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【2023年度】ものづくり補助金の概要 〜補助金の活用と類型について解説〜

執筆者:茅原淳一(Junichi Kayahara)

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新サービスやプロトタイプの開発など、企業は生産性を上げるためにさまざまな試みを行います。

新事業を進めていくためには大きな投資が必要ですが、この投資のために活用可能な補助金の中に「ものづくり補助金」があります。

そこで、本記事では製造業のような有形の「ものづくり」だけでなくソフトウェアなど無形の「ものづくり」にも活用できる「ものづくり補助金」について説明していきます。

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コロナ対策融資・助成金の活用方法を徹底解説

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2022・令和4年版|小規模事業者持続化補助金の概要・採択のポイントを解説!

ものづくり補助金とは?

ものづくり補助金とは、中小企業等による生産性向上に資する革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資を支援する補助金です。

例えば、
・IoTやセンサー技術を活用した製品開発のための製造機械の導入にかかる費用
・省エネ・環境性能に優れた新製品開発のための専用システムの導入にかかる費用
・AIの専門家による技術導入にかかる費用
といった用途に活用することができます。

正式名称を「ものづくり・商業・サービス補助金」といいます。本記事では、ものづくり補助金と略して表記します。

【2023年変更点】ものづくり補助金2022年との違い

ものづくり補助金も年度ごとに変更が加えられることが多いです。令和5年1月に発表された「ものづくり・商業・サービス補助金 令和4年度2次補正予算関連」にて、拡充された内容が公開されました。

令和5年(2023年)の主な変更点は、以下の5点になります。

・グローバル展開型からグローバル市場開拓枠へ
・グリーン枠の内容拡充
・大幅な賃上げを行う事業者への補助上限の引き上げ
・認定機器・システム導入型の新設
・ビジネスモデル構築型の廃止

出典:ものづくり・商業・サービス補助金 令和4年度2次補正予算関連(経済産業省)

グローバル展開型からグローバル市場開拓型へ

2022年度まで「グローバル展開型」だったものが、2023年度から「グローバル市場開拓型」と名称が変更され、支援内容が拡充されました。また、補助金額の下限額が1000万円から100万円に下がったことで利用しやすくなりました。

企業の海外事業の拡大・強化を目的とした「グローバル市場開拓枠」では、次の4つの類型が用意されています。
・海外直接投資
・海外市場開拓(JAPANブランド)
・インバウンド市場開拓
・海外事業者との共同事業

特に、海外市場開拓(JAPANブランド)ではブランディングやプロモーションなど広告宣伝費が補助対象となったことに注目です。

グリーン枠の内容拡充

温室効果ガスの排出削減等を目的とした設備・システム投資等を行う事業者を支援する「グリーン枠」では、従来の類型に加えて3段階の補助上限額を新たに設けました。

温室効果ガスの削減に関する初歩的な取組(エントリー)から高度な取組(スタンダード・アドバンス)まで、さらに従業員の規模に応じて最大4000万円の補助を受けることができる制度となっています。

大幅な賃上げを行う事業者への補助上限の引き上げ

政府の打ち出した分配戦略の一環である「成長と分配の好循環」を進めるために、大幅な賃上げに取り組む事業者に対して従業員数によって補助の上限を引き上げました。

事業計画において、補助事業期間終了後3~5年で次の2つを満たした計画書の提出を要件としています。
1. 給与支給総額年平均6%増加
かつ
2. 事業場内最低賃金を年額45円以上引き上げ

従業員数 上乗せ補助額 補助率
5人以下 100万円

各申請枠の補助率とする

6~20人 250万円
21人以上 1000万円

※この引き上げは、回復型賃上げ・雇用拡大枠を除くすべての枠組みに適用されます。

要件 通常の事業者 大幅な賃上げに取り組む事業者
①付加価値額 3%以上

同左

②給与支給総額 年率1.5%以上

左記の事業者より更に年率で4.5%以上引上げ=年率6%以上引き上げ

③最低賃金

地域別最低賃金+30円以上の水準とする

左記に加え、事業場内最低賃金を毎年45円以上引き上げる

④補助金返還の要件

②給与支給総額、又は③賃金の増加目標が補助事業を完了した事業年度の翌年度の3月末時点において未達の場合には、補助金交付額の全額返還を求める

同左

補助金額の上限額を引き上げができないケースとして次のようなものがあります。
・回復型賃上げ・雇用拡大枠への申請の場合
・各申請枠の補助金額の上限額に達しない場合
・再生事業者
・常勤従業員がいない場合

