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5段階評価とは?評価のつけ方・評価作成のポイント・注意点を解説

執筆者:茅原淳一(Junichi Kayahara)

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従業員を評価する際の評価方法として「5段階評価」というものがあります。5段階評価とは、評価のランクを5つに分けて従業員を評価する方法です。

5段階評価は定量的に評価しやすく、評価者が比較的簡単に評価できるなどのメリットがある一方、導入する際にはいくつか注意点もあります。

5段階評価の特徴や評価する際の注意点などについて詳しく解説していきます。

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5段階評価とは?

5段階評価とは、簡単に言えば「5段階に分けて従業員などを評価する評価方法」のことです。

5段階評価の概要や評価基準、さらには評価方法ついて詳しく見ていきましょう。

評価を5段階に分けること

5段階評価とは、その名の通り、人物や商品やサービスなどを5段階に分けて評価するもので評定尺度法とも呼ばれます。

アンケートなどでも「非常に良い」「良い」「普通」「悪い」「非常に悪い」などと回答の選択肢を与えられたものを5段階評価といいます。

5段階評価は「良い」と「悪い」というような2段階の評価や、「良い」「普通」「悪い」というような3段階の評価と比較して、評価者が深い考察をすることができるので、より解像度の高い評価ができるのが特徴です

人事評価の際にも、従業員の評価を細かく行うために5段階評価が使用されることが多くなっています。

5段階評価では共通基準を使用する

人事評価において5段階評価を使用する際には、共通基準を使用します。

共通基準とは「1・2・3・4・5」や「D・C・B・A・S」など同じ基準を用いることです。共通基準においては管理職だけが3段階になるということや、新入社員だけが10段階になるということはありません。

全ての従業員が共通の5段階で評価されるので、分かりやすく不平等感も出にくく、評価者にとっても評価しやすいのが特徴です

5段階評価の2つの評価方法

5段階評価をする際には「絶対評価」と「相対評価」という2つの評価方法があります。

それぞれの評価のポイントや評価基準について詳しく解説していきます。

絶対評価と相対評価の違いについては、こちらの記事もご参照ください。
絶対評価とは?メリット・デメリット・注意点・事例について解説
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絶対評価

絶対評価とは「あらかじめ定められた目標を達成できたかどうか」によって評価が決まることです。勤続年数や他の社員の成果などで評価が左右されず、純粋に「目標をどの程度達成できたのか」によって評価が決定します。

従業員は自分の頑張り次第で高い評価を獲得できるのでモチベーション向上が期待できます

しかし、目標を達成できた人間が多数いた場合には、従業員のほとんどが高評価になる可能性もあります。また、部下から嫌われたくない上司が部下のほとんどを高評価にしてしまう可能性もあるので注意してください。

相対評価

相対評価とは従業員を比較して評価を決定する方法です。それぞれのランクに何人の従業員を当てはめるのかをあらかじめ決めておきます。

例えば、「S:5人」「A:10人」「B:20人」「C:10人」「D:5人」と予め評価を割り当てる人数を決めておきます。

そして、従業員を評価して、評価の高かった従業員から上のランクへ当てはめることで評価を行います。

必ず全てのランクに評価される人が存在するのはもちろん、絶対評価のように高い評価や無難な評価の人が多数存在するようなこともありません

一方、従業員にとっては高評価を獲得することが難しくなるので、モチベーションが下がってしまう従業員も存在する可能性があります。

5段階評価の表現法

5段階評価の表現法は会社によって異なりますが、「評価1〜評価5」などの数字を用いる方法や、「評価D〜評価S」などの英字を用いるケースなど様々です。

基本的には「1」または「D」が最低評価で、「5」または「S」が最高評価となります。

それぞれの段階ではどのような評価を行うのか、具体的に解説していきます。

評価5・評価S

評価5・評価Sは従業員の中でも最高ランクです。

目標に対する達成度が200%だったり、他の社員と比較して著しく優れた成績を出した従業員に対して与えられる評価です

「非常に優れて目標を達成している」「極めて優秀」「仕事の成果が期待を上回った」「他の従業員の模範となる」などの評価をされる従業員に対して与えられることが一般的です。

