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【2022年最新版】まだ間に合う?申請しやすい補助金・助成金!新設枠の解説も!

執筆者:茅原淳一(Junichi Kayahara)

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事業を進めていく上で、資金に関する悩みは尽きません。

金融機関や株式の発行などを通じた資金調達以外にも、行政や国が行っている補助金や助成金といった制度を活用することで自社の事業を成長させたり、労働環境を改善したりできます。

この記事では、さまざまな補助金・助成金について、2022年最新の新枠増設・引き上げの補足もしながら紹介していきます。

コロナ対策を中心とした融資・助成金についてはこちらの記事もご参照ください。
コロナ対策融資・助成金の活用方法を徹底解説

補助金と助成金の違い

補助金も助成金も国や地方自治体などの行政機関からある目的のために給付されるお金という点では共通しています。

また、給付されたお金が返済不要という点も共通しています。

財源は公的なものなので、それぞれの制度が求める要件を満たした企業が行政機関に申請し、行政機関がその申請内容を審査することで給付されるものとなります。

簡単に補助金と助成金の違いについてまとめると以下のようになります。

補助金 助成金
目的 新規事業・創業促進 雇用・労働環境の整備・改善
給付要件 申請内容が採択された場合 申請要件を満たしている場合
給付される金額 数十万円〜数十億円 数十万円〜百万円程度
公募期間 短期間・年に数回 通年
管轄 経済産業省 厚生労働省(※一部経済産業省)

補助金

補助金は、国や自治体の政策目標に合わせて、さまざまな分野で募集されており、事業者の取り組みをサポートするために資金の一部を給付するという制度です。

要件を満たした企業が申請をして、行政機関が審査をするので必ず全て給付されるわけではないという特徴があります。

この記事では、

事業再構築補助金
ものづくり補助金
IT導入補助金
小規模事業者持続化補助金

について簡単に紹介していきます。

助成金

助成金は、法人や個人事業主の方を支援するために国や自治体がお金を支給する制度です。

とくに、ここ数年はコロナ禍や天災などの被害の影響で業績が悪化した事業主への助成金が拡充されました。

助成金は補助金と違い、審査がなく要件を満たしていれば受給できるという特徴もあります。

この記事では、

・業務改善助成金
・働き方改革推進支援助成金
・労働移動支援助成金(再就職支援コース・早期雇入れコース)
トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)
・人材開発支援助成金(特定訓練コース・一般訓練コース)

について簡単に紹介していきます。

【2022年度】注目の補助金をご紹介

事業再構築補助金

事業再構築補助金は、中小企業が新分野展開や業態転換などの事業再構築をすることで、コロナ禍前のビジネスモデルから転換する中小企業を支援する制度です。

2022年度の事業再構築補助金では、事業の状況が厳しい企業や事業再生に取り組もうとしている事業者に対する支援を継続しながら、売上高減少などの要件緩和が行われています。

事業再構築補助金では、飲食店や小売業、サービス業や製造業といった業界の店舗の出入りに関する費用や設備改修費用、システム構築やサイト制作費用、広告費用といった様々な用途で活用することが可能です。

ものづくり補助金

ものづくり補助金は、正式には「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」といいます。

この補助金は、中小企業・スタートアップ・ベンチャー等が今後複数年にわたり相次いで直面する、

賃上げ
働き方改革
被用者保険の適用拡大
インボイス導入

といった制度変更等に対応するためのものです。

中小企業・スタートアップ・ベンチャー等が取り組む、革新的サービス開発、試作品(プロトタイプ)開発、生産プロセスの改善などを行い、生産性を向上させるための設備投資等を支援するために活用されます。

2022年度のものづくり補助金では、
・従業員規模に応じた補助上限額の設定
・補助対象事業者の見直し・拡充
・回復型賃上げ・雇用拡大枠の新設
・デジタル枠の新設
・グリーン枠の新設
が主な変更点になります。