認定機器・システム導入型の新設

令和6年(2024年度)から実施される「認定機器・システム導入型」では、業種・業態に共通する課題を特定し、その課題を解決するための装置・システムを開発・導入するための補助制度が新設されます。

令和5年(2023年度)においては、業界団体や業種・業態の川下企業からの課題の提案をもとに広く中小企業に共通するものか、現場に即したものか、その解決が既存のツールでは解決困難なものであるかを審議し、装置・システムの開発を支援すべき課題の認定まで行います。

ビジネスモデル構築型の廃止

中小企業によるイノベーション創出を後押しすることを目的として、従来のものづくり・商業・サービス補助金のように中小企業が作成した事業計画を実行することを支援するだけでなく、その事業計画自体に斬新なアイディア、革新的なビジネスモデルが含まれるような支援を行う「ビジネスモデル構築型」は、令和5年(2023年)度から廃止されました。

3次公募時点で、採択された件数が13件であったことも申請要件の難しさなどが考えられます。

ものづくり補助金の対象事業者

飲食、宿泊、卸・小売、運輸、介護、保育などサービス業だけでなく、製造業や建設業など幅広い事業者の方々が対象です。

ただし、業種によって資本金の金額と従業員数によっては、補助金の対象外となってきます。詳しくは、以下の表の資本金以下でなおかつ常勤の従業員数以下である必要があります。

中小企業者(組合関連以外)

業種・組織形態 資本金の総額 常勤の従業員数
製造業、建設業、運輸業、旅行業 3億円 300人
卸売業 1億円 100人
サービス業
(ソフトウエア業、情報処理サービス業、旅館業を除く)
5000万円 100人
小売業 5000万円 50人
ゴム製品製造業(自動車又は航空機用タイヤ及びチューブ製造業並びに工業用ベルト製造業を除く) 3億円 900人
ソフトウエア業又は情報処理サービス業 3億円 300人
旅館業 5000万円 200人
その他の業種(上記以外) 3億円 300人

中小企業者(組合関連)

組織形態
企業組合
協業組合
事業協同組合、事業協同小組合、協同組合連合会
商工組合、商工組合連合会
商店街振興組合、商店街振興組合連合会
水産加工業協同組合、水産加工業協同組合連合会
生活衛生同業組合、生活衛生同業小組合、生活衛生同業組合連合会
酒造組合、酒造組合連合会、酒造組合中央会
内航海運組合、内航海運組合連合会
技術研究組合

対象外となる事業者

以下に該当する事業者は補助対象外となります。

・「財団法人」「社団法人」「医療法人」「社会福祉法人」および「法人格のない任意団体」
・応募締切日前10ヶ月以内に、ものづくり補助金の交付決定を受けた事業者
・応募締切時点でものづくり補助金の「補助事業実績報告書」を提出していない事業者
・過去3年間に、2回以上ものづくり補助金の交付決定を受けた事業者
・上記の他に、以下の6つの条件にあたる企業は対象外となります。
(1)発行済株式の総数又は出資価格の総額の2分の1以上を同一の大企業が所有している企業
(2)発行済株式の総数又は出資価格の総額の3分の2以上を大企業が所有している企業
(3)大企業の役員又は職員を兼ねている者が、役員総数の2分の1以上を占めている企業
(4)発行済株式の総数又は出資価格の総額を(1)~(3)に該当する企業が所有している企業
(5)(1)〜(3)に該当する企業の役員又は職員を兼ねている者が役員総数の全てを占めている企業
(6)公募開始時点において、確定している(申告済みの)直近過去3年分の各年又は各事業年度の課税所得の年平均額が15億円を超える企業

一番起こりやすいケースに絞って要約すると
発行済株式の総数の半分以上を大企業が所有している
役員の中に大企業の役員もしくは職員を兼ねる人が半分以上いる
企業は補助金の対象外となってきます。

ものづくり補助金の類型

ものづくり補助金には、以下の2つの類型があります。
一般型
グローバル市場開拓型
ビジネスモデル構築型(令和5年度廃止)

さらに、一般型の中には、以下の4つの類型があります。
一般型(通常枠)
一般型(回復型賃上げ・雇用拡大枠)
一般型(デジタル枠)
一般型(グリーン枠)

それぞれ簡単にまとめると次のようになります。

補助率 補助金上限額
一般型(通常枠)