評価4・評価A

評価4・評価Aは期待された水準を上回っているものの、最高ランクの評価とまではいかない評価となっている従業員に対して与えられる評価です。

仕事での成果が期待された水準を超えており、難易度の高いノルマをこなした従業員に対して与えられることが多くなっています。

「やや優れて目標を達成した」「仕事で期待以上の結果を出した」「他の従業員よりも優れている」などの従業員に対して与えられることが多いでしょう。

評価3・評価B

評価3・評価Bは仕事での成果が期待された水準を達成した従業員に対して与えられることが多い評価です。

会社が報酬を支払うに値すると考えられる目標を目標通りに達成したのですから、あくまでも期待通りの評価という点で、平均的で普通の評価というのがこの評価になります。

「標準的に目標を達成している」「可もなく不可もなく」「他の従業員と比較しても平均的」などの従業員がこの評価に該当することが一般的です。

評価2・評価C

評価2・評価Cは仕事での成果が期待された水準をやや下回っている従業員に対して与えられる評価です。

会社から与えられた目標を、やや達成することが不足している従業員はこの評価に該当します。

「目標の達成がやや不十分」「部分的に指導が必要」「他の従業員と比較してやや劣っている」など、『やや』平均を下回る従業員に対して与えられる評価となっています。

評価1・評価D

評価1・評価Dは最低ランクの評価となっており、従業員が会社から与えられた目標を全く達成できていない、著しく目標に届いていないなどの場合にこのような評価となります。

「仕事での成果がまったく達成できていない」「目標に著しく不足している」「指導が必要」「他の従業員と比較して著しく劣る」などの成績や習得度などが著しく劣る従業員に対して課される評価となっています。

5段階評価を作成する3つのポイント

5段階評価を作成する際には、次の3つのポイントを押さえておくようにしてください。

・中立的な尺度を明確に用意する
・評価段階を増やしすぎないようにする
・従業員へ周知する

これらのポイントをしっかりと押さえておかないと、評価が曖昧になったり主観的になる上に、従業員から不満が生じる可能性があります。

5段階評価を作成する際の3つのポイントについて詳しく見ていきましょう。

中立的な尺度を明確に用意する

5段階評価では中立的な評価を用意しておきましょう。

「可でも不可でもない」「良いとも悪いとも言えない」などの中立的な評価を用意しておくことによって、評価者の精神的な負担を軽減できるためです。

ただし、中立的な評価を用意しておくことによって、評価が中立的なものに偏る可能性もあるので、項目によっては5段階ではなく3段階にするなど、評価項目によって評価項目の数を絞るなどの対応も必要になります。

また、4段階や6段階などの真ん中がない評価も場合によっては導入を検討しましょう。

評価段階を増やしすぎないようにする

評価の段階を増やしすぎないようにすることも重要です。詳細に評価したいあまりに、7段階や9段階の評価を用意すると、評価者が従業員を評価する時間が非常に長くなってしまいます。

また、評価の段階が多くなると、評価者の負担が大きくなるので、評価者は中立的な評価ばかりする可能性もあります。これでは評価段階を増やした意味がありません。

評価者に対して負担がかからず、客観的な評価ができる評価段階は5段階程度です。評価段階の増やしすぎには十分に注意してください。

従業員へ周知する

5段階評価を行うことを従業員へ十分に周知しましょう。従業員へ周知することによって「目標を与えられた通りに達成する程度では、真ん中の評価しかもらえない」ということを知らせることができます。

さらに、「最高の評価を得るためには目標を大きく上回る成果を出さなければならない」ということも周知でき、従業員のモチベーション向上につながります

また、ある日突然、従業員に対して「評価方法を変更する」と伝えた場合、従業員から反発があるのは必至です。

実際に5段階評価を導入する前に、研修や周知期間を設けて、従業員へ周知を図りましょう。

5段階評価のメリット

5段階評価には以下の3つのメリットがあります。

・組織力の強化につながる
・評価者はプレッシャーを感じずに公平に評価しやすい
・従業員のモチベーションがアップする

5段階評価を上手に活用することによって、企業にとっても、評価者である上司にとっても、従業員にとってもメリットがあります。

それぞれの立場にとっての5段階評価のメリットについて詳しく解説していきます。

組織力の強化につながる

5段階評価は組織力を強化することに繋がります。従業員に与えた目標に対して「どの程度達成できたのか」を非常に分かりやすく評価できることが5段階評価の特徴です。

そして、人並みにしか仕事をしない従業員は真ん中の評価しか与えられないので、「人よりもよい評価が欲しい」と感じた従業員は目標以上に仕事をしようとするでしょう。

一方、目標や他の従業員よりも仕事をしない従業員に対しては、真ん中以下の評価をつけることができるので、結果的に「仕事をする従業員と仕事をしていない従業員」と「能力のある従業員と能力のない従業員」を明確に区分でき、働く従業員に高い評価を与え、そうではない従業員に成長を促すことができるので組織力が強化されていきます

評価者はプレッシャーを感じずに公平に評価しやすい

5段階評価は評価者にとってもプレッシャーを感じずに公平に評価できるというメリットがあります。人が人を評価するのは非常に難しいですし、細かな基準に照らし合わせて評価をしたら、評価者の業務量も膨大なものとなってしまいます。

この点、5段階評価には真ん中の評価があるので、評価者は評価に迷ったら真ん中の評価をつけることができます。これは評価者にとって非常に精神的に余裕を持つことができるでしょう。