ものづくり補助金についてはこちらの記事もご参照ください。
【2022年度】ものづくり補助金の概要〜補助金の活用と類型について解説〜

IT導入補助金

IT導入補助金は、PCやタブレットのようなハードウェアやデザインに使うAdobe製品や会計に使うソフトウェアを導入する際の一部を補助してもらえる制度です。

2022年度のIT導入補助金では、例年の「中小企業の自社の課題やニーズに合ったITツールを導入する経費の一部を補助する制度」に加えて、インボイス制度への対応を見据えた「会計ソフト・受発注ソフト・決済ソフト・ECソフトの経費の一部を補助する制度」が追加されました。

さらに、2022年8月からは企業にサイバーセキュリティを導入することを対象にした「セキュリティ対策推進枠」も新設されました。

対象経費 補助率 補助金額
通常枠(A類型) ソフトウェア購入費
クラウド利用料(1年分)
導入関連費
1/2 30万円〜150万円未満
通常枠(B類型) 150万円〜450万円以下
デジタル化基盤導入枠 ソフトウェア購入費
クラウド利用料(2年分)
導入関連費
3/4 5万円〜50万円以下
2/3 50万円超〜350万円
セキュリティ対策推進枠 サービス利用料(2年分) 1/2 5万円〜100万円

IT導入補助金についてはこちらの記事もご参照ください。
【2022年度】IT導入補助金の概要〜申請可能なITツールや枠と類型について解説〜

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金は、持続的な経営に向けた経営計画に基づいて、小規模事業者の地道な販路開拓などの取り組みや業務効率化の取り組みを支援するため、それにかかる経費の一部を負担する補助金制度です。

2022年度の小規模事業者持続化補助金では、従来の通常枠に加えて、
・賃金引き上げ枠
・卒業枠
・後継者支援枠
・創業枠
・インボイス枠
の5つが新設されました。

小規模事業者持続化補助金についてはこちらの記事もご参照ください。
2022・令和4年版|小規模事業者持続化補助金の概要・採択のポイントを解説!

【2022年度】注目の助成金をご紹介

業務改善助成金

業務改善助成金とは、中小企業の生産性向上支援を目的とし、事業場内でもっとも低い賃金の引き上げを推進するための助成金です。生産性向上につながる設備投資を行い、事業場の最低賃金を一定額引き上げた場合にその設備投資等に要した費用の一部を助成します。

システムや設備の導入、外部のコンサルティング会社への発注などが対象となります。

1つ例として、美容系サロンの会社の事例をご紹介します。店舗での会計処理が複雑で時間が多くかかっているという課題があったため、時給を引き上げて助成金を活用して、改善のためのシステムを導入し、実際に生産性を向上させることができました。

自社に業務効率に課題がないか検討し、改善の余地があるようであれば検討してみても良いでしょう。

また、業務改善助成金の助成率・支給金額は、以下の通りです。

引き上げた人数によって金額も異なるため、具体的には以下のHPよりご確認ください。
業務改善助成金(厚生労働省)

働き方改革推進支援助成金

働き方改革推進支援助成金とは、働き方改革に取り組む中小企業を対象に、環境整備に必要な費用の一部を国が助成する制度です。

具体的には、新たに労務管理用のソフトウェアを導入したり、外部専門家によるコンサルティングを受けたり、生産性工場のために機械や設備を導入するなどが対象となります。

年々要件は厳しくなっているのですが、活用範囲が幅広いのが特徴のため、活用しやすい助成金と言えます。

働き方改革推進支援助成金には、
・労働時間短縮・年休促進支援コース
・勤務間インターバル導入コース
・労働時間適正管理推進コース
3つのコースがあり、助成率や支給金額は以下の通りです。

助成率 支給金額
労働時間短縮・年休促進支援コース ※費用固定のため助成率なし 上限額 25万円〜150万円
勤務間インターバル導入コース 上限額 40万円〜100万円
労働時間適正管理推進コース 3/4 上限額     100万円