1/2
2/3(小規模企業者・小規模事業者、再生事業者)

750万円以内(従業員規模5人以下)
1000万円以内(従業員規模6人〜20人以下)
1250万円以内(従業員規模21人以上)

一般型(回復型賃上げ・雇用拡大枠) 2/3
一般型(デジタル枠)
一般型(グリーン枠)

1000万円以内(従業員規模5人以下)
1500万円以内(従業員規模6人〜20人以下)
2000万円以内(従業員規模21人以上)

グローバル市場開拓型

1/2
2/3(小規模企業者・小規模事業者)

3000万円以内
ビジネスモデル構築型(令和5年度廃止)

1/2(大企業)
2/3(上記以外)

1億円以内

一般型(通常枠)

項目 要件
概要

・革新的な製品・サービス開発
・生産プロセス・サービス提供方法の改善

補助金額

750万円以内(従業員規模5人以下)
1000万円以内(従業員規模6人〜20人以下)
1250万円以内(従業員規模21人以上)

補助率

2/3

設備投資

単価50万円以上の設備投資が必要

補助対象経費 機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費

一般型(回復型賃上げ・雇用拡大枠)

項目 要件
概要

・業況が厳しいながら賃上げ・雇用拡大に取り組む事業者が行う革新的な製品・サービス開発
・生産プロセス・サービス提供方法の改善

補助金額

750万円以内(従業員規模5人以下)
1000万円以内(従業員規模6人〜20人以下)
1250万円以内(従業員規模21人以上)

補助率

2/3

設備投資

単価50万円以上の設備投資が必要

補助対象経費 機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費

一般型(デジタル枠)

項目 要件
概要

・DXに資する革新的な製品・サービスの開発
・デジタル技術を活用した生産プロセス・サービス提供方法の改善

補助金額

750万円以内(従業員規模5人以下)
1000万円以内(従業員規模6人〜20人以下)
1250万円以内(従業員規模21人以上)

補助率

2/3

設備投資

単価50万円以上の設備投資が必要

補助対象経費 機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費

一般型(グリーン枠)

項目 要件
概要

・温室効果ガスの排出削減に資する革新的な製品・サービス開発
・炭素生産性向上を伴う生産プロセス・サービス提供方法の改善
・【エントリー】GHG排出削減の取組未実施または初歩的な取組の実施
・【スタンダード・アドバンス】GHG排出削減に係る高度な取組の実施
・【アドバンス】省エネ法の定期報告でS評価若しくは過去3年以内に省エネ診断等を受信している、またはGXリーグに参加している

補助金額

【エントリー】
750万円以内(従業員規模5人以下)
1000万円以内(従業員規模6人〜20人以下)
1250万円以内(従業員規模21人以上)

【スタンダード】
1000万円以内(従業員規模5人以下)
1500万円以内(従業員規模6人〜20人以下)
2000万円以内(従業員規模21人以上)

【アドバンス】
2000万円以内(従業員規模5人以下)
3000万円以内(従業員規模6人〜20人以下)
4000万円以内(従業員規模21人以上)

補助率

2/3

設備投資

単価50万円以上の設備投資が必要

補助対象経費 機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費

グローバル市場開拓型

項目 要件
概要

・従来の「グローバル展開型」(海外事業の拡大・強化等を目的とした革新的な製品・サービス開発)を拡充
・海外事業の拡大を目的とした設備投資の支援
「海外直接投資型」「海外市場開拓型(JAPANブランド)」「インバウンド市場開拓型」「海外事業者との共同事業型」

補助金額 100万円〜3000万円以内
補助率

1/2
2/3(小規模企業者・小規模事業者)

設備投資

単価50万円以上の設備投資が必要

補助対象経費 機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費、海外旅費、通訳・翻訳費(海外市場開拓類型のみ)、広告宣伝・販売促進費(海外市場開拓類型のみ)

ビジネスモデル構築型(令和5年度廃止)

項目 要件
概要 ・革新的な事業計画策定のための支援プログラムに対する補助
補助金額 100万円〜1億円
補助率

1/2(大企業の場合)
2/3(それ以外の法人)

