的な目標
目標管理シートの作成に当たって、具体的に達成すべき目標を設定します。ここで重要なことは、数値や達成根拠を明確に示し、具体性を持たせることです。
また、中途半端にならないよう、目標を多く設定しないようにしましょう。目標が複数ある場合、3つ程度の目標にすると良いでしょう。
目標達成に向けた計画
続いて、目標達成に向けた行動や計画を記入します。設定した目標を達成するために、どのような行動をすべきか、またいつまでに行うのかを具体的にしておくことが重要です。段階的に進めていく目標を設定した場合は、どの順番で行動していくのかについて、時期を定めつつ記入しましょう。
記入する際は、具体的な数値に基づいて記入することが好ましいです。また、目標の達成に向けた具体的な期間を記入することも重要です。適切な期間として、数か月から1年間までとすると良いでしょう。
評価基準
目標達成に向けた計画を策定したら、達成に向けた評価基準を設定していきます。設定する際には、どのくらいまで目標を達成したらよいのかという点を明確にしましょう。
評価基準を明確にすることで、目標達成に向けモチベーションが向上するだけでなく、評価する段階においても客観的に判断できる重要な指標となることができます。
評価基準の作成については、こちらの記事もご参照ください。
⇒人事制度における評価基準の作り方とは?評価基準の種類・目的・必要性・注意点について解説
難易度
複数の目標を設定した場合、各目標の難易度を設定します。難易度は、目標達成までに必要とされる労力や時間、また重要度など様々な要素に基づいて決定されます。
難易度を設定するうえで、上司と認識のギャップが生じないよう、事前に上司と摺り合わせをしておくことが重要となってきます。
振り返り
次に、自身の評価結果を記入する欄に加え、結果に至るまでの行動やプロセスについても記入します。これは、評価期間が終了した後に、設定した目標に対してどの程度達成することができたのか、明確に振り返りを行うためです。
目標を達成することが出来なかった場合も、しっかりと自身の行動を分析し、次に活かすことができるよう改善点を明確にしておくことが重要となります。
フィードバック
最後に、上司がフィードバックの内容を記入します。目標管理制度において、フィードバックは非常に重要となってきます。フィードバックを行うことにより、社員の成長やモチベーションの向上、パフォーマンスの向上など、様々な効果が期待できます。
目標管理シートの失敗例
目標管理シートを作成するうえで、失敗例を交えながら注意すべき点を3つご紹介します。
・目標の数が多い
・達成に向けた意識が薄い目標
・大まかな目標
目標の数が多い
1点目は、設定する目標の数が多すぎてしまわないように注意してください。目標設定シートの作成方法について解説している通り、目標が多すぎることで、どれも中途半端に終わってしまう可能性があります。
また、目標達成に向けたプロセスが複雑になってしまう側面もありますので、しっかりと優先順位を決めたうえで、上位3つ程度の目標にするよう、気を付けましょう。
達成に向けた意識が薄い目標
2点目は、達成に向けた意識が薄い目標を設定しないように注意しましょう。目標達成に向けた意欲や主体性が薄い場合、目標の達成率は下がってしまう結果となります。
組織目標と個人の目標を結びつけるだけでなく、達成に向け意欲高く取り組むことができる目標を設定するようにしましょう。
大まかな目標
3点目は、大まかな目標となっていないかに注意しましょう。目標の達成に向け、具体的にどのように行動し、何をすべきか、具体的に計画が持てない場合も、目標の達成が難しくなってしまいます。
目標達成に向けた意欲が高いものであったとしても、途中でどの様に行動したらよいのか分からなくなることで、モチベーションの低下に繋がる場合があります。そのため、具体的にどのように進めていけば良いのか、明確にしておく必要があります。
目標管理シートの運用ポイント
目標管理シートを導入するにあたり、より効果的に運用し成果をえることができるよう、目標管理シートのポイントを3つご紹介します。
・進捗状況の確認
・PDCA
・目標の修正
進捗状況の確認
1点目は、進捗状況を確認することです。目標管理シートを作成し、評価段階まで進捗を確認せず、結果のみを把握するだけでは、期待されるような効果は得られません。
理由としては、目標達成に向け、誤った方向に進んでいたり、誤った行動をしていたとしても、軌道修正することができず、結果的に目標を達成できない場合が考えられるからです。
そのため、より効果的に運用をしていくのであれば、頻度高く現状について確認し、適宜アドバイスをすることが重要となります。進捗確認は、週に1回程度行うと良いでしょう。
PDCA
2点目は、PDCAのサイクルを回すことです。PDCAとは、「Plan(計画)」、「DO(実行)」「Check(評価)」、「Action(改善)」の頭文字を取ったもので、4つの行動を1つのサイクルとして実施し、継続的な業務の改善を進めていく方法です。
PDCAを回していくことで、改善すべき点や反省点が見つかり、成長や今後の課題解決に向けた能力の向上に繋がっていきます。
目標管理シートの作成がゴールではなく、目標管理シートを活用し、PDCAを回すことで、目標達成に向けた能力の向上に繋げていくことが重要です。
目標の修正
3点目は、目標の修正です。目標管理シートを作成した後に、期中で目標を達成してしまう場合があります。この時、社員の成長に向けて、より難しい目標に修正するようにしましょう。
逆に、達成が困難であった目標については、社員のモチベーションの低下にも繋がる恐れがあるため、状況に応じて目標を修正するようにしましょう。
まとめ
以上、目標管理シートについてご紹介しました。目標管理シートを効果的に活用していくことで、社員の目標の管理をできるだけでなく、達成基準や評価基準を明確に示すことで、目標達成に向けた社員のモチベーション向上も期待できます。
そのためには、目標管理シートを作成して終わりとせず、上述したポイントを踏まえて、頻度高く社員とコミュニケーションをとり、効果的に運用していきましょう。
本記事が、新たに目標管理制度の導入を検討しているベンチャー・スタートアップ企業の人事を担当されている方の参考になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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この記事を書いた人
共同創業者&代表取締役CEO 茅原 淳一(かやはら じゅんいち)
慶應義塾大学卒業後、新日本有限責任監査法人にて監査業務に従事。 その後クレディスイス証券株式会社を経て2012年KLab株式会社入社。 KLabでは海外子会社の取締役等を歴任。2016年上場会社として初の信託を活用したストックオプションプランを実施。 2015年医療系ベンチャーの取締役財務責任者に就任。 2018年よりSOICO株式会社の代表取締役CEOに就任。公認会計士。