2022年度の申請期限は11月30日までのため、余裕をもって検討をすることをおすすめします。

具体的な支給要件などは、以下のHPよりご確認ください。
働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)
働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース)
働き方改革推進支援助成金(労働時間適正管理推進コース)

労働移動支援助成金(再就職支援コース・早期雇入れ支援コース)

労働移動支援助成金には「再就職支援コース」と「早期雇入れ支援コース」の2種類があり、それぞれ解説していきます。

①再就職支援コース

再就職支援コースとは、事業規模の縮小などにより離職を余儀なくされる労働者等に対する再就職支援を職業紹介事業者に委託したり、求職活動のための休暇の付与や再就職のための訓練を教育訓練施設等に委託したりした事業主に助成金が支給される制度です。

新型コロナウイルス感染症による事業縮小などの理由によって、人員調整を場合には検討できる助成金だと言えます。

具体的な支給要件や助成額などは、以下のHPよりご確認ください。
労働移動支援助成金(再就職支援コース)

②早期雇入れ支援コース

早期雇入れ支援コースとは、再就職援助計画などの対象者を、離職後3か月以内に期間の定めのない労働者として雇い入れ、継続して雇用することが確実である事業主に対して助成金が支給される制度です。

新型コロナウイルス感染症の影響よって、再就職援助計画の対象者はコロナ禍前よりも増えている状況です。人員の採用が必要にはなりますが、比較的申請のしやすい助成金と言えるでしょう。

支給される金額は以下の通りです。

助成率 支給金額
早期雇入れ支援 ※費用固定のため助成率なし 通常助成 1人あたり30万円
優遇助成 1人あたり80万円

具体的な支給要件は、以下のHPよりご確認ください。
労働移動支援助成金(早期雇入れ支援コース)

トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)

トライアル雇用助成金は、職業経験、技能、知識等から安定的な就職が困難な求職者について、ハローワークや職業紹介事業者等の紹介により、一定期間試行雇用した場合に助成する制度です。

必ず求職者を正規で雇用する必要はないため、雇い入れる企業としては、しっかりと適正を見極めるチャンスがあることがメリットだと言えます。

労働移動支援助成金(早期雇入れ支援コース)と同様、雇用が必要となる助成金ですが、人員を採用する計画がある場合は、検討してみると良いでしょう。

支給される金額は以下の通りです。

助成率 支給金額
一般トライアルコース ※費用固定のため助成率なし 対象者1人あたり月額最大4万円
(合計12万円)

具体的な支給要件は、以下のHPよりご確認ください。
トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)

人材開支援助成金(特定訓練コース・一般訓練コース)

人材開発支援助成金は、事業主が雇用する労働者に対して職務に関連した専門的な知識・技能を習得させるための職業訓練の経費や訓練期間中の賃金の一部を助成する制度です。

人材開発支援助成金には、以下のコースがあります。
・特定訓練コース
・一般訓練コース
・教育訓練休暇付与コース、
・特別育成訓練コース
・建設労働者認定訓練コース
・建設労働者技能実習コース
・障害者職業能力開発コース


出典:
厚生労働省『人材開発支援助成金のご案内(詳細版)』
(※表内の括弧表記は中小企業以外の助成額・助成率)

①特定訓練コース 

人材開発支援助成金の特定訓練コースには、労働生産性向上訓練、若年人材育成訓練、熟練技能育成・承継訓練、グローバル人材育成訓練、特定分野認定実習併用職業訓練、認定実習併用職業訓練の6種類があります。

支援対象の中に「第四次産業革命スキル習得講座認定制度」が含まれており、基礎・初級のITスキルは含まれていません。具体的には、以下の分野が認定対象となります。
・AI、IoT、データサイエンス、クラウド(デザイン思考、アジャイル開発等の新たな開発手法との組み合わせを含む)
・高度なセキュリティやネットワーク
・IT利活用(自動車モデルベース開発、自動運転、生産システムデジタル設計