補助対象経費 人件費、機械装置・システム構築費、旅費、謝金、会議費、消耗品費、広報費、運搬費、クラウドサービス利用費、知的財産権関連経費、外注費

ものづくり補助金の対象となる経費

ものづくり補助金の対象となる経費は類型によって異なります。

まず、一般型およびグローバル展開型について説明し、その後ビジネスモデル構築型について説明します。

一般型・グローバル市場開拓型

対象経費 概要
機械装置・システム構築費

①機械・装置、工具・器具の購入、製作、借用に要する経費
②専用ソフトウェア・情報システムの購入・構築、借用に要する経費
③改良・修繕または裾付に要する経費

運搬費 運搬料、宅配・郵送料等に関する経費
技術導入費 知的財産権等の導入に要する経費
知的財産権等関連経費 特許権等の知的財産権等の取得に要する弁理士の手続代行費用等
外注費 新製品・サービスの開発に必要な加工や設計(デザイン)・検査等の一部を外注(請負、受託等)する場合の経費
専門家経費 本事業遂行のために依頼した専門家に支払われる経費
クラウドサービス利用費

クラウドサービスの利用に関する費用

原材料費 試作品の開発に必要な原材料および副資材の購入に要する経費
海外旅費(※) 本事業に必要不可欠な海外渡航および宿泊に要する経費

※グローバル市場開拓型のみ

ビジネスモデル構築型(令和5年度廃止)

対象経費 概要
人件費 本事業に直接従事する者に対する給与・賃金として支払われる経費
機械装置・システム構築費 本事業に必要となる機械装置および情報システムの購入・構築・借用に要する経費
旅費 本事業に必要となる旅費(交通費・宿泊料・日当)および専門家等に支払われる旅費の実費
謝金 本事業の実施のために依頼した外部の専門家等に謝礼として支払われる経費
会議費 事業を行うために必要な会議、講演会、シンポジウム等に要する経費
消耗品費 事業を行うために必要な物品であって、備品費に属さないものの購入に関する経費
広報費 本事業に必要となる広報を実施するための経緯および印刷製本費として支払われる経費
運搬費 運搬料、宅配・郵送料等に関する経費
クラウドサービス利用費 クラウドサービス等の利用に関する費用
知的財産権等関連経費 特許・意匠・商標等の知的財産権等の取得に要する弁理士の手続代行費用等
外注費 本事業の一部を外注(請負・委託等)する場合の経費

ものづくり補助金2021年との違い

ものづくり補助金も年度ごとに変更が加えられることが多いです。

2022年の主な変更点として以下の6点が挙げられます。
郵送や窓口での申請ではなく電子申請に移行
従業員規模に応じた補助上限額の設定
補助対象事業者の見直し・拡充
回復型賃上げ・雇用拡大枠の新設
デジタル枠の新設
グリーン枠の新設

ものづくり補助金のスケジュール

ものづくり補助金の締切は以下のように発表されています。採択結果は概ね2ヶ月程度です。

類型 締切 締め切り 採択発表
一般型
グローバル展開型
1次締切 2020年2年3月31日(火)17:00 2020年4月28日(火)17:00
2次締切 2020年2年5月20日(水)17:00 2020年6月30日(火)17:00
3次締切 2020年8月3日(月)17:00 2020年9月25日(金)17:00
4次締切 2020年12月18日(金)17:00 2021年2月18日(木)17:00
5次締切 2021年2月22日(月)17:00 2021年3月31日(水)17:00
6次締切 2021年5月13日(木)17:00 2021年6月29日(火)17:00
7次締切 2021年8月17日(火)17:00 2021年9月27日(月)17:00
8次締切 2021年11月11日(木)17:00 2022年1月12日(水)17:00
9次締切 2022年2月8日(火)17:00 2022年3月25日(金)17:00
10次締切 2022年5月12日(木)17:00 2022年7月15日(金)17:00
11次締切 2022年8月18日(木)17:00 2022年10月20日(木)17:00
12次締切 2022年10月24日(月)17:00 2022年12月16日(金)17:00
13次締切 2022年12月22日(木)17:00 2023年2月20日(月)17:00
14次締切 2023年4月19日(水)17:00 2023年6月23日(金)17:00
15次締切 2023年7月28日(金)17:00 2023年9月上旬
ビジネスモデル構築型 1次締切 2020年6月12日(金)17:00 2020年7月10日(金)17:00
2次締切 2021年2月10日(水)17:00 2021年5月19日(水)17:00
3次締切 2022年5月31日(火)17:00 2022年7月27日(水)17:00
4次締切 2022年11月11日(金)17:00 2023年1月20日(金)17:00