必ずしも自分の部下の優劣をつける必要がない5段階評価は、評価者にとっても評価しやすい評価方法だと言えます。

従業員のモチベーションがアップする

5段階評価では「どの程度目標を達成したら上の評価になる」「どの程度だったら真ん中の評価」というように評価が分かりやすいのが大きな特徴です。

従業員は「高い評価を得るためには目標の倍以上やらなければならない」などの具体的な目標を立てることができるので、モチベーションが高くなります

また、4段階の評価のように必ずしも優劣がつくものでもないので「普通に仕事をやっていれば真ん中の評価を得られる」という安心感もあります。

従業員のモチベーションがアップし、企業の生産性の向上にも5段階評価は寄与する可能性が高いでしょう。

5段階評価の注意点

5段階評価を実施する際には次の3つの点に注意しましょう。

・評価の基準を社内で共有する
・5段階を10段階にしないよう注意
・中央値ばかりの評価にならないように注意

どうしても評価が真ん中に集まり、結果的に従業員の評価に差異が生じなくなってしまったり、逆に差異を持たせるために評価の等級が多くなってしまうことなどに注意しなければなりません。

5段階評価の3つの注意点について詳しく見ていきましょう。

評価の基準を社内で共有する

5段階評価を導入する際には、評価の基準を社内で共有し、評価される側の従業員にも評価の基準が分かるようにしましょう。

評価の基準が明確になっていれば、従業員は「上の評価を獲得するにはどうすればよいのか」ということが分かるのでモチベーション向上に繋がります

また、評価が低い場合には「なぜ自分の評価が低いのか」を知ることができるので、問題点の解決に繋がり従業員の成長を促すことができます

会社や上司が恣意的に評価をしているのではなく、公平な基準で評価をしていると従業員が納得できるよう、評価の基準は必ず社内で公表するようにしてください。

評価基準については、こちらの記事もご参照ください。
人事制度における評価基準の作り方とは?評価基準の種類・目的・必要性・注意点について解説

5段階を10段階にしないよう注意

従業員をできる限り実態に応じた形で、正しく評価をしたいというのは会社側にとっては深刻な課題です。

しかし、正しく評価をしたいと考えるあまりに、5段階にさらに細かな区分けを設けて10段階や15段階にしてしまうと、評価者の仕事が増えてしまいます。

詳細かつ事務コストが少ない評価ができるちょうどよい評価が5段階評価です。5段階よりも段階を増やさないよう十分注意しましょう。

中央値ばかりの評価にならないように注意

5段階評価は真ん中に「普通」という評価が存在します。

そのため、評価に迷ったり、部下に優劣をつけたくないと考えたり、部下から嫌われたくないと考える上司は、微妙な評価のほとんどを真ん中の評価とする傾向があります

これでは評価になりません。評価者が部下を評価しやすいように、評価の基準を明確にして、それぞれの段階の評価が適切に行えるよう配慮してください。

4段階評価

5段階評価の問題点として「評価が真ん中に集中しがち」という点です。この問題点をクリアできる評価方法が4段階評価です。

4段階評価は5段階評価のように真ん中の評価基準がありません。そのため、5段階評価の「評価が真ん中に偏ってしまう」という問題点を解決することができます

5段階評価と4段階評価との違いや使い分け方法について詳しく見ていきましょう。

5段階評価との違い

5段階評価と4段階評価の違いは『真ん中がない』という点です。4段階評価においては、4は「非常に良い」、3は「良い」、2は「悪い」、1は「非常に悪い」の4つに評価が分かれます。

そのため、5段階評価で陥りがちな、「評価が真ん中に固まってしまう」という問題点を解決することができます。

5段階評価との使い分け

4段階評価には「普通」という評価がありません。従業員を「良い」と「悪い」に分けなければならないので、曖昧な評価がなく成果が評価にダイレクトにつながるというメリットがあります

成果に応じて従業員を明確に序列化したい、成果報酬制や職務等級制度を導入している企業では、従業員を「良い」と「悪い」に区分できる、4段階評価が向いているでしょう。

一方、従業員のチームワークや輪を大切にする会社や、年功序列制度の会社においては、ある程度評価が真ん中に固まることも必要です。このような会社は5段階評価を採用するのがよいでしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

本記事では、人材の評価制度が確立していないスタートアップ企業やベンチャー企業に向けて企業が従業員を評価する方法の1つである5段階評価について解説してきました。

優秀な人材の採用や適切な従業員の評価を行うことで、組織力の強化ににつながれば幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。


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この記事を書いた人

慶應義塾大学卒業後、新日本有限責任監査法人にて監査業務に従事。 その後クレディスイス証券株式会社を経て2012年KLab株式会社入社。 KLabでは海外子会社の取締役等を歴任。2016年上場会社として初の信託を活用したストックオプションプランを実施。 2015年医療系ベンチャーの取締役財務責任者に就任。 2018年よりSOICO株式会社の代表取締役CEOに就任。公認会計士。