詳細については、こちらの資料『人材開発支援助成金のご案内(詳細版)』にてご確認できます。

②一般訓練コース

人材開発支援助成金の一般訓練コースでは、特定訓練コース以外の職務に関連した専門的な知識・技能の習得をさせるための職業訓練等を事業主もしくは事業主団体等が実施する場合に助成を行っています。

本コースの要件は、事業内訓練または事業外訓練なので一般教育訓練給付指定講座の中で通信制の講座のものなどが対象となります。

詳細については、特定訓練コースと同じくこちらの資料『人材開発支援助成金のご案内(詳細版)』にてご確認できます。

補助金・助成金活用時のメリット

補助金・助成金の活用について以下のようなメリットがあります。

返済不要
事業計画の改善
人事労務管理の整備

返済不要

補助金も助成金の1番のメリットは、返済不要であることです。融資や借入と違って、申請内容が採択されるか要件を満たすことで、返済不要の資金の補助・助成を受けることができる点が大きなメリットだといえます。

新規事業に乗り出したり、事業所を増やすなど新しいことに挑戦するリスクを低減します。

事業計画の改善

補助金の申請において、申請時に事業計画書の提出が必須な場合もあります。

書類作成は面倒かもしれませんが、自社や事業の状況を整理する機会になり、改善点を見出すことができるというメリットもあります。単年度だけでなく、2年、3年と中長期計画を見直すきっかけにもなるでしょう。

人事労務管理の整備

助成金の申請の際に、就業規則や雇用契約書、出勤簿や賃金台帳といったバックオフィスには欠かせない書類が必要となってきます。

助成金の申請をきっかけに、コンプライアンスを守れているか、人事労務管理は適切にできているかの見直しをすることができます。

補助金・助成金活用時のデメリット

補助金・助成金の活用について以下のようなデメリットがあります。

前払いではない
支給までの時間が長い
課税対象になる補助金も存在する

前払いではない

補助金を活用する際に注意しなければならない点として、前払いではないことがあります。

例えば、IT導入補助金では補助金が入金される前にITツールや機器の購入が必要です。その後、事務局への納品報告などがあり、適切に事業が行われたかが判断されてから補助金が入金されます。

また、補助金申請の前に購入したものが対象にならないケースもありますので事前の確認が必須となってきます。

支給までの時間が長い

補助金、助成金ともに共通することですが、それぞれお金が支給されるまでの期間が長いというデメリットがあります。

補助金で考えると、申請から審査、採択から納品、そして事業報告まで多くのハードルがあります。採択されたからといって、すぐに入金されるわけではないので、スケジュールに気をつけましょう。

課税対象になる補助金も存在する

中小企業やベンチャー、スタートアップ、個人事業主の方が補助金や助成金の支給を受ける場合、原則全て課税対象になります。

企業の場合は法人税、個人事業主の場合は所得税として課税対象になります。

税金については専門性が高いので、周りの会計士や税理士をはじめとしたプロの専門家に相談されるのがよいでしょう。

まとめ

今回は、2022年度おすすめの補助金・助成金についての基本的な制度の説明と、メリット・デメリットを中心にまとめてみました。

補助金・助成金は、企業側から考えると返済不要の資金のため利用するリスクは少ないですが、すぐに支給されなかったり、補助金・助成金の給付が課税対象になったりするなど注意が必要です。

また、補助金も助成金も種類が数多くあり、それぞれの制度を適切に理解して、自社にあった補助金・助成金を申請することはかなりの時間を要します。

補助金や助成金の情報収集や申請は専門性が高く、かつ対応に労力を要するので、「社長が本業の傍らで対応するのは困難」と言う声も聞きます。

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この記事を書いた人

慶應義塾大学卒業後、新日本有限責任監査法人にて監査業務に従事。 その後クレディスイス証券株式会社を経て2012年KLab株式会社入社。 KLabでは海外子会社の取締役等を歴任。2016年上場会社として初の信託を活用したストックオプションプランを実施。 2015年医療系ベンチャーの取締役財務責任者に就任。 2018年よりSOICO株式会社の代表取締役CEOに就任。公認会計士。