ものづくり補助金の申請と交付の流れ

ものづくり補助金の申請は2022年度より完全に電子申請に移行しました。本記事では、従来の申請方法ではなく電子申請の方法について説明します。

1. GbizIDの取得

ものづくり補助金だけでなく、IT導入補助金など他の補助金の申請に必要なGbizIDの発行が必要になります。

このGbizIDとは、1つのアカウントで複数の行政サービスを利用するための「共通認証システム」です。

補助金申請には「GbizIDプライム」の取得が必須であり、
印鑑証明書
登録印鑑を押した書類(システム上で入力した内容の印刷物)
の2点をGbizID事務局へ郵送で提出することで、審査されます。

概ね、1週間から2週間ほどの時間を要するので、補助金の締切に注意しながら事前準備をしていきましょう。

GbizIDの公式ページ

2. 申請代行事業者の検討

ものづくり補助金は申請代行事業者を使わずに自力で申請することも可能です。

ただし、書類の用意や申請途中に出てくる文章作成や情報の入力など思いのほか手間がかかります。

社内で人員のリソースが不足している場合やプロに依頼したい場合は申請代行事業者を探すことをおすすめします。

3. 交付申請書類提出

交付申請書類は、先ほどのGbizIDをもとに発行された申請マイページ上にてPDFなどの電子データで提出します。

自社の基本情報と以下の書類が必要になってきます。
事業計画書
賃金引上げ計画の誓約書
決算書など(貸借対照表、損益計算書)
従業員数の確認資料(法人事業概況説明書の写し)
労働者名簿

また、類型によっては上記の書類に加えて以下の書類が必要になります。
[再生事業者のみ]
・応募申請時において再生事業者であることを証明する書類
[回復型賃上げ・雇用拡大枠のみ]
・課税所得の状況を示す確定申告書類
[グリーン枠のみ]
・炭素生産性向上計画および温室効果ガス排出削減の取組状況
[グローバル市場開拓型のみ]
・海外事業の準備状況を示す書類

特に事業計画書は、10ページ程度のボリュームが必要なのでかなりの時間を要します。

事業計画書の内容は「具体性」「実現可能性」「根拠」が重要です。事業計画書に記入すべき項目は以下のようにまとめるとよいでしょう。

(1) 事業計画名(30文字程度) 
(2) 事業計画の概要(100文字程度)
(3) 具体的内容(その1)
 ・自社のこれまでのの取組と特徴(事業環境や内部環境含む)
 ・市場ニーズ
 ・経営課題
 ・事業内容(経営課題に対する解決策、機械装置等を取得する必要性)
 ・補助事業の目標と達成手段
 ・補助事業実施による競争力強化の実現方法
 ・補助事業と生産性向上ガイドライン・技術指針との関連性
 ・補助事業の実施スケジュール
 ・補助事業の実施体制
 ・資金調達計画
(4) 具体的内容(その2) 将来の展望
 ・補助事業の成果が寄与するマーケットと市場規模
 ・補助事業の成果が寄与する具体的なユーザー
 ・価格的・性能的な優位性および収益性
 ・顧客獲得方法(マーケティング活動)
 ・補助事業の事業化見込み
(5) 具体的内容(その3) 全社全体事業計画/数値計画
 ・売上高の算出根拠
 ・原価や販売管理費、営業外費用等の算出根拠(減価償却費や借入による利息等)
 ・付加価値額や給与支給総額の算出根拠

4. 採択結果

補助金の申請が終わると次は採択の結果を待ちます。採択結果の通知は、補助金の申請の締切から約1ヶ月から2ヶ月後になります。

採択結果はGbizIDで発行された申請マイページ上で確認できます。

5. 補助事業の実施

無事に補助金の採択が決定した後は、補助事業の実施です。

補助事業の実施時に注意すべき点は、「補助金の採択結果が発表された後、事業実施期間内の費用が対象になること」になります。したがって、補助金の採択結果が出る前に新事業やサービス開発のためにかかってしまった費用は、補助金の対象外となってしまいますので十分な注意が必要です。

6. 事業実施実績報告

補助金事業が無事に済んだら、その旨をものづくり補助金のマイページより報告しましょう。

補助金事業に関わる取引を行った実績報告資料の作成が必要となります。実績報告資料に必要なものとして、以下のようなものがあります。
・見積依頼書
・見積書
・注文書(契約書)
・受注書
・納品書
・請求書
・振込依頼書実績報告資料の作成にも時間がかかることが考えられるので専門家に任せた方がよいでしょう。

ものづくり補助金申請時の注意点

ものづくり補助金の利用にはいくつか注意点があります。
補助金採択前、事業実施期間後の経費は対象外
専門家の手助けや書類作成のための時間など万全の準備が必要
それぞれについて説明していきます。

補助金採択前、事業実施期間後の経費は対象外

本記事で、何度か触れていますが補助金の採択結果が出た後から補助金事業期間内にかかった経費のみが対象になるという点に注意が必要です。

この日付は、見積依頼書から注文書、納品書など金銭に関わる書類が時系列かつ補助金事業との時間軸に一致する必要があります。

専門家の手助けや書類作成のための時間など万全の準備が必要

ものづくり補助金は、事業計画書を中心にさまざまな書類の用意が必要になります。特に、事業計画書は計画内容や数値情報など10ページほどの文量にまでおよびます。

この必要書類も自分で作成するにせよ、専門家に依頼するにせよある程度の時間が必要なので1ヶ月、2ヶ月としっかり時間をとって計画的に補助金申請を検討することをおすすめします。

ものづくり補助金が採択されやすくなるには?

ものづくり補助金の採択基準は公式に発表されていませんが、採択される企業の特徴について解説していきます。

申請内容を正確に記入する

補助金や助成金では、申請内容を正確に記述することは絶対です。

しかし、人間なのでミスはあります。申請内容について、1人ではなく複数人で確認することで誤字脱字や数字に関するミスをなくしていきましょう。

事業計画書では、基準である「具体性」「実現可能性」「根拠」を守る

ものづくり補助金では、この事業計画書の作成が採択の可否を握るといっても過言ではありません。

ものづくり補助金公式ページでも評価基準を公表していますが、
具体性
実現可能性
根拠
を丁寧に記述することが大事になってきます。

新サービスや新事業が自社にとって実現可能であること、その事業を実行するにあたる根拠があることなどを考えながら、審査する担当者がご自身の事業・業界のことを全く知らない人という前提で、具体的な事業計画を作成していきましょう。

まとめ

今回は、2022年度ものづくり補助金についての基本的な制度の説明を中心にまとめてみました。

ものづくり補助金は時間と手間がかかるものの新事業や新サービスの展開を後押しするためのものとして、毎回数千もの事業者の方々が申請しています。

補助金・助成金は、企業側から考えると返済不要の資金のため利用するリスクは少ないですが、すぐに支給されなかったり、補助金・助成金の給付が課税対象になったりするなど注意が必要です。

また、補助金も助成金も種類が数多くあり、それぞれの制度を適切に理解して、自社にあった補助金・助成金を申請することはかなりの時間を要します。

補助金や助成金の情報収集や申請は専門性が高く、かつ対応に労力を要するので、「社長が本業の傍らで対応するのは困難」と言う声も聞きます。

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CFO転職の方法とは?CFO転職のメリットやキャリアパスも徹底解説!
シェアリングCFO®︎の活用事例ご紹介①

スタートアップ・ベンチャーの経営をされている方にとって、事業に取り組みつつ資金調達や資本政策、IPO準備も進めることは困難ではないでしょうか。

財務戦略の策定から実行まで担えるような人材をを採用したくても、実績・経験がある人を見つけるのには非常に苦労するといったこともあるでしょう。

このような問題を解決するために、SOICOでは「シェアリングCFO®︎」というCFOプロ人材と企業のマッチングサービスを提供しています。

シェアリングCFO®︎では、経験豊富なCFOのプロ人材に週1日から必要な分だけ業務を依頼することが可能です。

例えば、ベンチャー企業にて資金調達の経験を持つCFOに、スポットで業務を委託することもできます。

専門的で対応工数のかかるファイナンス業務はプロの人材に任せることで、経営者の方が事業の成長に集中できるようになります。

「シェアリングCFO®︎」について無料相談を実施しているので、ご興味をお持ちの方はぜひ下のカレンダーから相談会の予約をしてみてくださいね!

この記事を書いた人

慶應義塾大学卒業後、新日本有限責任監査法人にて監査業務に従事。 その後クレディスイス証券株式会社を経て2012年KLab株式会社入社。 KLabでは海外子会社の取締役等を歴任。2016年上場会社として初の信託を活用したストックオプションプランを実施。 2015年医療系ベンチャーの取締役財務責任者に就任。 2018年よりSOICO株式会社の代表取締役CEOに就任。公認会計士。